【完結】貴方を愛するつもりはないは 私から

Mimi

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戯れる天使 ~クリストファー~

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俺の話に、父はしばらく考え込んだ。


「確かに将来的には問題ないが……
 現状、お前が婚約者としてグレイス嬢を披露するのは……、うーん」


うーん、て?

「うーん……」

もう一度父は言って、せかせかと書斎を歩き回った。


「うーん、うーん」

うーんの4連発だ。


「よし!お前はとりあえず、殿下のお供で留学しろ」

「嫌ですよ、グレイスを他の奴に取られます」

ここからの10歳から16歳の、彼女の6年間は見逃せない。


「これから伯爵家に書状を届ける。
 まずは父親に話を通す。
 お前が気持ち悪い男ではない、と納得して貰え。
 私なら、カリーナに7つ上の男から話を持って来られても、直ぐには頷けないからな」

カリーナは俺の5歳年下の妹だ。
12歳の妹に運命の相手だと言ってくる19歳の男を、父は受け入れられないらしい。


「グレイス嬢を幸せにしたいなら、仕事を疎かにするな。
 殿下とご一緒して、将来の足場を固めろ」

「……判りました」

本当は嫌だが、将来と言われれば仕方がない。




それからグレイスの父上であり、将来の義父上となるリーヴァイス伯爵が来てくださった。

グレイスにも会いたかったし、白馬に乗ってでっかい花束を抱えて挨拶に行きたかったのに。
(実際にはウチの馬は白馬ではないし、花を抱えて馬を操るのは危険だ)

父がウチに呼びつけて申し訳なかった。

 
事前に父からはくれぐれも運命や天使、後光という言葉は使うな、と言われた。


「長女のアデラインではなく?」

伯爵はグレイスではなく、姉の方を勧めたいようだったが。


「私はこれから王太子殿下のお供で帝国へ参ります。
 勉強熱心な殿下ですので、帰国はいつになりますか……
 アデライン嬢は私と同じ年齢です。
 美しい花の盛りをお待たせ出来ません」 


我ながら、よく言うよと思ったが、人の良い伯爵はご納得してくださった。


「承知致しました。
 クリストファー様がお戻りになるまで、グレイスの縁組は止めておきます」

ただ、やはりまだ幼いので、正式な婚約は……と口を濁された。

先程、俺が言った帰国が何年先かわからないというのを、気にされたご様子だ。

伯爵の本音は、俺が戻らずグレイスにいい縁談が来たら、そちらを優先したいのだろう。

思っていたより人の良いだけの伯爵じゃないな。
これだから、警戒の目を緩める事は出来ない。
(決して監視ではなく、警戒だ)

彼女に来る縁談は全部潰してやる、と誓った。

伯爵のお気持ちも判るが、帰国が5年以上先とか、そんなことは有り得ない。
王太子殿下だ、留学なんて長くても5年以内だ。

もしそれより長引けば、家族の誰かを病人にして俺だけ帰国しても……

(いやいや、耐えるけどね。
ふたりの安定した将来の為に)



グレイスには俺の事は話していないらしいので伯爵家に会いに行けなかったが、初等部の校庭で子供達と戯れる天使を覗きに行った。

今日はハンカチ落としをしていた。
昨日のフルーツバスケットも楽しそうだった。


天使の笑顔は俺のやる気をチャージしてくれる。


グレイスの様子(主に縁談系)を、こまめに連絡してもらう手筈は整えた。


君の為にもがんばってくる!



俺が帰国したのは、やはり5年後だった。
もう少しの我慢で、グレイスは俺の花嫁になる!
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