【完結】俺はずっと片想いを続けるだけ

Mimi

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国家的な秘密です! ~グレイス~

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結局、大叔母様からお話は聞けませんでした。

お迎えに来てくださった旦那様に、そんな話を知っていますかと
尋ねました。

「何でも欲しがる義理の妹?
 カリーナの事かな?」

「全然違うと思います。」

先輩は正反対の『何でもくれちゃう義妹』だと、思います。

「大叔母上が亡くなる前には聞けるといいね。」

大叔母様の生き死にを、旦那様はさらっと仰いました。


「それより料理長が、今夜は君の好きなメニューにすると
 言っていたよ。」

旦那様が優雅に微笑みながら、私の手を繋ぎに来られたので
ぽーっとした私は。
昨夜の誓いを翌日には破ると云う愚行を、犯してしまいました。


 ◇◇◇


その夜、旦那様の寝室で。
旦那様と私はごしょごしょした後、お話をしました。
この時間が私は好きなのです。
私達が色々な事をお話出来る時間です。

「王太子殿下が君に会いたいと、言っている。」

「…」

旦那様からは、
『初等部の頃、俺と一緒に何回か君を見に行って、一方的に
 君を師範と呼んでいる』と、聞いていました。

『師範』と、仰られた意味が判らなくて、
どう反応すればいいのか判らなくて、その話はそのままにしておりました。

「気が乗らないなら、俺からうまく言っておくから。」

「気が乗らないのではなく、以前クリスが仰られた師範と
 云うのが…。」

「あのね、これは絶対に知られてはいけない秘密なんだ。
 俺と一緒のお墓に入る時まで抱えていかないといけない秘密。」

ふたりだけしかいないのに、お声を潜める旦那様が少しだけ怖くて。
それと同時にふたりで共通の秘密を抱えて生きていく背徳感(?) に
くらくらしました。

それは王家の秘密なのね (きっと、すごい事なのね)
私は貴方の妻だから、絶対に誰にも言いません (やだ照れるっ)
例え敵国に捕らえられても (何処の国だよ!)


「殿下は凄い運動音痴で。
 所謂、運痴というやつで。」

「……知っています、凄く有名です…」

旦那様の表情が消えました。
絶対に知られてはいけない秘密の筈が
結構な範囲で知られている事など思いもよらなかったのでしょう。

王太子殿下のお側に居すぎて、
他の方からの情報が回っていないのだと、察した私は
お可哀想な情弱旦那様の右の耳朶を引っ張ってあげました。
こうするとくすぐったいのか、旦那様が喜ばれるのです。

旦那様の寝室で寝起きするようになってから
ふたりの時は『クリス』と呼ぶようになっていました。


「殿下やクリスの学年では、運動の授業の単位を落とされた方が
 いらっしゃらないのは有名ですよ?
 底辺が殿下なので、誰も落第に出来なくて、ですよね?
 それから図書室の殿下の穴は、そのままになっていましたし。」

今、明かされた事実に旦那様は打ちのめされた様です。
それで、お慰めしたくて両方の耳朶を引っ張りました。
良かった、ちょっとだけ笑ってくれたので安心です。

やはり『国外逃亡犯』の話を、しなくて正解でした。
話して旦那様のお顔が固まってしまったら
次は何処を引っ張ればいいのか、まだ見つけていませんから。
我ながら、余計なことは言わない大人になったと思います。

旦那様はお顔立ちが整っていらっしゃるので、無表情だと、怖いのです。
結婚する前の婚約者時代を思い出してしまうので、笑って欲しいのです。

「続きを教えてください。」

「王太子妃殿下がご懐妊された。
 殿下は君に、お子様の運動指南をして欲しいらしい。」

運動指南?
うーん、王家の方の考えられることは私になど理解出来ません。

それにしても、最近私もつい『うーん』って、言ってしまうんですけれど?
旦那様が言われた『クレイヴンの呪い』がとうとう私にも?
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