12 / 45
いざ、勝負の昼休み
しおりを挟むいつもと変わらない昼休みの風景。
圭一郎が、皆に伝えるタイミングは任せると言ってくれた。
言おう言おうと思って、何日か経ってしまっている。
俺は、この昼休みに勝負をかけている。
いつものように圭一郎の背中に引っ付きながらタイミングを伺っている。だってやっぱり緊張する。もしかしたら話をした後、こいつらと一緒に居られなくなるかもしれない。そう考えたらさ、なかなか言い出しにくいんだよ。
しかーし、こいつらを信じるって決めたからな!
「圭一郎と直樹って本当仲いいよな。マジで距離間が夫婦だわ。」
おぉぉぉ。順一!ナイスタイミングです。その発言、利用させていただきます。
「・・・本当に圭一郎と付き合ってるって言ったら・・・お前らどうする?」
圭一郎に後ろから抱きつき、肩に顎をのせてニヤッと笑ってみた。
「「「 は(え)? 」」」
・・・・・・・・・。
あ、三人とも固まった。やばい驚いてる。やっぱり受け入れてもらえないかも。ごめん圭一郎。泣きそう。沈黙が怖い。
その沈黙を破ったのは友也だった。
「お前たち、やっとくっついたの?」
・・・は?なに?予想していた反応と全く違う答えが返ってきたんだけど。
これには圭一郎も動揺してるみたいだ。
「え?友也?・・・どういう事?」
「俺、気づいてたよ。圭一郎さ、直樹の事好きなの隠しきれてなかったぜ?」
「は?マジで?俺、隠してたつもりなのに?」
圭一郎、めっちゃ目が泳いでる。ウケる。
「ほら、覚えてるか分かんねーけど。お前が女と休み時間過ごしてる時期に、俺の背中に直樹が抱きついてきたことがあったろ?その時さ、お前がもの凄い怖い顔で直樹を奪い返しに来たんだよ。それで確信した。」
そんな事もあったような・・・でも俺は全く気が付かなかったけど。友也って何気にすげーな。
「俺は、直君も圭一郎のこと好きだと思ってたよ。ずっと。」
・・・・な、なんですと???
「直君は自分で気が付いてなかったみたいだけどね。圭一郎にくっついてる時、自分がどんな顔してるか分かってる?すっごーーーく嬉しそうで、すっごーーーく色っぽーい顔してる。あの顔は好きな人相手じゃないと出せない顔だね。」
「・・・え。・・・は?ちょっと待って。俺そんな顔してるの?超恥ずかしいじゃんか。」
「まあまあ。でも良かった良かった。俺たち三人は応援していますよ。」
「あんまりイチャイチャすんなよぉぉ。はははっ」
「いや、しねーよ!・・・てか、気持ち悪いとか思わねえの?男同士で。」
「「「 べーつにー 」」」
はぁ。ほら、この三人を信じて良かった。ちゃんと自分たちで伝えて良かった。
「それにしてもさぁ~。圭一郎、気をつけなよ?直君を手に入れちゃったんだからさぁ~。恨まれるかもよぉ??」
ん?何のこと?なんで圭一郎が恨まれるんだ?
「いやいや健介。そこは逆だろ?圭一郎をとった俺が恨まれる事はあっても。」
「まぁーでも、王子様が相手なら皆納得するんじゃねーの?」
いや、待て待て。意味が分からない話を続けるでない。圭一郎も真剣な顔して頷いてるし。
「ねえ。圭一郎、何の話か分かんねー。何なの?」
「・・・もういいか。俺がいるしな。」
「いや、だから何の話?何で皆ニヤニヤしてんの?」
「直樹、お前さ~。すごくモテるんだぜ!・・・男に。」
「・・・は・・・・?う、うそだぁぁ~・・・」
「嘘じゃないよ。三年にも直君の事好きだっていう先輩いるよ。男だけど。」
「一年にも何人かいるよな?男だけど。」
「この学年にも六人くらいいるよな?男だけど。」
「ちょ、ちょっとぉ~何言っちゃってんの~?う、うそだぁ~。ねえ圭一郎。冗談だよな??」
・・・・。
「でも大丈夫だ直樹!お前には俺が居るだろ?」
「そ、そうだ!俺には圭一郎がいるもん!」
「もんって!何だそれ、可愛いかよ!」
圭一郎にしがみついた俺を見て皆で笑い合った。
三人が俺たちの事を当たり前のように受け入れて、変わらず接してくれる。
嬉しくて泣きそうだ。本当にありがとうな。
こいつらは、一生大切にしていこうと思う。
あと、俺が男にモテるとかいう笑えない冗談は忘れることにする。
そして五人で話し、圭一郎と俺が付き合っている事は他には言わないと決めた。
そういう関係に理解のある人ばかりではないのは皆分かっているから。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる