単純な俺たちのありふれた恋の話

みーくん

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いざ、勝負の昼休み

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  いつもと変わらない昼休みの風景。

圭一郎が、皆に伝えるタイミングは任せると言ってくれた。

言おう言おうと思って、何日か経ってしまっている。



 俺は、この昼休みに勝負をかけている。



 いつものように圭一郎の背中に引っ付きながらタイミングを伺っている。だってやっぱり緊張する。もしかしたら話をした後、こいつらと一緒に居られなくなるかもしれない。そう考えたらさ、なかなか言い出しにくいんだよ。



 しかーし、こいつらを信じるって決めたからな!





「圭一郎と直樹って本当仲いいよな。マジで距離間が夫婦だわ。」



おぉぉぉ。順一!ナイスタイミングです。その発言、利用させていただきます。



「・・・本当に圭一郎と付き合ってるって言ったら・・・お前らどうする?」



 圭一郎に後ろから抱きつき、肩に顎をのせてニヤッと笑ってみた。



「「「 は(え)? 」」」







・・・・・・・・・。









 あ、三人とも固まった。やばい驚いてる。やっぱり受け入れてもらえないかも。ごめん圭一郎。泣きそう。沈黙が怖い。



 その沈黙を破ったのは友也だった。



「お前たち、やっとくっついたの?」



・・・は?なに?予想していた反応と全く違う答えが返ってきたんだけど。

これには圭一郎も動揺してるみたいだ。



「え?友也?・・・どういう事?」



「俺、気づいてたよ。圭一郎さ、直樹の事好きなの隠しきれてなかったぜ?」

「は?マジで?俺、隠してたつもりなのに?」



 圭一郎、めっちゃ目が泳いでる。ウケる。



「ほら、覚えてるか分かんねーけど。お前が女と休み時間過ごしてる時期に、俺の背中に直樹が抱きついてきたことがあったろ?その時さ、お前がもの凄い怖い顔で直樹を奪い返しに来たんだよ。それで確信した。」



 そんな事もあったような・・・でも俺は全く気が付かなかったけど。友也って何気にすげーな。



「俺は、直君も圭一郎のこと好きだと思ってたよ。ずっと。」



・・・・な、なんですと???



「直君は自分で気が付いてなかったみたいだけどね。圭一郎にくっついてる時、自分がどんな顔してるか分かってる?すっごーーーく嬉しそうで、すっごーーーく色っぽーい顔してる。あの顔は好きな人相手じゃないと出せない顔だね。」



「・・・え。・・・は?ちょっと待って。俺そんな顔してるの?超恥ずかしいじゃんか。」

「まあまあ。でも良かった良かった。俺たち三人は応援していますよ。」

「あんまりイチャイチャすんなよぉぉ。はははっ」

「いや、しねーよ!・・・てか、気持ち悪いとか思わねえの?男同士で。」



「「「 べーつにー 」」」



はぁ。ほら、この三人を信じて良かった。ちゃんと自分たちで伝えて良かった。



「それにしてもさぁ~。圭一郎、気をつけなよ?直君を手に入れちゃったんだからさぁ~。恨まれるかもよぉ??」



 ん?何のこと?なんで圭一郎が恨まれるんだ?



「いやいや健介。そこは逆だろ?圭一郎をとった俺が恨まれる事はあっても。」

「まぁーでも、王子様が相手なら皆納得するんじゃねーの?」



いや、待て待て。意味が分からない話を続けるでない。圭一郎も真剣な顔して頷いてるし。



「ねえ。圭一郎、何の話か分かんねー。何なの?」

「・・・もういいか。俺がいるしな。」

「いや、だから何の話?何で皆ニヤニヤしてんの?」



「直樹、お前さ~。すごくモテるんだぜ!・・・男に。」

「・・・は・・・・?う、うそだぁぁ~・・・」

「嘘じゃないよ。三年にも直君の事好きだっていう先輩いるよ。男だけど。」

「一年にも何人かいるよな?男だけど。」

「この学年にも六人くらいいるよな?男だけど。」

「ちょ、ちょっとぉ~何言っちゃってんの~?う、うそだぁ~。ねえ圭一郎。冗談だよな??」



・・・・。



「でも大丈夫だ直樹!お前には俺が居るだろ?」

「そ、そうだ!俺には圭一郎がいるもん!」

「もんって!何だそれ、可愛いかよ!」



 圭一郎にしがみついた俺を見て皆で笑い合った。

三人が俺たちの事を当たり前のように受け入れて、変わらず接してくれる。

嬉しくて泣きそうだ。本当にありがとうな。



こいつらは、一生大切にしていこうと思う。

あと、俺が男にモテるとかいう笑えない冗談は忘れることにする。



 そして五人で話し、圭一郎と俺が付き合っている事は他には言わないと決めた。

そういう関係に理解のある人ばかりではないのは皆分かっているから。




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