単純な俺たちのありふれた恋の話

みーくん

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圭一郎 1.5往復 走る

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 直樹が帰ってしまった。



 初めてあいつとケンカをした。でも、今回は完全に俺が悪い。



 酷い嫉妬をした。

 あいつの気持ちを疑うようなことを言ってしまった。



はぁー。俺は何をやっているんだ。

俺が告白されている時、毎回あいつをこんな気持ちにさせてしまっていたのか。



 でも、直樹は一度だって文句を言ってきたことは無い。言ってもいいのに。

俺が戻ると、いつも笑顔で待っていてくれた。何も聞かずに。



 それは、俺の気持ちを信じてくれていたからだ。



 無理矢理キスをされた時だって・・・

俺は、直樹が抱きしめられていたと聞いただけで、こんなにも怒りをぶつけてしまったのに。今日だって別に直樹が悪いわけではなかったのにな。



 あの時ですら、あいつは一人で気持ちを落ち着かせようとして、結局あんなに怖い思いをして・・・。それでも一言も俺を責めなかったのにな。



 あの時、一人にしないって言ったのに、一人で帰してしまった。



 俺、本当に何やってるんだろう。



 あいつの笑顔とか、誰にでも優しいところとか、そんな直樹だから好きなのに・・・それを否定するような事まで言った。



 あんな風に言い合っても、俺を否定するようなことは一言も言わなかったな。

こんな状況でも、大好きだと伝えてくれた。



 ちゃんと家に着いただろうか。また一人で居なくなったりしないだろうか。何であんな言い方してしまったんだろうか。

あの時、もう少し冷静になって「好きだから嫉妬した。ごめん。」て素直に言えばよかった。



 そしたら今も横に直樹が居たかもしれない。



・・・・。



 あーーーー。ダメだ!行こう!謝りに行こう!!

顔が見たい。抱きしめたい。キスしたい。笑ってほしい。





 そう思い、俺は携帯だけ持って家を飛び出し、直樹の家まで全速力で走った。



 直樹の家に着いたけれど、家が真っ暗だ。・・・いないのか?

恐る恐るチャイムを鳴らすけれど、待っても誰も出てこない。どこに居るんだ?



「圭一郎?」



 振り返ると制服のままコンビニの袋を提げた直樹が立っていた。



「けいいちろーーー。ごめーーーーん。」



 直樹が涙を流しながら俺に抱きついてくる。

 違う、違うよ。直樹。謝るのは俺なんだよ。お前は悪くないんだ。



「直樹。謝るのは俺の方だ。本当にごめん。」





 直樹の部屋に上がり、改めて気持ちを伝えた。



「直樹、本当にごめんな。酷い嫉妬をして直樹のこと傷つけた。ごめん。」

「大丈夫。でも、俺の気持ちを疑われたのは悲しかった。」

「うん、ごめん。ごめんな。」

「俺は、圭一郎が一番大切だから。」

「うん。ありがとう。俺もだよ。」



「じゃあ仲直りしよー!ギュッてして。」



 いつもの最高に可愛い笑顔の直樹がいる。



 ああ。本当にこいつには敵わないな。こんなにも可愛くて愛おしい直樹を傷つけてしまった数十分前の自分が許せない。



「直樹。大好きだよ。」



 全力で、だけど優しく直樹を抱きしめた。











「なあなあ圭一郎。今日さ、両親も兄ちゃんも居なくて俺一人なんだよ・・・。」

「そーなの?」

「うん。だからさ、夜中にトイレ行きたくなったら怖いだろ?おばけとか。」

「うん、うん?」



「だからさぁ~。・・・お前が泊まりにくればいいと思うんだよ・・・。」



!!!!



何なの!その訳の分からない可愛い誘い文句は!!

可愛い!可愛い!可愛すぎるだろ!!!!

そんな風に言われたら絶対泊まっちゃうだろ!

泊まる一択だろ!!!



 そして、俺は家に着替えを取りに走った。


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