単純な俺たちのありふれた恋の話

みーくん

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彼トレーナー

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 いよいよ金曜日。二人で楽しみにしていたお泊り会だ。

 学校が終わって、お泊りセットを準備して圭一郎の家に向かう。





「いらっしゃい!上がって!!」

「おじゃまします!」



 圭一郎の部屋に入ると「これ着て過ごしてね」と服を渡されたので、部屋着かな?と思い素直に着替える。



俺には大きすぎるトレーナーだ。



「なあ、圭一郎。これ大きすぎるし、上を貸してくれるならズボンも貸してよ。」

「違うよ!直樹。ズボンは脱いで!」



 と言って素早い手つきでズボンを脱がす。

・・・なんと卑猥な格好なんだ!



「これも、俺の直樹にしてほしいリストの一つだからね!!」

「・・・変態・・・。」



何を隠そう、俺の今の格好は、大きめのトレーナーだけを着ており、丈は尻が隠れる程度の長さで太ももが曝け出されている。女子がミニスカートワンピを着ているようなのだ。流石に恥ずかしいだろ。



「彼シャツ。憧れてたんだ!シャツじゃないけど。」



・・・お前の性癖はどうなってるんだ。女の子なら可愛いかもしれないが男の俺がやっても色気もクソもないだろ!!!

まあ、でも仕方ない。圭一郎の願いだからな。なんだかんだで結局は圭一郎に甘いのだ。だって、俺の姿を凝視しているあいつは前屈みになってるんだぞ。あれ、もう勃ってるだろ。そんなに嬉しそうに反応されたら断れないだろ。



「直樹。おいで!!」と両手を広げるそいつの胸に素直に飛び込む。



「俺、今日をめちゃくちゃ楽しみにしてた。直樹は?」

「俺も楽しみだったよ。・・・エッチがじゃないぞ。圭一郎と一緒に居られるのがだぞ!・・・まぁ~エッチもだけど・・・。俺さ、いっぱい話もしたいと思ってるんだ。」

「うん!時間はあるし、話したりエッチしたりゲームしたりエッチしたりしようね。」

「・・・エッチの割合多くね?・・・」





 とりあえず、今日は二人でご飯を作ろうと約束をしていたのでキッチンへ向かう。

晩御飯はカレーライス。何故カレーかというと・・・沢山作っていつでも食べられるようにし、思う存分イチャイチャしようという、なんとも言えない理由。



「あ痛っ!!」



 俺は手先が器用だからジャガイモの皮も包丁でOKだが、圭一郎は意外と不器用らしい。



「あーもう。指みせて!大丈夫??」

「直樹なんか奥さんみたいだな。新婚みたい!」

「なんか楽しいな。」



 何とか出来上がったカレーは美味かった。



「なあ、圭一郎。高校卒業後のこととか考えてる?」

「うーん。学校とかは決めてないけど、建築士になりたいんだよな。」

「そうなんだ!なんかいいな。似合いそう!」

「似合いそうって何だよ!直樹は?決めてんの?」

「俺、美容師になりたい。」

「え。ダメ。」

「は?何で!」

「だって、色んな男が寄ってくる!!ヤダ!心配!」

「はぁぁぁぁ。てか、何で男限定?!どんな仕事だって人との関わりはあるだろ。それにさ・・・。」

「それに?」

「俺は、お前の方が心配だけど?圭一郎、モテるじゃんか・・・。カッコいいし。」

「直樹!!もしかして直樹もそんな事考えてくれてんの?」

「はぁ~?ヤキモチくらい妬きますけど!」

「嬉しい!!!!」



 今は同じ学校で毎日一緒に居られるけど、そのうち必ずバラバラになる日が来るんだ。おそらくそれは一年後。あと一年しかないんだ。その一年を悔いの残らないように圭一郎との楽しい思い出でいっぱいにしないとな・・・。



 そう考えると・・・なんか寂しいな・・・



「俺、圭一郎と離れたら・・・やっていけないかも・・・。」



 急に押し倒された。



「なおきぃぃぃ。何それ!嬉しい!!俺も直樹と離れたくないっ!!!」



あれ、声に出てた?恥ずかしいな、おい。



「俺の学校と直樹の学校が近くでさ、地元からはそんなに遠くないけどギリギリ家からは通えない距離の所にあれば一緒に住めるのにな!!」



 その、何とも都合のいい発想に笑いが出た。

でも、本当にそんな学校があって、一緒に住めれば最高だな!!



「直樹。話はこれで終わりにしよう!あとは身体で話し合おう!!」

「はははっ!何だよ、そのエロオヤジみたいな言い方!!」



 そして・・・今日も今日とて、仲良くお風呂に入る。







「ねえ、圭一郎。・・・今日さ、対面座位でしてみたい。」







 圭一郎が顔を真っ赤にするのはいつもだから、もうツッコミもしない。







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