上 下
3 / 40
短編

我が愛しき町娘

しおりを挟む
 お昼を告げる教会の鐘の音がフォレストクレスの町に響き渡る。仕えている神である大地の神に祈りを捧げていた僕は、その鐘の音を聞いて祈ることを止めて食堂に足を運んだ。
 食堂には町から差し入れられた食事が食卓を賑わせ、十五人ほどの神父が席にいた。その中で若いのは僕だけだが、三十という年齢を考えるならば若いとは言えないだろう。

「いつもありがとう、シーナ」
「いいえ、セドリック様」

 持ってきたパンや野菜をテーブルに並べ、頬をうっすらと朱に染めながら微笑んでそう答えたシーナは十八の娘で、二年前にこの町に来た娘だった。

 シーナの話によると二年前に降った大雨が元で川が決壊し、その町の畑や家屋がたくさん流されたり駄目になったらしい。町の半分は大丈夫だったものの暮らすには不十分で、他国や近隣に親戚や親兄弟がいる人たちはそちらを頼って町を出たそうだ。
 シーナの家もその中に入っており、この町で宿屋をしている伯父夫婦を頼ってこの町に移って来たと言っていた。
 伯父夫婦も人手不足で困っていたらしく、手伝ってくれるならということでシーナたちの家族を受け入れ、宿屋を手伝っているそうだ。

 そんなシーナと初めて会ったのは二年前の雨の日だった。

 その日、僕は折れてしまった羽ペンを買い求めに町の中心に来ていた。他の神父にも頼まれたのもあって羽ペンを何本か買い、店を出てすぐのところで、店先で踞っている少女を見つけた。

『大丈夫かい?』

 具合が悪いのかと思い声をかける。
 ハッとしたように顔を上げた少女を見て思わず息を呑んだ。

 黒髪に縁取られた小さな顔と白い肌、プクリとしたピンク色の唇。今にも溢れ落ちそうなブルーの瞳は涙に濡れていた。
 見たことがない少女をずっと見ていると、見る見るうちに頬を赤く染めた少女に思わず抱き寄せそうになる。それをこらえてもう一度大丈夫かと問えば、少女は涙をこらえながらも少し困った顔をしながらおずおずと足を出した。

『お使いから帰る途中で石を踏んでしまって……そこで転んでしまって足を挫いてしまったんです』
『足を触ってもいいかな?』
『はっ、はい』

 赤く腫れ上がった足を少し持ち上げると、少女は『痛いっ!』と足をビクリと震わせた。そのことが申し訳なく、顔を上げて謝ろうとして再び息を呑んだ。

 踞ったせいで雨避けの外套が開いたのか、目の前には膨らみ始めた少女の胸があり、外套が開いたせいで雨に濡れたせいなのか服が透け、少女の胸の大きさとピンク色の先端がうっすらと見えてしまったからだ。

 何とか視線を逸らせて少女の外套を直し、胸を隠すと少女を抱き上げた。

『あ、あの……っ!』
『痛くて歩けないんでしょう? 医者に連れて行くだけだから、少しだけ我慢してね。……僕はこの町の教会の神父でセドリック。君は?』
『セドリック神父、様? あ、私はシーナです。最近この町に来ました』

 そう言った少女……シーナに、だから見たことがないのかと納得する。その時に、医者に行く道すがらでシーナがこの町に来た理由と、どこに住んでいるのかを聞いたのだ。
 医者に連れて行って手当てをしてもらい、彼女を宿屋に連れて行ってそこで別れた。

『きゃあぁぁぁっ! 服ーーっ! 胸っ、胸ーーっ!』

 宿屋を出る時に彼女の叫び声が聞こえた。思わず笑ってしまったものの先程の彼女の胸を思い出してしまい、外套の下で自分の肉竿が張り詰めるのがわかる。

(これではいけない……帰ったら祈りを捧げ、懺悔せねば……)

 僕は神に仕える身だ。同年代の女性にすら欲情したことがない僕が、年頃の、或いは年端も行かぬ少女に欲情したなどあってはならないことだ。
 それに僕自身は宿屋にはほとんど用事がないし、町に出ることも滅多にないから会うことはないはずだ。

 懺悔しているうちに彼女のことは忘れるだろう――

 この時の僕はそう思っていた。

 苦労をしたものの、思い出す度に懺悔を重ねて何とか忘れることができた頃、シーナが突然教会にやって来た。何の用事かを問えばお礼に来たと言って頭を下げ、医者に連れて行ってくれたお礼だと言って差し出された籠にはパンや野菜が入っていた。
 それを受け取ってその日は別れ、それで終わりだと思っていた。
 なのに彼女は三日に一度教会に来ては、お礼だの差し入れだのとわざわざ僕を指名して籠を渡すものだから、教会にいる他の神父がシーナの顔を覚え、彼女が顔を出すとなぜか呼ばれるようになってしまったのだ。

 最初は籠を渡したりするだけだったのが町で見かければ挨拶をするようになり、時には立ち止まって話をするようになった。そしていつしか彼女に惹かれ始めていることも気付き始めていた。

 それが僕の苦悩の始まりだった。

 神に仕える身でありながら、十二も離れている少女に惹かれる自分――。

 教会の中には妻を娶とり、子を成している神父がいないわけではない。だがそれは年相応な年齢差であって、十二も離れているわけではないのだ。
 そして自分の気持ちを決定付けたのは、町で見かけた彼女が同年代の少年と楽しそうに喋っていたのを見た時だった。

 なぜ自分が同年代ではないのか苦しかった。その楽しそうな笑顔を僕のほうに向けてほしかった。

 これは罰なのだと……自重しろ、分を弁えろということなのだとそう思った。そう思って彼女とは適度な距離を保ち続けた。

 だが、去年の豊穣祭で思いがけず彼女から誘われ、行くつもりがなかったのに他の神父からも『行って来ていいですよ』と言われてしまって、結局彼女と出掛ける羽目になってしまった。

『僕ではなく、同年代の少年を誘わなくてよかったのかい?』

 思わずそう聞いてしまった僕に、きょとんとした彼女はしばらく考えたあと、何かに思い至ったのか、『あ』と言って話し始めた。

『せっかくの豊穣祭なのに兄と出掛けるのも……。同年代の知り合いはいないですし、兄も恋人と出掛けると言っていたので。……あの、もしかしてご迷惑でしたか?』
『そんなことはありませんよ。ただ、かなり歳上の僕でいいのかなと思ったものだから』
『二つ三つくらいならそんなに離れていないと思うんですけど』

 不思議そうに首を傾げた彼女に苦笑する。

『いや、新年が来れば僕は三十になるから』

 そう告げると、彼女は足を止めて驚きの声をあげた。

『ええーっ?! 全然そんなふうに見えません!』
『そう?』
『はい!』

 ならいいんだけど、と言いながらまた歩き出した。
 彼女の言葉が嬉しかった。たとえお世辞だったとしても僕はそれが嬉しく、彼女を愛しく思った。

 人が増えて来たから彼女と手を繋いで歩く。珍しいお菓子や食べ物を二人で見て回り、シーナの唇についていた食べ滓にクスリと笑うと、彼女は『なんですか?』と聞いて来た。唇を舐めたい衝動を押さえつつ

『お菓子の屑がついているよ』

 と唇を親指でなぞると彼女はピクリと肩を震わせたあとで、夕暮れ時でもわかるほど顔を赤らめていた。
 素直な反応を見せる彼女はこんなにも可愛い。プクリとした可愛い唇を貪ったら彼女はどんな反応を示すのだろう……。

 そう思う自分が浅ましく思え、軽く頭を振ってその気持ちを追い出す。

 飲み物を飲んだり輪に入って踊るシーナを見たり。踊っている間に彼女に似合いそうな髪飾りを買い、最後は宿屋まで送る。

『今日は楽しかったです!』
『それはよかった。では、その記念に』

 彼女に買ったばかりの小さな袋を贈ると、彼女は『開けていいですか?』と言ったあとで早速それを開け始める。それを見た彼女の顔がキラキラと輝きだした。

『ありがとうございます、大切にします』

 あの日見た以上の笑顔を向けて嬉しそうに笑ってくれた。それが愛しくて思わず額に口付けを落とすと、我に返って彼女から離れた。

『僕も楽しかったよ。……おやすみ、シーナ』
『あ……お、やすみ……なさい』

 顔を真っ赤にしながら呆然としている彼女に、軽く手を上げて暇を告げた。

(僕は今何をした……?)

 足早に教会に戻って神に懺悔をする。
 僕は神の下僕だ。それを忘れてはならない。

 ただひたすらにそれを懺悔し終えると、この教会で一番歳かさの神父が椅子に座って僕を見ていた。

『ミゲール様……』
『セドリック……神に仕える身ではあるが、大地の神は愛を否定することはせぬよ。だからこそ大地の神に仕える神父は婚姻を許されているのじゃ』

 そう言ったミゲールの目はとても慈愛に満ちている。

『儂も若い頃は苦悩したものじゃ。だがの、お前と同じように苦悩していた時、当時一番歳上だった神父様に同じことを言われたのじゃ。それがあったから儂は妻を娶とることができ、子にも恵まれ孫もできた』
『ですがミゲール様、僕の場合は彼女に相応しいとは思えないのです。歳がかなり離れた僕では彼女には……』
『ふむ……それを決めるのは彼女ではないのかね?』

 そう言ったミゲールに、僕は哀しく笑う。

『本来ならばそうなのでしょう。ですがそれは僕が一方的に思っているだけであって、彼女はきっと何とも思っていませんよ? 知り合いがいないから……助けてもらったから……それだけのことだと思います』
『セドリック……』

 溜息をついて何かを言いかけたミゲールに、首を振って立ち上がる。

『お話を聞いてくださり、ありがとうございます、ミゲール様』

 頭を下げてその場を後にし、部屋に戻って着替えるとベッドへと身体を沈める。
 ミゲールの言葉は嬉しかった。だが、人を愛するということは、心を豊かにも醜くもする。

 シーナの側にいたい、シーナの全てが欲しい、僕だけを見つめて欲しい……

 そう思う今の僕は醜いのではないのか……そう思うことしかできなかった。そう思い、忘れようと必死なって神に仕え、懺悔と祈りを捧げるもなぜかミゲールは僕を心配そうに見つめていた。
 そしていつしか僕はここにいたらシーナのことを忘れられず、醜い感情だけが育つのではないかと恐れ始めた。
 ならばこの町から出て別の町の教会に行けばいいのでは……そう考えてミゲールに相談するとミゲールは溜息をついて首を横に振った。

『頼んでやりたいがの……もうじき大地の神の感謝祭があるじゃろう? 今お前に抜けられるのは時期が悪い』
『ですが……!』
『他の教会とて同じじゃよ、セドリック。移動するにしても、どの教会も今は受け入れてはくれぬぞ? 一人になりたいというのであれば、教会から少し離れた場所に儂が所有している家がある。しばらくそこから教会に通ったらどうじゃ? どのみち感謝祭まであと二月ふたつきあるからの……それまで少し考えてみてはどうかの? 自分の気持ちも、彼女の気持ちもな』

 そう言われたのが先程の礼拝の前だった。

 自分の気持ちなど、とっくにわかっている。
 彼女の側にいたい、でもいたくない。

 相反するこの気持ちが押さえられなくなる前に、彼女を無理矢理自分のものにしてしまう前に――

「……様、セドリック様? お加減でも悪いのですか?」

 シーナに呼ばれて我に返る。目の前にはいつの間にかパンと野菜とスープがおかれ、彼女が心配そうに僕を見ていた。
 何とか笑顔を浮かべて「大丈夫です」と言えば、彼女はホッとした顔をした。

「少し考え事をしていたんです」
「ならいいんですけど……。あの、スープが冷めてしまいますからお食事を……」
「ああ、すまない、シーナ。いただくとしよう」

 そう言って神に感謝の祈りを捧げて食事を食べる。

 あと二月ふたつきある……その間に自分の気持ちにケリをつけねばならないと内心で溜息をついた。


 ***


 その日の夜。
 夕方、少ない荷物を持ってミゲールに家を案内された。こじんまりとした家で小さいながらも庭があり、野菜や果物、花などが植えられていた。
 この家は元々ミゲールの娘夫婦が住んでいたらしいのだが、義息子が故郷に帰って家を継ぐからと、十日ほど前に引っ越して行ったらしい。
 庭の植物は好きに使ってくれていいと言われ、世話の傍ら食べてくれとミゲールに言われている。
 室内は台所と食卓が一緒になっている部屋、寝室、他に部屋が二つあった。二つのうちの一つは子供部屋だったようで、その名残が壁に書かれた悪戯書きだった。

 寝室にはベッドが残され、寝具もそのままだった。

「寝具は昼間、新しいものに変えたからの、遠慮なく使うといい」
「ありがとうございます」
「まあ、何かあっても無理はするでないぞ? 三日ほど休みをやるから、ゆっくり考えなされ」

 三日も休みをくれると言ったミゲールに驚きつつ、含みを持たせたようなミゲールの言い方に首を傾げたものの、もう一度「ありがとうございます」とミゲールを見送った。荷物をほどき、ミゲールにもらった夕食を食べ、教会にいた時のように祈りを捧げている時だった。
 扉をノックする音が聞こえてそちらに向かう。ミゲールが何か言い忘れたのかと思って扉を開けると、そこにはシーナがいた。

「シーナ……? 夜にどうしたんだい? この家は誰に聞いたのかな?」
「ミゲール様にお聞きしました。それで、あの……セドリック様に聞いていただきたい話が……」

 俯くこともなくいつも明るいシーナが、珍しく思い詰めた表情をして俯いた。
 夜に一人で出歩くとか、神父とは言え年頃の娘が男の一人住まいの家に行くとか、あのお喋りミゲールめとかいろいろと言いたいことはあったが、とりあえずシーナを招き入れて台所に案内すると、彼女を落ち着かせるようにお湯を沸かしてお茶を入れた。

「ありがとうございます……」
「それで、どうしたんだい? 僕に何を聞いてほしいのかな」

 そう聞いた僕に、シーナは口を開いては閉じるということを繰り返し、やっと意を決したのか徐に話し始めた。

「あの……この町を出るって本当ですか?」
「……誰に聞いたの」
「ミゲール様に……」

 そう言ったシーナに、内心でまたあのお喋りがと罵る。

「そう……ミゲール様に……」
「なぜ町を出るのですか? わ、私がセドリック様につきまとったからですか……?」
「それは違うよ、シーナ。これは僕の我儘なんだよ。……側にいて欲しいと思う人がいる。でも、側にいたくないと思う僕もいる。だから……」
「私じゃ駄目ですか……?」
「シーナ……?」

 カタンと音を立てて席を立ったシーナが僕に近付いて抱き付いて来た。その行動に戸惑い、勢いで椅子ごと倒れそうになるも何とか堪えてシーナを受け止める。

「シー……」
「私じゃ駄目ですか? ……その人の代わりになれないかも知れない……でも、わ、私は……セドリック様が好きなんです! 初めてお会いした時に惹かれて、話すうちに好きになって……。セドリック様からすれば子供かも知れないけど、でも私は、セドリック様が好き……ん」

 シーナがそんなことを思っているとは思わなかった。シーナの告白が嬉しくて……自分と同じ気持ちでいてくれたことが嬉しくて、思わず顎を捉えて唇を奪う。

「セドリック様……?」
「シーナ……僕も君が好きだ。僕はかなり歳上で、シーナに相応しくない。それでも……」
「私の気持ちを勝手に決めないでください! 私は、セドリック様が……っ」

 僕の服をギュッと掴んで見上げたシーナに、自分の中に押し込めていた何かが暴れだし、蓋を壊す。
 もう止められない……止まらない。
 ミゲールは僕の気持ちもシーナの気持ちも知っていたうえで、僕に休みを三日もくれたのかと……ふと、そう思った。
 ならば。

「そう……わかった。君がどんなに嫌だ無理だと言っても、僕の思う通りに君を抱くよ、シーナ」
「あ……」
「僕の枷を外したのは君だよ。そして高ぶったものを鎮めることができるのも君だ」

 覚悟してね……そう言って口付けを落として彼女の唇を貪り始める。最初は触れ合うだけの口付けを落とし、口を開かせるために舌で唇を擽るようになぞって行く。
 開いた唇に舌を入れ、ゆっくりと上顎を舐めるとシーナの肩がピクリと跳ね、僕の服をキュッと握り締める。そのまま上顎を舐め、歯の裏を舐め、頬の内側を舐め回し、最後に舌を絡める。

「ん……、ふ……、んぅ……」

 鼻に抜けるような声を発したシーナの舌を自分の口の中に導くと、シーナは口付けに夢中になりつつあるのか同じように舌を絡めて来た。舌を絡めたまま身体を撫で始めるとシーナの身体がピクリと震える。
 腰を撫で、お腹を撫で、胸に到達して撫で回し、唇を離してシーナの舌を愛撫するように自分の唇でゆっくりとしごいた。

「ん……、あ……、セドリック様……」
「シーナ……」

 もう一度口付けをし、同じように口腔を愛撫しながら、今度は撫で回していた胸を鷲掴んでやわやわと揉み始める。

「んっ、ん……っ、んん……っ、んぁ、ああ……っ」

 揉んでいるうちに服の上からでもわかる程胸の先端が尖り始める。唇を離して更に揉みしだけばシーナが喘ぎ始めた。しばらく胸を揉んでからシーナを全裸にすると、僕は椅子に座ったまま立っているシーナの身体を見る。

 白い肌と、二年前に見たときよりも大きくまろやかになった胸、硬くなり始めたピンク色の先端、薄い繁み……。そのどれもが綺麗で美しく、己の気持ちと肉竿を高ぶらせて行く。

 胸に手を伸ばして鷲掴むと、円を描くように回しながら揉み始める。

「あ……っ、あん……、はぁ……っ」

 頭を退け是らせて顕になった首を舐め、唇と舌を這わせながら揉んでいた手を止めて胸の先端を摘まんで捏ねるとシーナの身体がピクリと震えた。

「あ……っ、や……ん、は……っ」

 ピンク色だった先端や身体が赤く色付き、硬く勃ち上がった先端を指で捏ね回し、時折擦りながらぐりぐりと回すと身体が微かに震えだした。倒れそうなシーナを抱き寄せてもう一度口付けを落とし、下履きだけを全て脱ぎ捨ててシーナを僕の膝に跨がらせると、彼女の足を更に広げるようにそのまま自分の膝を開く。

「いや……恥ずかしい……っ」
「どうして? これはシーナを妻とするための……そして好きな人との間に子を成すための行為だよ? ……僕の妻になるのは……僕の子を産むのは……嫌?」
「そんなことありません! 私こそ……セドリック様の妻になっていいんですか……? セドリック様のお子を産んでも……ひゃぁんっ、あっ、ああ……っ」
「シーナじゃないと駄目なんだよ、僕は……。言ったでしょう? シーナだけが僕の高ぶりを鎮めることができるって」
「ああ……っ、はぁ……、あ……んっ」

 シーナの背中を支え、胸を揉みしだきながら耳や首筋に唇と舌を這わせる。赤く染まり始めた肌をきつく吸い上げれば、そこに真っ赤な華が咲いた。
 背中を支えていた手を下に伸ばして背中側から秘部を触るとそこは濡れ始めていた。秘唇を愛撫するようにゆっくりと撫でると、シーナが僕の腕を掴んで背中を反らせた。

「あっ、やっ、あ……っ」

 感じ始めたその身体を楽しみつつ、秘唇を愛撫しながら唇と舌を胸に這わせて舐め回したあとで先端に口付けを落とす。

「ひゃんっ、あっ、ああ……っ」

 口付けを落としたあとで先端を口に含み、唇で挟んで舌を這わせる。硬くなっている先端を飴のように舌で転がし、唇でしごいてまた口に含み、歯を宛がって舌でしごけばシーナが益々喘ぐ。

「あっ、あああっ、やぁんっ! ああっ!」

 片方の胸の先端を歯と舌で愛撫し、片方は胸の先端を指先で挟みながら揉みしだく。そのままの状態で肉芽を摘まめば、軽く達したのかシーナが身体を震わせて可愛く啼いた。
 唇はそのまま愛撫をし、揉んでいた手を離して前から肉芽を捏ね回し、背中から回していた手は蜜壺に指先を挿れてグリグリと回した後で、ゆっくりと出し入れし始める。

「ああんっ、セドリック様ぁっ、また、またくるのぉ……っ、ああああっ!」

 くゅくちゅと音を響かせながらシーナを愛撫すれば、シーナはまた達したのかピクピクと身体を震わせる。
 達する度に解れて行く蜜壺に指の本数を増やして蜜壺を掻き回し、硬く尖る胸の先端を交互に愛撫し続ける。
 彼女が何度達しようと愛撫を止めることなく、何かを求めるように揺れ始めた腰に笑みを浮かべながらも、彼女の身体に覚えさせるようにひたすら愛撫を施す。
 トロンとした目をしながら啼き、喘ぐシーナの腰を抱えると、いきり勃った肉竿を蜜壺に宛がってそのまま彼女の腰を引き下ろせば、壁も難なく破いて奥まで到達する。

「く……っ、はぁ……っ、シーナ……っ」
「ひんっ、いたぁ?! あああああっ! ひあっ、やあっ! ああんっ!」

 いきなり挿れた肉竿に驚いたのか、彼女は痛いと言いながらも僕の首に腕を回して来てしがみついて来た。それを嬉しく思いながら下からゆっくりと二、三度突き上げれば、それに合わせて啼くシーナ。ふと秘裂をなぞって自分の指先を見れば、蜜に混じって赤いモノが見えた。
 ベッドで抱いてやれなかったことを申し訳なく思いつつも、シーナの処女を奪ったことに喜びを感じる。
 腰の動きを止めたまま肉芽を弄れば、彼女はしがみついたまま背中を反らせ、頭を下げて突き出された胸の先端を口に含めば、僕の肉竿をギュッと締め付けて啼くシーナ。

(ああ……何と甘美な啼き声と身体だろう……)

 その甘く響く啼き声も、肉竿を締め付ける蜜壺も……僕の心と身体を夢中にさせる。
 肉芽を弄るのを止めて腰を掴み、胸の先端を口に含みながらゆっくりと腰を動かし始める。

「ああんっ! セドリック様ぁぁぁっ!」
「シーナ……っ、愛しています……っ、ああ……シーナ……っ」
「私も、愛していますっ、あっ、ああっ、ああああっ!」

 びくびくと身体を震わせて達した彼女に構いもせず、そのまま突き上げるスピードを上げればまたシーナが達し、それに続くように僕も達すると、彼女の蜜壺に精を吐き出した。

「あ、あ、セドリック様……」
「シーナ……ごめんね。我慢できなかったんだ……。一度身体を綺麗にしたあと、今度はベッドで、今以上に時間をかけて抱いてあげるよ」
「え……っ? あんっ」

 彼女の蜜壺から肉竿を抜けば、まだまだ余韻があるのか、それだけで甘く啼く。そのまま抱き上げて湯浴みの場所へ連れて行き、自分は裸になって一緒に入る。
 汗を流し、シーナの秘裂を綺麗にしたあと、湯浴みから上がって寝室へ向かうとベッドへと寝かせ、そのまま覆い被さって口付けを落とした。

「あん……ん……」

 ちゅっ、ちゅっ、と音をたてながら肌を吸っては華を散らし、胸の先端を両方軽く吸ってそのまま秘部を目指す。脚を広げて片脚を持ちあげると唇と舌を這わせる。
 それと同時に肉竿に親指を宛て、蜜壺に指を二本挿れて出し入れすれば、彼女はまた甘く啼き、喘ぎ始める。
 脚にも華を散らし、膝を曲げて更に脚を広げ、ひくつきながら濡れそぼった秘裂に顔を埋めて肉芽を吸えば、彼女の身体がビクリと跳ねた。

「んぁっ、そんなっ、あっ、駄目ぇっ、ああっ!」

 秘裂を舐め、秘唇をなぞり、蜜壺に舌を挿れて中を舐める。掴んでいた脚を離して彼女の脚を自分の肩に乗せると、身体を起こして彼女の胸に両手を伸ばして掴み、先端を指で挟んでゆっくりと円を描きながら揉み始める。

「やあっ! ああんっ!」

 びくびくと身体を震わせて達したシーナの脚を肩から下ろして腰を掴むと蜜壺に肉竿を挿れ、肉芽を弄りながらゆっくりと腰を動かせば、僕の肉竿を咥わえ込みながらひたすらに啼き声をあげるシーナ。

 愛しくて可愛いシーナ。
 そしてもっと啼かせたい、もっと喘がせたい。


 ――もっと僕に溺れさせたい……この気持ちのいい身体をもっと貪りたい――


 肉芽を弄るのを止めて胸の先端を弄れば喘ぎながら乱れ、胸の先端に吸い付いて舌でしごけばまた乱れるシーナ。
 そのまま一緒に登りつめて精を吐き出し、ひっくり返して胸を鷲掴み、獣のように後ろから攻めあげて精を吐き出す。

「はぁ、ああっ! あああああっ!」
「ああ……っ、シーナっ!」
「セドリック様ぁっ!」

 もう一度ひっくり返してシーナを抱いたあと、高ぶっていた気持ちを何とか鎮めることができた。

「はぁっ、セドリック様のバカぁっ! もう……動けませんっ!」
「可愛く啼いて喘ぐシーナがいけないんだよ……」

 さすがに疲れたと言ってしばらく息を整えたあとでシーナの身体を綺麗にすると、シーナを腕に閉じ込めて横になる。

「シーナ……愛してるよ」
「私もです、セドリック様。それで、あの……この町からは……」

 不安そうにそう言ったシーナの額に口付けを落とすと、少し強めに彼女の身体を抱き締める。

「うん、ここにいるよ……シーナが僕の側にいてくれる限り……。改めて言うよ。僕の妻になってくれるかい?」
「……はい」

 抱き締めていた腕に重ねるように、僕の腕に触れながら頷くシーナだが、眠いのか瞼が落ちかけている。

「今日はもう眠ろう、シーナ。明日また抱かせておくれ」
「は……い……」

 無意識で返事をしたらしいシーナにクスリと笑うと、彼女はいつの間にかスースーと寝息を立てていた。

「……そんな返事をして……。本当に朝から抱くよ? 動けなかったら、僕がご飯も食べさせてあげるからね?」

 柔らかい彼女の肢体を抱き締めて眠る至福。
 彼女の寝息を聞いているうちに、僕もいつしか眠りについていた。


 残りの二日間はシーナの世話をしながら抱き潰し、その後は神に仕えながらも七日に一度シーナに会えば、また彼女を抱いた。

 シーナを初めて抱いてから一月ひとつき後、慌ただしく準備しながらも本当の意味でシーナを妻に迎えた。
 二人で住む家はもちろん、ミゲールが貸してくれたあの家だ。

『儂はそのつもりだったから、セドリックに家を貸したんじゃがの』

 可可と笑ってそう言ったミゲールに、僕は頭を下げて感謝を述べることしかできなかったが。


 年齢から言えば、シーナよりも先に僕が逝く。だが、世の中何があるかわからない。
 もしかしたらシーナが先に逝くかも知れないし、二人一緒かも知れない。

 それでも僕はシーナが側にいれは幸せだし、シーナと巡り合わせてくれた大地の神に感謝を捧げることもいとわない。

 死が二人を別つまで……いや、別つあとも、僕は彼女を愛しぬくだろう。

 だからこそ、この一瞬を、時間を、日々を大切にしたい。

「あっ、あっ、はぁっ、セドリック様ぁ! ああんっ!」
「シーナ……今日も可愛いね……そう、もっと啼いてごらん? シーナはこうされるのが好きでしょう? こうされると、ほら……」
「ひぁっ! やめっ、あああああっ!」

 肉竿をシーナの蜜壺に挿れてゆるゆると腰を動かしながら彼女の肉芽と胸の先端を捏ねると、途端に背中を反らせて僕の肉竿が欲しいとばかりに締め付け、咥わえ込んで離さない。


 ――大事で、大切で、愛しい僕のシーナは、今日も僕の指と唇と肉竿で可愛く啼いて喘ぎ、僕の肉竿を咥わえながら乱れるのだった。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

伯爵令嬢は執事に狙われている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:449

センチネルバースの証文

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:26

ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,790pt お気に入り:22,200

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:3,152

鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,052pt お気に入り:160

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:668pt お気に入り:139

処理中です...