オカマ上司の恋人【R18】

饕餮

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圭視点

Tequila Sunset

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「スゲー……」
「すごいね……」
「なにが?」

 よくわかっていない葵はともかく、上の二人は私の指輪を見てある意味呆然としていた。
 真琴も翼も「兄」という存在は初めてで、「オカマ」だの「キモイ」だの言っていた真琴もなんだかんだと泪を認めているし、翼に至っては「格ゲーしよう」と泪を誘い、私たちが「帰る」と言うまで、葵を交えて一緒になって遊んでいた。
 泪も「妹」や「弟」という存在が初めてで最初は戸惑っていたようだけれど、いつの間にか三人に溶け込んでいた。それが嬉しかったのは、泪には内緒だ。
 男三人が遊んでいる間、私は母と真琴の三人で御節の手伝いをしていたのだけれど、それも終わったので帰ることにした。

「あー……疲れた……」
「お疲れ様」

 停めてあった車に戻り、車内を温めている時、ポツリと呟いた泪の言葉に労いの言葉をかけつつもクスクス笑う。

「でも楽しかったわ」
「それはよかったです。ところで、どこに向かってるの? 自宅の方向じゃないみたいだけれど……」
「ん? アタシの実家。今朝言わなかったかしら?」

 泪の言葉に、そう言えば……と思い出す。
 話しているうちにいつの間にか発車させていた車内での会話で、『二~三日アタシの実家に泊まるから』と、今朝になって急に泪に言われたのだ。私の実家に泊まる場所がないわけではないけれど、今年は泊まり客があるからと言われていたので、「じゃあギリギリまで居させてもらいましょ?」とギリギリまでいたのだ。

「でも、いいのかな……私なんかが行っても……」
「姉さんたちや父が『絶対に連れてこい』って言ったんだからいいのよ。それに、アタシの婚約者なんだから、『私なんか』って言わないの!」
「うん……」

 泪はそう言ってくれたものの、本音を言えば不安は消えていない。けれど、その言葉がとても嬉しくて、膝の上に乗っている紙袋をキュッと掴んだ。


 ***


「さあ、ついたわよ」
「…………」

 車をガレージに入れたあとで泪に案内されて玄関前に一緒に立っているのだけれど、思わず家を見上げてあんぐりと口を開ける。

(一般庶民的な我が家と比べちゃだめ。比べちゃだめだけど……!)

 漫画でいうなら「どーん」とか「でーん」という擬音が似合うほど大きな家だった。思わず一歩引いてしまったのは仕方がない。逃げて帰ろうかという私の内心を察したのか、泪に手をガシッと掴まれ、「今更逃げるのはナシよ」と釘を刺されてしまった。
 諦めていたら手を握ったまま泪に引かれ、一緒に玄関を潜る。

「ただいま」

 泪の声に、奥からパタパタと走る音がしたかと思うと瑠香が現れた。

「お圭ちゃん、いらっしゃい!」

 いきなり抱き締められて驚く。

(き……今日は私よりも背の高い女性に抱き付かれる日?!)

 そんなふうに内心あたふたしながらも、「あ、あの」と言うと、「姉さん! お圭ちゃんはアタシのよ!」と泪にぐっと引き寄せられた。

「泪のケチ!」
「ケチじゃないわよ!」
「ふん! まぁ、いいわ。改めて……いらっしゃい、お圭ちゃん」
「こんばんは、瑠香さん。お招きありがとうございます」
「いいのよ。さあ、堅苦しい挨拶はナシ! あがってちょうだいな」
「はい。お邪魔します」

 泪と一緒に瑠香のあとをくっついて行くと、八畳くらいの広さの座敷に通された。そこがお座敷だったので、どうしようと悩む。
 足が悪い私はうまく正座できないばかりか、長い時間座れない。荷物を置く泪を待っているふりをして立っていると、泪が「あっ」と言って部屋を出て行こうとした瑠香を呼び止めた。

「姉さん、悪いんだけど、部屋を変えてくれない?」
「なんで? ……あっ! ごめんなさい、失念してたわ!」

 そう叫んでパタパタと走り去る瑠香を不思議そうに見送っていると、泪に話しかけられた。

「一旦座りましょ? 足を伸ばしたままでいいからね?」

 そう言われて初めて、気を使わせしまったのだと思い至った。

「ごめんなさい……」
「どうして謝るの?」
「だって……」

 ゆっくりと腰を下ろしながら座り、言葉に甘えて足を伸ばすと、泪が私の後ろに座り込んで抱きしめて来た。

「ちょっ……泪さん!」
「背もたれ代わりよ。寄っかかって」
「でも……んっ」
「昨日は触れられなかったから、ちょっと触れるだけよ」
「あ……っ」

 ぐっと後ろに引かれたかと思うと両胸を掴まれ、円を描くように回しながら揉み、首筋を舐める泪。

「あら残念……時間切れ。今夜は、この数日分もたっぷり可愛がってあげるからね♪」

 そう言うと胸から手を離し、お腹の辺りで手を組んだ。
 チュッと頬にキスをされると同時にパタパタと音がして「お待たせ」と言って瑠香が入って来たけれど、私たちを見て目を眇る。

「泪……イチャついてないで、一緒に来なさい」
「いいじゃないの、婚約者同士なんだから」
「皆の目のやり場に困るから言ってんのよ」
「ハイハイ、申し訳ございませんでした! 行きましょ? お圭ちゃん」

 泪はそう言って立ち上がると、私をひょいと持ち上げて立たせてくれた。

「ありがとう、泪さん」
「どういたしまして。荷物はアタシが持つからね?」
「うん」
「用意はいいかしら? はい。じゃあ出発ー!」

 泪が荷物を持ったと同時に瑠香の声がかかり、泪と二人でまた瑠架のあとをくっついて行った。
 着いた先にはソファーとローテーブルがあり、ソファーには泪にも瑠香にも似た壮年の男女が座っていた。


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