純潔の嘘と金の愛

蜜花

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膨らむ問題

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 シャワーの後、念入りに肌の手入れをしてからベッドに潜り込む。すると、ノックの音の後、モカが入ってきた。


「僕もここで寝ていいかな?」


 モカがハニカムのような笑顔で見つめてくる。私は見ていられなくて、目をそらし、思ってもない言葉を冷たく言い放った。


「ハーティスの部屋で寝たら」


 モカは首を振り、布団をめくってベッドに入ってくる。

「そんなこと言わないで」

 甘えるような声に、胸がドキドキしてしまう。彼のくすんだ金色の癖っ毛が好き。優しい瞳が私を見つめる。この笑顔が大好きだった。騎士団の過酷な任務で傷ついても、モカの「愛してる」に癒されてきたのに、今は信じられない。


「今日、僕の職場に来てたんだろう?」

 「カエデに呼ばれたから……」

 「あの子か。プラティナと仲良いよね」


 あなたとハーティスほどじゃない。そう言いたいのに、口を開けば怒りが溢れそうで、黙るしかなかった。


「研究室に来て欲しかったな。僕のこと、思い出さなかった?」


 いつも通りのモカだ。私の手を取って頬にギュッと押し当てる。子犬のような仕草に、愛しさと辛さが混ざって、私は目を閉じた。


「離れているとプラティナが恋しいよ。今は何をしてるかなぁ、寂しがっていないかなって。ねぇ、プラティナも、同じ気持ちでいてくれる……?」


 甘い言葉に、鼓動が速くなる。彼の温かい手が、私の傷だらけの指を包む。信じたいのに、ハーティスの影がちらつく。


「モカ……」


 言葉を紡ごうとした瞬間、ノックもなしに寝室のドアが開いた。


「モカぁ、頭が痛いのぉ」


 見なくてもわかる。声の主はハーティスだ。彼女の声が震え、薄いネグリジェの肩がわずかに揺れている。大きな瞳に涙が浮かぶ。いつもなら華やかな笑顔なのに、こんな時はまるで別人だ。


「ハーティス、大丈夫? また魔力の揺らぎ?」

 モカが慌てて彼女に駆け寄る。私は眉をひそめた。魔力の揺らぎ? そんな話、初めて聞いた。


「行ってあげて」 

「えっ」


 モカの驚いた顔に私も驚いた。こんな夜中に別の女の部屋に行く非常識な行為を、妻である私が許可すれば、モカの罪悪感が減ると思ったのに。


「明日も早いから、寝るわ」


 騎士団の仕事はハードだ。こんなことで睡眠不足になるわけにはいかない。


「ありがとう、プラティナ。部屋に来て、モカ。ほんと、辛いの」 

「うん……おやすみ、プラティナ。」

 部屋を出ていく二人を、背中で感じていた。
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