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子猫の雨月と男の子の雨月2
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その後、私は甲斐甲斐しくしたくはなかったんだけど、柴田君の食べたいものをせっせと口に運び……その感覚はまるで男の子の雨月にしてあげている行為だったので苦になく出来はしたものの、柴田君の嬉しそうな顔が男の子の雨月と重なって複雑だった。
まだ男の子の雨月に再会していなかったから。
今川さんは両手に華の状態で交互にあれこれと世話を焼かれていた。
渡辺さんはケージの上から私と柴田君の状況を見てプルプル震えている怒り心頭の子猫の雨月を必死に宥めていた。
そんな飲み会も終わって……私は渡辺さんの車で送ってもらうことになり、必死にそれを阻止しようとする柴田君を引きずって今川さんが駅の方へ向かう。渡辺さんに送ってもらう私以外は電車組である。あとの二人も今川さんを追って帰宅の途へ。
最後に今川さんが「今度、俺も『うーちゃん』を撫でたいな……渡辺さんみたいに」なんて笑顔で手を振りながら言っていた。反対側の手は完全に柴田君をホールドしたままで。
青い小型のワンボックスカーに乗った渡辺さんが降りてきて助手席を開けてくれた。
そこに座ったら……子猫の雨月は後ろになるの?
私が躊躇したのに気がついた渡辺さんは、私の鞄と子猫の雨月のケージを俺に渡してそこに乗り込んでから膝の上に乗せたらいいよと助言してくれた。
私はその好意に甘えることにした。
ほとんど車に乗ったことがない私はシートベルトの位置がわからず、恥ずかしながらも全部渡辺さんにお任せする羽目になった。
そんな私を嫌がることもなく後部座席に一旦鞄とケージを置き、せっせとシートベルトをセットしてくれて、ちょっと密着することになった私に気遣って軽く微笑んで謝罪してくれた。
私を安心させるかのように私の頭をまるで雨月を撫でるかのような優しさで撫でて、後部座席に置いていた鞄を私に渡し子猫のケージを私の膝の上に愛おしそうに置いてくれた。
なんか、今日一日知らない渡辺さんを何度も目にすることになるとは思わなかった。
無気力な感じでいつもいい加減に過ごしてきていた渡辺さん。
本当に猫が好きで猫のことになると何もかもが豹変するほど真摯で優しくて……仕事での渡辺さんとは真逆だと過言してもいいほどである。
私の自宅の住所を聞いてカーナビに住所をセットすることもなく難なく渡辺さんは運転し始めた。
渡辺さんが運転してその隣に私がいる、不思議な状況だと思うんだよね。
……なんか二人ともなのか気まずいまま静寂が続き、言葉を先に発したのは渡辺さんだった。
「星野、今日は本当に……悪かった……」
視線は前を見たまま悪びれた様子。
私の方が何となく落ち着かなくなってしまった。
まだ男の子の雨月に再会していなかったから。
今川さんは両手に華の状態で交互にあれこれと世話を焼かれていた。
渡辺さんはケージの上から私と柴田君の状況を見てプルプル震えている怒り心頭の子猫の雨月を必死に宥めていた。
そんな飲み会も終わって……私は渡辺さんの車で送ってもらうことになり、必死にそれを阻止しようとする柴田君を引きずって今川さんが駅の方へ向かう。渡辺さんに送ってもらう私以外は電車組である。あとの二人も今川さんを追って帰宅の途へ。
最後に今川さんが「今度、俺も『うーちゃん』を撫でたいな……渡辺さんみたいに」なんて笑顔で手を振りながら言っていた。反対側の手は完全に柴田君をホールドしたままで。
青い小型のワンボックスカーに乗った渡辺さんが降りてきて助手席を開けてくれた。
そこに座ったら……子猫の雨月は後ろになるの?
私が躊躇したのに気がついた渡辺さんは、私の鞄と子猫の雨月のケージを俺に渡してそこに乗り込んでから膝の上に乗せたらいいよと助言してくれた。
私はその好意に甘えることにした。
ほとんど車に乗ったことがない私はシートベルトの位置がわからず、恥ずかしながらも全部渡辺さんにお任せする羽目になった。
そんな私を嫌がることもなく後部座席に一旦鞄とケージを置き、せっせとシートベルトをセットしてくれて、ちょっと密着することになった私に気遣って軽く微笑んで謝罪してくれた。
私を安心させるかのように私の頭をまるで雨月を撫でるかのような優しさで撫でて、後部座席に置いていた鞄を私に渡し子猫のケージを私の膝の上に愛おしそうに置いてくれた。
なんか、今日一日知らない渡辺さんを何度も目にすることになるとは思わなかった。
無気力な感じでいつもいい加減に過ごしてきていた渡辺さん。
本当に猫が好きで猫のことになると何もかもが豹変するほど真摯で優しくて……仕事での渡辺さんとは真逆だと過言してもいいほどである。
私の自宅の住所を聞いてカーナビに住所をセットすることもなく難なく渡辺さんは運転し始めた。
渡辺さんが運転してその隣に私がいる、不思議な状況だと思うんだよね。
……なんか二人ともなのか気まずいまま静寂が続き、言葉を先に発したのは渡辺さんだった。
「星野、今日は本当に……悪かった……」
視線は前を見たまま悪びれた様子。
私の方が何となく落ち着かなくなってしまった。
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