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獣の愛
獣の愛_5
しおりを挟む「…んんっ…──ぁ」
「…っ…愛が欲しければくれてやろう」
「‥‥‥!?…んッ」
口腔に侵入した舌を強引に深くねじ込まれ、唇は密着し、セレナは呼吸もままならない。
逃げ惑う彼女の舌もすぐに捕まりきつく吸われる。
押しのけようと男の胸板を押すが意味はなく、彼女は思わず爪を立てた。
ギリッ...
銀狼の陶器のような白い肌に深紅の血がにじむ。
それでも彼は気にする素振りを見せなかった。
「‥‥ハァ‥‥…ンむ…う」
「……」
「……ッ…!‥‥ハァ‥‥ぁッハァ‥‥」
やめて…こんな
こんな、甘いキスをしないで……!!
激しさがやんだかと思えば優しく絡んでくる男の舌──。
余裕のないセレナは従順にそれを舐めるしかなく、目頭をじんわりと熱くしながら翻弄され続けた。
「‥‥は ぁ‥ッ…」
「……ふっ…」
・・・・チュッ‥
不意に、唇が離れた。
赤く潤んだセレナの瞳を
銀狼が覗きこむ。
「愛してやろうか……。
剣のような…──獣の愛で」
まるで、洞穴の天井からポトリポトリと滴り落ちる水玉のように、一音、一音をゆっくりと……男はセレナに囁いた。
.....
「──…っ」
獣の愛──
「…何…を、言っているの……?」
「──…」
切れ長の目が、彼女を試すように妖しく見つめてきた。
──人離れしたその、美しい眼。
「……!? 」
動揺して泳ぐセレナのブルーの瞳に、口角を上げてふわりと笑った銀狼の顔が映りこむ。
そして男の、グレーの瞳が…。
「───」
それを見つめるセレナの身体から
……徐々に力が失われていった。
力を抜き取られ、その場に立っていられなくなる。
「…‥あ‥‥?‥ハァ…‥‥‥ッ」
これは昨夜と同じ現象──
いや、まるきり違うものだ。
崩れるセレナの身体を支え、銀狼はもう一度、彼女に唇を重ねた。
「‥ん、‥…ふ‥‥」
男と目を合わせた瞬間、昨夜は恐怖で全身が縮こまったというのに……
今の彼女は……彼の醸し出す空気に包まれて、その安堵に身を任せようとするかのような──。
《 くれてやる……獣の愛を
──ツルギのような、危険な愛を 》
「‥ハァ…‥‥ぁぁ‥‥」
セレナの目が蕩けていく。
男の腕に、ゆっくりと身を任せていく……。
「──…娘、お前の名は何という」
「‥‥‥?」
「名だ……お前の名を、私に教えろ……」
「‥‥な‥まえ‥」
意識が少しずつ怪しくなる中
瞼を下ろした彼女は、問われるままに素直に答えていた。
「‥‥セレ ナ‥‥よ‥‥」
「…そうか…、セレナ…」
「──…」
「……堕ちろ……私の元へ」
銀狼の声に導かれ、セレナの意識は暗闇へと堕ちていく。
──
其処に在るのは
恐怖と、不安と……
「──…」
底無しの冷たさ。
尚もわたしを魅了する
深い哀しみの美しさ───。
───…
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