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獣の愛
獣の愛_4
しおりを挟む「…あなたがっ…何を考えてるのか……わたしにはさっぱり分からない……!! 」
「……」
「何がしたいの!?」
あなたの目的は何──?
「わたしをどうしたいの!?」
セレナは混乱していた。
辱しめを受けた男に、捨てた筈の命を救われ、着る物と食べ物を与えられた。
かと思えばこうやって……お前はただの獲物だと言い放たれる。
“ 苦しい…… ”
こんなに苦しいのは初めてだった。
彼女自身、何に苦しんでいるのかも分からない。ただとにかく苦しかった。
今日一日──悩み過ぎてどうにかなってしまいそうだ。
逃げることも死ぬことすらも、彼女はできなかったのだ。
突然に突き落とされた異世界で
もう……何に絶望すればいいのかも定かでない。
銀狼は無言でそんな彼女に近付いていった。
「…やだ…っ!!…来ないで…来ないで!」
セレナは恐怖で立ち上がり
洞穴の中を彼から逃げる──。
「来ちゃいやあ!」
しかし結局…
ジリジリと壁際に追い込まれるしかなく
暴れるセレナの行く手を、彼の腕が阻んだ。
「…ハァ…触らないで……!! 」
「……」
「──ああッ…!…やだ…」
それでも逃れようとする彼女を岩壁に押し付け、その首筋に銀狼は顔を埋める──。
セレナは悲痛な声をあげた。
銀狼の──人の其れより長い舌が彼女の細い首の筋をねっとりと上下する。
そして噛みつくようにキスをしたかと思えば、伝い上がった唇が耳を含んで音をたてた。
「…ハァ…っ」
首を捻って抵抗するセレナ。
彼を振りほどこうにもがっちりと捕まった肩がびくともしない。
叫んだせいで上がった息を整える暇もなく
耳朶をなぶられ穴の中まで擽られると、呼吸は益々乱れていった。
「……も……う…こんなことやめ て……!!」
相も変わらず、セレナの訴えが聞き入れられることはなく……執拗な責めは彼女から抵抗の力を確実に剥ぎ取っていく。
その唇は更に敏感な場所を狙って彼女の身体を下降し始めた。
肩の布をずらされ、胸の膨らみが露になる。
「……っ…ッぁ」
そこに舌が絡み付けば……たまらず声が上擦ってしまう。
クチュ.....
「…ぅ……!! 」
セレナは眉を寄せた。
悔しいのに
ああ、どうしようもない──
昨夜の陵辱ですっかり 女 にされたわたしの身体は
もう抵抗できない……
もう、この男のものだ……
「…‥酷 い‥…ッ‥」
此処に、この行為に、愛はない
「…はぁ…ッ‥愛も、ないのに‥こんなこと…!! 」
──悲しすぎる
「──…愛がないか…」
銀狼は舌をおさめた。
泣きはらしたセレナの目尻に唇をあてる。
「……だがこうすれば、お前の声に甘さが増す」
「……ッ」
「お前の身体は、私の舌を求めている…」
「……ン……ッぁ」
「此れは愛ではないのか?」
彼の手は、セレナの豊かな胸を包み込むように揉みほぐしていた。
「……違 う… こんな…のっ……ンッ」
「──…では、真の愛とは如何なるものか。…心でするものか?」
「…‥アっ‥‥//‥」
心でするのが、お前たちの愛か
「…フっ、そんなものは幻想だ……」
「‥‥ッ…んん」
言い返そうとしたセレナの口に、銀狼の舌が割り込んだ。
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