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黒い笑み ※
しおりを挟む“ な、…何だったのあれ? ”
最後だけどうも様子が違った。
怒っているのかとも思ったけどそうじゃなさそう。
もうその話はするなって……追い返されちゃった気分。
《 嫉妬しちゃうから 》
「──…//」
嫉妬、って……確かにそう言われた。もしそのままの意味だったとしたら
「いや……まさかまさか」
ミレイは独り言を言いつつ廊下を歩く。
“ からかったか……ふざけただけだよ。今日の朝に会ったばかりだよ? ”
何を期待しているのだバカ者。
自分に突っ込みをいれる彼女の顔は、ただいま百面相で忙しい。
あんなに優しくて綺麗な人が嫉妬?
そんなわけなかろうがバカ者。
「よお、お嬢さん」
「……!!」
「なにニヤニヤしながら歩いてんだ?」
周りの様子を気にせず歩いていたミレイは、背後から声を掛けられて凍り付いた。
「あなた……!!」
振り返るとハルトが立っている。
数時間前……リビングのソファーに座っていた時と同じ服装で。
「あなたには関係ないでしょう」
「また口ごたえか。こりねぇ……なあ……」
「じゃあわたし、もう部屋に戻るから…っ」
「どうせ欲求不満で寝れねぇだろ。……覗き女」
ジリ..
ハルトが一歩、こちらに詰め寄る。
「──…!!」
「……どうして欲しい」
「…ッ ぃゃ」
ミレイは反射的に、部屋に向かって彼から逃げた。
「…ハァっ…ハァっ…」
家の中だが全速力だ。
捕まったら駄目だ。何をされるかわかったものじゃない。
部屋の中に逃げ込めさえすればハルトは入ってこられない。
けれど後ろから、ハルトも走る音が聞こえた。簡単には逃がしてくれないらしい。
“ いやだ…!捕まったらまた…っ ”
「ハァハァっ、…ッ…急いで…!!」
自室の前にたどり着いたミレイは急いでパネルに手を置く。
ピーーという機械音とともにパネルが作動し、彼女の手のスキャンが始まった。
「…早く…っ…!!」
ピーーー…
中指の先から
もうすぐ……掌が……終わっ……
カチッ
鍵が解除された。
すぐさまドアノブを取って彼女は扉を開けたが
……しかし
「逃げられると思ってんのか」
「あッ」
開けようとした扉を背後の男が乱暴に押さえ付け、無情にも行く手は阻まれた──。
「お前さ……いちおう俺より年上だろ?話途中で走って逃げるとか何処のガキだよ」
一旦、開いた扉が
また──力ずくに閉められる。
扉とハルトの間に挟まれたミレイは、完全に逃げ道を失った。
「こっち向けよ」
「…ッ いやだ」
走った後遺症で息が切れている。
「さっ、さっきの女の人はどうしたの……!?」
「ンなもんとっくに帰らせた」
顔のすぐ横に手を突かれ、ドアノブを握る手にハルトの手が重ねられた。
「……!?」
ドクン...
“ なにこれ…? ”
息が切れているせいか。
胸のドクドクがさっきよりも激しくなっている。
……それに熱い。
胸も、顔も、身体も
「ハァ…、ハァ…、ぁ…?」
「……んだよ、その声」
彼女の異変に目ざとく気付いたハルトは、身体をぴたりと付けて問い詰める。
「……俺に欲情してんの?」
「ま…さか、…そんなわけ……!!」
「耳が赤い……」
後ろからではミレイの顔を見れないが、赤く染まった彼女の耳が栗色の髪から覗いている。
ハルトはその耳に吐息を吹き込みながら妖しい声で囁いた。
耳から首の後ろ……そして背中へと走った震えが四肢に伝わる。
ミレイはそれを嫌悪感だと思い込んだ。正確には、思い込もうとしたわけだが……。
「いい加減……離してよ!」
「だったら抵抗すればいいだろ?」
「……さっき から……っ、してるじゃない……!」
「──…していない」
彼女を扉に押さえ付け、ハルトがはっきりと否定した。
「……!!」
「自覚ねぇのか?……お前は抵抗なんてしていない」
「そんな……っ……こと、ない」
抵抗──してる筈。
でも後ろから動きを封じられているから逃げられないだけ。
そう大声で言い返してやりたいのに、ミレイはそれどころではなかった。
ハルトが囁く度に首筋がこそばゆい──。
それ以前に、身体が熱くて──。
「……抵抗できない理由……教えてやろうか」
ハルトの片手が下に向かう。
外ではズボンしか穿かない彼女だが、風呂上がりの今だけは、締め付けの少ないワンピースを着ていた。
太ももに置かれたハルトの指は……
ワンピースの布を手繰り寄せる……。
「ちょっ…!!」
ミレイの白い脚が剥き出しにされ、そこに男の指が肌を滑ってくる。
怯えて固まる太ももを馬鹿にするように付け根のあたりを往復した。
「‥…ひ‥‥ぃゃ」
「足ひらけよ……弄ってやるから……」
「なッ‥‥なに‥‥//」
「エロ染みつくってるココをだ」
「‥ああっ」
下着の上を厭らしく擦られて思わず声がもれた。
逃れようとする腰は後ろに突き出され、ハルトの脚に押し付けられる。
すると彼の膝がミレイの脚の間に割り入ろうとしてきたので、ミレイは必死に抵抗した。
「…ダメッ…‥、ハァ、ハァ‥‥やめ て‥!!」
「腰ゆれてんぞ?声もエロいし……ッ。諦めて開け」
「…ぜったい嫌……!!」
「強情かよ」
ハルトの爪が敏感な突起をかすめるたびに力が抜けて、膝の侵入を許しそうになる。
ミレイは少しでも気を強く持とうと、激しく首を振るのだが……
“ ダメ……またっ……負けちゃう ”
「クク……感じまくってんのバレバレ……」
「あっ、あっ‥‥ああ‥‥!!」
──またすぐに、負けてしまうのは明白だった。
その時
「──…こら、ハルト。何やってるの?」
「……チッ……またお前かよ」
いつかと、同じ様に──
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