魔力がなかったので能力を磨いてみたら、新しい幸せに巡りあえそうです!

泳ぐ。

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19 記憶。

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 少し頬を赤らめながら、そんなこともあったわね的に話すフィーを見て「え? うちのラディ兄さんですか……?」と聞いたら「あ、ツッコミどころそっち?」と首をこてんとかしげて、きょろんとこっちを見るので美人って得だなと思った。

「その時にね、色々伝わってしまうのも良くないなと思って。それから二人でかなり訓練をして、だいぶ感情は流れなくなったんだけど。ヒューは触れるとまだダメな時があるみたいで」
「そうなんですね……」
「それから、あなたに毎日少しずつ魔力を盗むのはダメ、欲しいものがあるなら奪うのではなく代わりに渡せるものを考えて分けて貰うべき、それが見付けられないなら毎日一つずつ何かをやってみて喜ぶことを探さないとって言われたって言っていて」

「あぁ、はい、言いました……」
「それと助けて貰った時に見えたあなたの魔力が綺麗だったからって。私の魔力も綺麗にしてくれようとして【吸収】まで辿り着いたの。何年も毎日、本当に二人で色々やってみたの。それからは泣いているヒューを探し回ることも減って。本当にあなたには感謝してるの、ありがとう」

 美人がふわりと微笑んでお礼を言うので、ドキっとしてしまったのを必死に隠した。

「でもそれなら、何でヒューの記憶を封印したんですか……?」
「その後にね、ヒューがとにかくあなたにもう一度会いたいと言うから、何度か北に謁見申請をうちも南部本家でも出したんだけど、一回も返事が来なくて……」
「えぇ? そうだったんですか?」

「あ、やっぱり聞いていなかったのね。……たぶん、あなたがヒューとその話をした後かな、魔力切れで倒れてしまったから。そのことで前ご当主様が烈火の如く怒ってしまったらしくて。だから取り次がないブラックリストにのってしまったんでしょうね」
「…………」
「今ならそれもしょうがないと思えるんだけど。当時のヒューがね、自分が悪いから会えないんだって泣いて泣いてひどくてね。最終的にはうちの父が、ヒューの記憶を一部封印したの。私たちは出来る限りのことはやったつもり、でもヒューは諦めきれなくてずっと悲しむだけでね、もうしょうがないねって。それが最善の方法だったかは今も解らない。でももう見てられなかったの、自分はいらないんでしょってずっと泣いてるから。そんなことないよって言葉はもう全然届かなくて……」

 フィーが唇を噛んで少し息をのんだ。
 泣いていたあの子が、こんなにも大切に守られていたのを知って、とてもヒューの顔が見たくなった。

「あなたから伝えられた毎日一つずつ何かをやってみるという話と、綺麗な魔力のことと、基本的な生活方法と人間関係の記憶を出来る限り残して、記憶を封印したの。そうする代わりに、私たちはちゃんとずっと一緒に居るからって誓って」
「……私、もっと早くここに来るべきでしたね」

「ううん、それはしょうがないことだから。ニナさんのお父さんたちだってニナさんを守りたかったでしょうし。でもね、だから今回、あの北のニナ・メルニックさんが南に来るって聞いて私たちは騒然としたの。だから最初、ひどい態度を取ってしまって……。それも本当にごめんなさい」
「そうだったんですね、こちらこそなんかもう申し訳ございません……」

 深々と頭を下げるフィーが顔を上げた時、なんだか恥ずかしそうな顔をしてこっちを見るので可愛いくて口元が緩みそうになった。
 しかし父さんも兄さんも、何で私に全部黙っていたんだろう……?

「あ、えっと、私が倒れたのって海でですか? あの時、どうやって帰ったのか全然覚えていなくて」
「あぁ、確か私はアークと居た時に自分の魔力が使われたのが解ってすぐに海へ向かいました。たぶん、北のご当主様も自分の魔力がニナさんに使われたのが解って海へ行かれたんだと思います。私たちが到着した頃には、前ご当主様がニナさんを抱いて、ご当主様がヒューを抱いて砂浜で応急処置をされていたんです」

「え!! 人の魔力で魔法を使うと、使ったの解るものなんですか……?!」
「はい、私は解ります」
「ヤ、ヤバい……」
「?」

その時、扉がノックされてメイドが告げた。

「メルニックさん、北のご当主様がいらっしゃいました。ここへお通ししても……?」

 は、早いよ、来るのが……!!

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