魔力がなかったので能力を磨いてみたら、新しい幸せに巡りあえそうです!

泳ぐ。

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 南部と東部の定例会。
 最後、側近も外に出し南部の当主と東部の当主が二重に結界を張り、二人きりの密談時。

「そういえば先週、北の末姫様が南部にいらして。ひょんなことから本家の屋敷に二泊ほどされたんだ」
「北の末姫……? 顔は? 顔を見たか? 挨拶は……?」
「あぁ、挨拶はしたけど、評判ほどではなかった。なんだ、そんな必死になって。なんだかぼやんとした、ただの娘だったような……」
「……ぼやんと? あーーー、もしかして北の当主も来たのか?」

「そう。末姫様が倒れたので我が家にいるって連絡したら、転移魔法ですぐに……」
「それだ!」
「…………?」

「末姫が急に泊まることになって、当主が転移魔法で来たんだよな……? それ、ただ挨拶だけじゃなく、当主が末姫の認識阻害系の術もかけに来たんだよ、たぶん」
「…………は?」

「北の末姫は、北の宰相に瓜二つな美貌に、中身は当主そっくりな才女と言われている。天啓をも授かっているそうだ。実は一人でも北を統治できるぐらいの才があるらしい。末姫と話したか? 泊まらせたのに食事は一緒にしなかったのか?」
「そういえば、会合前に挨拶はしたが。倒れて体調も良くないと言われて、それきり分家の者にお世話を任せてしまって……」

「ハマったな、それがきっと北の術中だ。北は異様に末姫を隠す。末姫に会った人のほとんどが、ぼんやりとしか末姫を覚えていない」
「何故……?」
「わからない。ただ、北はほとんど他領と交流をしない。会合にも来ない。交流しなくても会合に来なくても北は恨まれることがない」

「誰も理由は知らないのか? ……もしかして記憶を操作している?」
「わからない。ただ、北は他領を攻撃もしない。ただ隠すだけだ」
「怖いな」
「そうなんだよ。お前の南部は唯一、北と全く隣接していないからまだいいじゃないか……」
「…………」
「まぁでも、北はな、敵にさえならなきゃ安全と言えるはず……」
「…………」

 こんな会話が繰り広げられていたことを、勿論私は知らない。

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