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2章
上司の悩みpart2
しおりを挟むガシャンッ
棚が倒れて、
パリンッ
食器が割れて、
ビリッ
カーテンが破れた。
全ては月宮の仕業だ。だが、月宮が悪い訳じゃない。月宮が怒るのは当たり前だ。なんせ後輩が消えたのだから。月宮は後輩の安全と生活を条件にこの政府にやってきた。そう、安全と生活だ。生活だけではない。しかもあの後輩、どうやらあの宵月と関わりがあったらしく、連れ拐われるのを目撃したやつがいる。しかも、最近上位の幹部にまでのしあがったあの最悪の若手、珊瑚だ。宵月の幹部は下から順に銀、金、瑠璃、玻璃、シャコ、珊瑚、瑪瑙、とランク付けされており、最近驚きの出世を繰り返し、ついにNo.2まで上りつめたやつだ。そんなやつに拐われた後輩の正体も気になるが後輩の安全の契約が破れた以上月宮がここにいる理由はなくなる。だが、それはこっちが困る。そこで、上は最悪の手段をとったのだ。一方的な契約を......
「......お前ら、絶対許さない。」
低い獣のような唸り声が胡蝶に響く。
月宮の薄暗いけれどギラついた目から誰もそらせなかった。空気が澱んでいく。
「後輩がいない今、君にこの契約を破ることはできないのに?あの珊瑚に捕まったんだ無事も保証できない今、君を迎えにきてくれる可能性なんて、望めないね。」
ただ1人だけこの場で柔らかい笑みを崩さなかった男が静かに彼の絶望を深めた。
「......お前だろ。宵月の者を後輩と引き合わせたの。..知ってたのか、後輩が宵月と関わりがあったこと。」
空気が澱んでいく。
「知らなかったよ。まさか後輩ちゃん目当てだとはね。でもそれなら納得がいく。ここ最近の遠征の仕事が増えた原因はそれだったんだ。No.2となれば人を動かすのも容易い。ようはよくある陽動にはまってたわけだ。まさか月宮くんを無視して後輩ちゃんに狙いを定めていたとはね。相手は君のことよく知っているんだね。」
「......。」
「幹部長。そろそろ時間が迫ってます。」
「それじゃあ、またね。」
ぱたんと幹部長がいなくなった部屋は澱んでいて耐えきれなくなった部下たちが幹部長に続いてでていく。残ったのは俺と鶴羽だけだった。しばらく月宮を見ていた鶴羽だったが、
「....じゃあ、俺は月宮の代わりに後輩の様子をみてきますわ。」
突然そんなことを言い出した。
「....は?なに馬鹿なこといってんだ?あ!おい!!」
鶴羽は俺の制止の声も聞かずにでていった。
最近の部下は問題児ばかりだ。
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