私が壊した宝物

キンネス

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2章

同族愛好

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「同族嫌悪ならぬ同族愛好ってやつか。なかなかに矛盾してるな。」


私が怒ってることすら面白いと言わんばかりにからから笑う鶴羽さん。ほんっと私の周りにはボケてるやつらばかりだ。


「私が瑠璃くんより上にいくのを許せないんでしょ。しかも瑠璃くんは自分の傍に置いておけば私が一生幸せにならないことも考慮してやがる。ほんっとろくなやつがいないね!」

ベッドをどすどす殴りつけ、ついでとばかりに鶴羽さんに枕を投げる。完全な八つ当たりだ。当たらないけど。


「ところで、元珊瑚の鶴羽さんは何の目的できたんですか?まさかまた私を逃がす気ですか、でも貴方に得することあります?」


さも心外だと言わんばかりに眉を下げる鶴羽さんには悪いが正直政府の人間でなくこちらの組織の人間が私を逃がすのは理解できない。他の組織のスパイなら解るが、それをするより殺した方が早い。一体何が目的なのか。


「3つ理由があるんだけど、恋愛的理由と恋愛的理由と恋愛的理由。どれから聞きたい?」


全部恋愛的理由に聞こえた気がするが、気のせいだろうか。


「ひとーつ!一目惚れ。」


「勝手に始めたうえに一目惚れとか私が一番信じてない理由!」


「ふたーつ!あいつらをあそこまで骨抜きにしたお前に対する好奇心。」


あいつらというのはおそらく先輩と瑠璃くんだろうか。骨抜きにはしてないのですが。


「みーっつ!異世界人を受け入れることにより発生するメリットがデリットより大きかったため。」


「明らかに最後の理由が正解でしょ!しかも、最後の恋愛かすりもしてないんだけど。」

私の言葉をスルーしながら鶴羽さんはドヤ顔をしながら決めポーズをとる。そういえば、逃走の手助けを申し出てくれたときもこのポーズから始まった気がする。なんかの儀式なのだろうか。


「デメリットって、最初からデメリットしかないじゃないですか。異世界人なんてこの世界で異物以外のなにものでもないに決まってる。」


「それが、そうとは限らないんだな。この世界が契約や約束という言葉に縛られているのはなんとなく気付いてただろう?」


曖昧に頷いて思い出してみる。私は1回だけ約束を破ったことがあり、その時殺されかけてやばかった。今でもあの時の背筋が凍った感覚は刻み込まれてる。


「この世界で生きるには誰か1人の死人と契約を交わさないといけない決まりがあるんだ。」


「死人と契約?異世界人はやり方知らないから即死じゃないですか。」


「そう、異世界人は特別な契約でな。それはある意味不老不死になる契約でもある。だから、欲しかったんだよ。」

不老不死という言葉に体が固まった。知らぬまに蓋をしていた違和感が一気に押し寄せて潰れそうだよ。ほんとに。
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