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2章
鶴羽さんの開幕宣言
しおりを挟む「ま、そんなことよりお前が何で不死なのかっていうと異世界人だから。って、訳じゃない。お前の契約相手があいつだからだ。」
先輩が契約相手だからなんだと言うのだ。視線に疑念が込められてるを察した鶴羽さんは気にせず続ける。
「なんせ、あいつはここの死人じゃないからな。本来なら異世界から来たに関わらずこの世界の死人と契約をするはずなのに。俺が政府でお前に気付けなかったのはお前の契約が塗り変わってたからだ。契約相手によって人の持つ気迫、雰囲気みたいなのは大きく変わるからな。ここまで言えばわかるよな?あいつが異例なのが。」
にたにたと余裕の笑みを崩さないまま、するすると私の髪をすいた。
「さて、ここで問題だ。この世界で生者と死者の契約は絶対的だ。じゃあ、生者と生者の契約はどうなる?」
ひやりとした。誰もが言った契約を破ることは許されないとは死者も生者も等しくそのルールに縛られていた。そのルールにのっとるなら。
「答えは絶対だ。この契約がよくて他の契約はだめなんてないだろ?ここでこんな案があるんだ。」
頭の中でサイレンがなる。これ以上はだめだ。先輩との契約に亀裂がはいる気がする。いや、はいる。不味いとわかって急いで耳を塞ごうとした手を鶴羽が止めた。
「なあ、俺と契約しないか?この世界ではかなりの口説き文句だぜ。これ。」
聞きたくない。理解したくない。どうしよう。そうだ。耳が塞げないのなら、口を塞げばいいじゃない。どこかのお偉いさんの口調を真似するように心のなかで呟けば、混乱した頭の中がクリアになる。全私が肯定しているのだから間違いなどあるはずがない。勢いよく片方だけでも鶴羽さんの口を閉ざしにかかる。が、駄目だった。何故だ。
「いやぁ、君は無謀だね。今さっき俺に手を塞がれたのに、そんなすぐ振り払えると思うなんて。」
からから笑いながら小動物をみるような目線が腹立つ。
「案があるなんて言ったが、これに拒否権なんてないんだぜ?なんせ、条件が揃ってしまったんだからな。所謂強制イベントってやつだな!」
ここから先は自分の領域だ。そんな風に宣言されてるとすら錯覚する鶴羽さんの堂々たる振る舞いはいっそ清々しい。惚れ惚れするくらいだ。しかし、なんでこの人私が使う前の世界での言葉の習得早いの?その意味わかっていってんのか。
「さあ、ここからは俺とお前とあいつの舞台だ。他のやつらは全員脇役。世界は俺らで回りだす。」
彼の瞳がこの世界の至宝だと言われても疑念を抱けないくらいの魅惑的で妖しい光を宿していた。
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