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第4章 集まれ仲間達

自覚はあるよ? -4-

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「〈我が現し身の姿に光あれララーヤ・ルルラン・アマナリオ!〉」

 クルッとその場で1回転して星形タンバリンを頭上へ掲げるとそこから大量に降り注ぐ金の光粒でルナルリア王女の姿が見えないくらいになって、激しい閃光がフラッシュした。

 その光が収まるとそこには、白とピンクの膝丈フリフリミニドレスを身につけたルナルリア王女が現れていた。

「れんきんぶぐし、ルナルリア! あなたのハートにドカン!とひづち!」

 キメセリフっぽいものを口にしながら、ウインクしてみせたルナルリア王女は、それでもちゃっかりその所作をマックスに向けてやっていた。

 だがきっとマックス、エンディミオン殿下を始めとした騎士団の連中と俺の父様の心情は、それどころではない。

 うら若い乙女 ── どころか3歳な上に隣国の王女だ ── が、男比率の多いこの場で、衆目に生足を晒すという、前代未聞の珍事。

 おまけにキメポーズじみた仕草の所為で、折角マックスが話しを逸らしたというのにミニドレスの裾から下着が見える。

「キャーッ⁈‼︎ 姫様っ! な、な、なんてお姿を! し、したっ……ここは我が国ではありません! 隣国なのですよ⁈」

 漸く追いついて来たらしいルナルリアの専属侍女が、叫んで駆け寄るが、最後まで口にはしなかったものの、吐きかけた台詞が宜しくなかった。

 それじゃ、アルファードゥルークでは日常的にルナルリア王女がこういう格好をしているのだとしか受け取ってもらえないだろう。

「えっ? ああ、これ?」

 よせばいいのに、侍女の言葉にルナルリア王女が、ぺろんと自らのミニドレスの裾をめくって尻側の布地を露わにした。

 エンディミオン殿下とマックスの顔が爆発したように一気に真っ赤に染まり、騎士団の連中が、目を逸らすことすら忘れて凍りついた。

「やぁねぇ、これアンダースコートよ? みせてもいい、おぱんつなの!」
「そんなものは存在しませんっ!」

 あー、そうな。

 少なくともこの世界基準では、侍女さんが正しい。

「だからー、そんざいしないものをつくりだすのが、わたくしのしょうごうがもつ、1ばんのいぎなのだと、なんどせつめいすればわかるのよ!」

 へー。

 アンダースコートって防具だったんだ。

 初めて知ったわ。

「エルドレッド」
「ん? ……なに? とうさま?」

 周囲の状況へ、心の中だけで平坦なツッコミを入れまくっていた俺を呼ぶ父様の声に、そちらを見遣ると何故か、父様の表情には、呆れたような色が見えた。

「見ろ」

 そう言って、父様が指先を揃えて左手で示した先に居るのは、夕日顔負けで真っ赤っかなエンディミオン殿下(抱き締めたままのアリューシャ付)と、同じく顔を両手で覆って見ないフリしながらも指先が開いている所為で目を開けると見えてしまい、全身真っ赤になっているマックス。

「?」
「不思議そうな顔をするな。あれが同い年の少女の下着を見てしまった男の子の普通の反応だ。何でお前は、騎士団の連中すら凌駕した枯れた空気を纏っとるのだ⁈」
「たっかんしてるといってくれ。とうさまだって、かあさまが、にわでふざけて、せんたくもののじぶんのパンツひろげて、ほーら、あなたー、みてー? ってやってたとき、ふつうに、よしなさいって、つっこんだだけだったじゃん」

 俺の言葉を聞いた者達は皆、俺と父様の背景に「血筋」という単語が現れているのが幻視できることだろう。

「………」

 言葉を失って黙りこくった父様は、それでも何処か納得したような表情を浮かべていた。

 な? 下手に騒がないのが上策なんだよ、こういう場合。

「変なトコだけ私に似おって……」
「むすこだもん。にるかくりつ、2ぶんの1だろー? そりゃ、どっかしらは、にるだろうさ?」

 明後日の方を見ながら俺が宣ったことに、ルナルリアショックを起こしていた演習場の空気が、鎮静化したようだった。

 そうそう。

 騒ぐ程のことじゃないって。

 アンダースコートなんて、前世の某業界じゃ、見せる為のパンツなんて別名があったくらいなんだからさ?

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