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第5章 女神の間にて
花キミ内の魔王戦 -1-
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そんなこんなで始まったゲーム内の魔王戦。
バックに流れる音楽と戦闘のSE効果音に後押しされて、嫌でも気分的な危機感を盛り上げられる中。
『俺に構うな! 先に行け!』
『ダリル!』
魔王城の中を進むにつれ、苛烈になって行く戦闘に攻略対象者達は、好感度、親密度、愛情度のどれかが低い順に1人また1人と女主人公の傍から消えて行く。
『ここは俺の出番だね! 後は任せたよ!』
『エル!』
順当に女主人公側の立ち位置からは遠い2人が足止め役を買って出る形で退場し、次にマックスが。
『アリィ。心はいつも貴女と共に居ます。行って!』
『マックス!』
そして1番愛情度が高い筈のアルフレッドが名残惜しげに、勇者であるエンディミオン殿下に女主人公を託して、その場の敵へと突撃して行く。
『殿下、後は頼みます』
『分かった。死ぬなよ、アルフ』
『アルフ! 嫌ぁぁぁぁぁぁっ!』
『アリィ! 今は私と共に魔王を討とう! 魔王さえいなくなれば、魔の者達の凶化は解ける! それが仲間達や世界中の人々を助ける1番の早道だ!』
「きみさ? ゆうしゃにかくせいできてないぶんざいで、まおうたおせるぜんていで、はなしするのやてめくれないかな?」
そうなんだよな。
エンディの言った通り、結局、この逆ハー女主人公は1番ヤバイ女になる選択肢ばかりを選んでストーリーを進めた所為で、勇者パーティ内で覚醒出来ているのは、聖女と魔導術士だけという、よくそれで魔王に挑む気になるな? って編成でメイン戦闘に突入せざるを得なくなっていた。
当然ながら辿り着いた魔王の元でエンディミオン殿下と聖女アリューシャは大苦戦。
辛勝と呼ぶのも烏滸がましいレベルのギリギリ勝利を得た。
だが、その喜びが沸き起こるより早く、魔王が自らの封印を解き放ち “魔王II” になる。
前世でも “初見殺し” “サ◯ヤ人かよ⁈” と不評の嵐を食らったこの連戦。
こっちはボロボロなのに魔王は、封印を解き放ったことで全回復+ノーダメージ状態になった上、あれこれと耐性や抵抗値を上げることで通じない攻撃が増えている。
『そ、そんな……』
『魔王との戦闘が、こんな形になるなんて歴史書には記されていなかったぞ⁈』
そりゃあ、呼称が同じ「魔王」でも、毎回違う個体だからねぇ。
毎回同じ戦闘にもなる訳ゃないだろってなもんでさ?
「これが魔王戦か。確かに凄まじい相手だな」
「もうエンディミオンもアリューシャもボロボロだし、アイテム類も空っけつじゃないか。どうやって戦う気なんだ?」
宰相閣下と国王は、2人の体力・魔力のゲージが見えているのと、ここまでの戦闘で使い果たしたアイテム類を見ているのもあって、そんな台詞を呟いたが。
『殿下っ! アリィ! 待たせたね!』
『合流いたします! これを!』
それを払拭するようにマックスとダリルが合流。
2人のゲージも全開し、使えるアイテム類も補充された。
「なるほど。それで使い果たすことを厭わずに戦っていたのか」
「こうなることが分かってないと、取れん戦法だな」
ランドリウス公爵閣下と父様の紡いだ感想は、プレイヤー目線で見てる側の誰もが大なり小なり1度は思うことだった。
そして始まる2戦目。
追加人員があったとしても、この2人はエンディミオン殿下と同じく未覚醒だ。
唯一、装備アイテムのお陰でダリルが状態異常には絶対ならないので、解除アイテムが使える点だけが1戦目と違って楽になった点だけど、それよりも遥かにマイナスされた項目が多過ぎて、当然のように苦戦する。
「覚醒してるかしてないかって、やっぱり大きいんですね。よかった。この僕みたいに自分が足を引っ張るような事態には、ならずに済みそうです」
画面の向こうに居る17歳の自分が展開する為体を見たマックスは、安堵すら混じっていそうな声音で、そう感想を溢した。
まぁ、女主人公にメインの問題があるように見える逆ハーENDは、その感想を紡げるだけの余裕が、攻略対象側には確かにあるだろうとは思う。
覚醒してた方が対魔王戦、有利になるのは当然ながらガチな訳だしな。
バックに流れる音楽と戦闘のSE効果音に後押しされて、嫌でも気分的な危機感を盛り上げられる中。
『俺に構うな! 先に行け!』
『ダリル!』
魔王城の中を進むにつれ、苛烈になって行く戦闘に攻略対象者達は、好感度、親密度、愛情度のどれかが低い順に1人また1人と女主人公の傍から消えて行く。
『ここは俺の出番だね! 後は任せたよ!』
『エル!』
順当に女主人公側の立ち位置からは遠い2人が足止め役を買って出る形で退場し、次にマックスが。
『アリィ。心はいつも貴女と共に居ます。行って!』
『マックス!』
そして1番愛情度が高い筈のアルフレッドが名残惜しげに、勇者であるエンディミオン殿下に女主人公を託して、その場の敵へと突撃して行く。
『殿下、後は頼みます』
『分かった。死ぬなよ、アルフ』
『アルフ! 嫌ぁぁぁぁぁぁっ!』
『アリィ! 今は私と共に魔王を討とう! 魔王さえいなくなれば、魔の者達の凶化は解ける! それが仲間達や世界中の人々を助ける1番の早道だ!』
「きみさ? ゆうしゃにかくせいできてないぶんざいで、まおうたおせるぜんていで、はなしするのやてめくれないかな?」
そうなんだよな。
エンディの言った通り、結局、この逆ハー女主人公は1番ヤバイ女になる選択肢ばかりを選んでストーリーを進めた所為で、勇者パーティ内で覚醒出来ているのは、聖女と魔導術士だけという、よくそれで魔王に挑む気になるな? って編成でメイン戦闘に突入せざるを得なくなっていた。
当然ながら辿り着いた魔王の元でエンディミオン殿下と聖女アリューシャは大苦戦。
辛勝と呼ぶのも烏滸がましいレベルのギリギリ勝利を得た。
だが、その喜びが沸き起こるより早く、魔王が自らの封印を解き放ち “魔王II” になる。
前世でも “初見殺し” “サ◯ヤ人かよ⁈” と不評の嵐を食らったこの連戦。
こっちはボロボロなのに魔王は、封印を解き放ったことで全回復+ノーダメージ状態になった上、あれこれと耐性や抵抗値を上げることで通じない攻撃が増えている。
『そ、そんな……』
『魔王との戦闘が、こんな形になるなんて歴史書には記されていなかったぞ⁈』
そりゃあ、呼称が同じ「魔王」でも、毎回違う個体だからねぇ。
毎回同じ戦闘にもなる訳ゃないだろってなもんでさ?
「これが魔王戦か。確かに凄まじい相手だな」
「もうエンディミオンもアリューシャもボロボロだし、アイテム類も空っけつじゃないか。どうやって戦う気なんだ?」
宰相閣下と国王は、2人の体力・魔力のゲージが見えているのと、ここまでの戦闘で使い果たしたアイテム類を見ているのもあって、そんな台詞を呟いたが。
『殿下っ! アリィ! 待たせたね!』
『合流いたします! これを!』
それを払拭するようにマックスとダリルが合流。
2人のゲージも全開し、使えるアイテム類も補充された。
「なるほど。それで使い果たすことを厭わずに戦っていたのか」
「こうなることが分かってないと、取れん戦法だな」
ランドリウス公爵閣下と父様の紡いだ感想は、プレイヤー目線で見てる側の誰もが大なり小なり1度は思うことだった。
そして始まる2戦目。
追加人員があったとしても、この2人はエンディミオン殿下と同じく未覚醒だ。
唯一、装備アイテムのお陰でダリルが状態異常には絶対ならないので、解除アイテムが使える点だけが1戦目と違って楽になった点だけど、それよりも遥かにマイナスされた項目が多過ぎて、当然のように苦戦する。
「覚醒してるかしてないかって、やっぱり大きいんですね。よかった。この僕みたいに自分が足を引っ張るような事態には、ならずに済みそうです」
画面の向こうに居る17歳の自分が展開する為体を見たマックスは、安堵すら混じっていそうな声音で、そう感想を溢した。
まぁ、女主人公にメインの問題があるように見える逆ハーENDは、その感想を紡げるだけの余裕が、攻略対象側には確かにあるだろうとは思う。
覚醒してた方が対魔王戦、有利になるのは当然ながらガチな訳だしな。
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