2 / 5
女装しているけれど、僕は男の子
しおりを挟む
そして時は現在へと戻る。ガラス越しに移る僕の姿を見つめる。
女性の服には疎いが、なんだかフワフワしてフリフリしたやつだ。靴もなんか可愛らしいし、何故か小さなハンドバッグまで持たされている。髪にも手を加えられ、少し化粧もされた。
僕は男の子だ。
けれど、だめだ。これは女の子だ。
どこの誰が見ても、女の子にしか見えない。
元の格好に戻りたいけれど、さっきまで来ていたジャージは問答無用で洗濯機にぶち込まれ、グルグルと回っている。
オンナノコ、コワイ。
いや、力づくで抗っても女の子に脱がされる、自分の弱さを恥じるべきなのかもしれない。この体はいくら食べても大きくならないし、いくら鍛えても強くなってくれないけれど、そんな言い訳ばかりしているからダメなのかもしれない。
もう一度自分の姿を確認する。
だめだ。やはりこの格好はナイ。女装をした僕と一緒に歩いていたら、彼に迷惑がかかるかもしれない。
そうだ。サークルの男の子に頼もう。誰かしら普通の、男らしい服を持っているはずだ。
時間が押していたからそのまま来てしまったけれど、冷静になればなるほどコレはナイ。
約束していた時間には間に合わなくなってしまうけれど、彼には少し待っていてもらおう。
踵を返し、サークルの更衣室へと向かおうとした時、声を掛けられた。
「ねえ君、今ひま? 学食でお茶でもどうかな?」
ナンパである。これは完全にナンパだ。二人組の男の子に声を掛けられてしまった。
声を掛けてくれたのに申し訳ないが、このあと僕には予定があるし、それに僕は男の子だ。
そう言って断ろうとしたが、それは前半部分で遮られてしまった。
「え、ボクっ娘??」
「なにそれ、いい。可愛い女の子のボクっ娘。いい」
これは逃げる難易度が高そうだ。話を最後まで聞いてくれない。ていうか、二人目が怖い。なんか目もギラギラしている気がする。
再度断ろうとしたら、次は後ろからの声に遮られた。
「すんません。そいつ俺のツレなんで、離してもらって良いですか」
彼だ。そう言えばもうすぐ約束の時間になるのだから、ここに来てもおかしくない。
これ幸いにと、僕は彼の後ろに隠れる。
僕に声を掛けてきた二人はポカンとしている。そしてすぐに残念そうな表情になり、二人で話し始めた。
「そうだよな。こんなに可愛い子、彼氏がいて当然だよな」
「残念だが仕方ない。ボクっ娘とお話するのはまた別の機会に……。ボクっ娘……。いいなぁ……。」
やはり二人目がおかしい。僕が女の子に見えるからではなく、ボクっ娘という属性に強い執着を感じる。
残念そうな顔をして話し合う男の子たちに僕が困惑していると、彼が口を開いた。
「確かにコイツは可愛い。女神や天使なんかとは比べ物にもならないくらいの可愛さである上に、性格も天使顔負けだ。中学からの付き合いでいつも癒されて、元気をもらっている。しかしながら、何度求婚しても俺には靡いてくれない。そしてボクっ娘だ」
彼がおかしなことを早口で言うものだから、二人組はまたしてもポカンとした顔を作った。そしてその原因である彼はと言うと、二人組に近づき耳打ちをする。
「だがな、コイツは男だ」
「なん……だと……?」
「最高じゃん。いい。ぜひお近付きになりたい」
もしかして、二人目にロックオンされてる……?
女性の服には疎いが、なんだかフワフワしてフリフリしたやつだ。靴もなんか可愛らしいし、何故か小さなハンドバッグまで持たされている。髪にも手を加えられ、少し化粧もされた。
僕は男の子だ。
けれど、だめだ。これは女の子だ。
どこの誰が見ても、女の子にしか見えない。
元の格好に戻りたいけれど、さっきまで来ていたジャージは問答無用で洗濯機にぶち込まれ、グルグルと回っている。
オンナノコ、コワイ。
いや、力づくで抗っても女の子に脱がされる、自分の弱さを恥じるべきなのかもしれない。この体はいくら食べても大きくならないし、いくら鍛えても強くなってくれないけれど、そんな言い訳ばかりしているからダメなのかもしれない。
もう一度自分の姿を確認する。
だめだ。やはりこの格好はナイ。女装をした僕と一緒に歩いていたら、彼に迷惑がかかるかもしれない。
そうだ。サークルの男の子に頼もう。誰かしら普通の、男らしい服を持っているはずだ。
時間が押していたからそのまま来てしまったけれど、冷静になればなるほどコレはナイ。
約束していた時間には間に合わなくなってしまうけれど、彼には少し待っていてもらおう。
踵を返し、サークルの更衣室へと向かおうとした時、声を掛けられた。
「ねえ君、今ひま? 学食でお茶でもどうかな?」
ナンパである。これは完全にナンパだ。二人組の男の子に声を掛けられてしまった。
声を掛けてくれたのに申し訳ないが、このあと僕には予定があるし、それに僕は男の子だ。
そう言って断ろうとしたが、それは前半部分で遮られてしまった。
「え、ボクっ娘??」
「なにそれ、いい。可愛い女の子のボクっ娘。いい」
これは逃げる難易度が高そうだ。話を最後まで聞いてくれない。ていうか、二人目が怖い。なんか目もギラギラしている気がする。
再度断ろうとしたら、次は後ろからの声に遮られた。
「すんません。そいつ俺のツレなんで、離してもらって良いですか」
彼だ。そう言えばもうすぐ約束の時間になるのだから、ここに来てもおかしくない。
これ幸いにと、僕は彼の後ろに隠れる。
僕に声を掛けてきた二人はポカンとしている。そしてすぐに残念そうな表情になり、二人で話し始めた。
「そうだよな。こんなに可愛い子、彼氏がいて当然だよな」
「残念だが仕方ない。ボクっ娘とお話するのはまた別の機会に……。ボクっ娘……。いいなぁ……。」
やはり二人目がおかしい。僕が女の子に見えるからではなく、ボクっ娘という属性に強い執着を感じる。
残念そうな顔をして話し合う男の子たちに僕が困惑していると、彼が口を開いた。
「確かにコイツは可愛い。女神や天使なんかとは比べ物にもならないくらいの可愛さである上に、性格も天使顔負けだ。中学からの付き合いでいつも癒されて、元気をもらっている。しかしながら、何度求婚しても俺には靡いてくれない。そしてボクっ娘だ」
彼がおかしなことを早口で言うものだから、二人組はまたしてもポカンとした顔を作った。そしてその原因である彼はと言うと、二人組に近づき耳打ちをする。
「だがな、コイツは男だ」
「なん……だと……?」
「最高じゃん。いい。ぜひお近付きになりたい」
もしかして、二人目にロックオンされてる……?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる