ゾンビVS兄妹

坂本餅太郎

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022.死闘

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 俺はゾンビを殴る。
 あの時、恭子さんと特訓した技で次々とゾンビを殴り倒した。

 絢香に結界を張ってもらい、ゾンビの隙を見て俺は攻撃を繰り返した。
 ゾンビを次々とボクシングのようにストレートで倒していく。俺の手がゾンビに触れるたびの光の粒子となってゾンビが消えていく。200体ほどのゾンビを倒したところで恭子さんが口を開いた。

「ねえ、翔太くん。ちょっとこっち来てもらえる? 絢香ちゃんはそのまま結界張ってて頂戴」
 どうしたのだろうか。俺は恭子さんの方に歩いていくと、実験をすると言われた。
「待ってください、この状況で実験なんてさすがに馬鹿げていますよ」
 実験の内容は、俺が『殴る』のではなく、俺の手がゾンビに『当たる』ことで力の効果があるのかというものだった。
「そうかもしれないけど今は私の言うことを聞いて。これからこの結果が役に立つのよ」
 恭子さんはいつもより焦っていた。俺もそうだがさすがにゾンビ500体となると冷静さを失ってしまう。しかし、絢香はいつになく冷静だ。本当に強くなった。

「わかりました。実験やりましょう。それで、どうすればいいですか?」
 俺がそう聞くと恭子さんは少しも考えずに答えた。
「絢香ちゃんが張ってる結界から手だけ出して結界の側面にそって走ってみて頂戴。実験が成功ならそれだけでゾンビが光の粒子になって消えるはずだわ」
 恭子さんは言い終えると俺に早く行きなさいとでも言うように俺に合図をした。俺は走って結界の側まで行き、実験を始める。
「よし、やるか」
 そう呟き、俺は結界から右手を出し、側面をダッシュした。20mほどの距離を駆け抜け、後ろを振り返る。
 振り返るとゾンビは|光の粒子(、、、、)となって消えていた。

「成功よ! 翔太くん! この調子で頑張って!」
 恭子さんが大声で俺にそう言った。

 俺はそれから結界の側面を数十往復し、約500体いたゾンビを倒した。
「よし、全部倒したか」
 俺は背を向け、絢香も結界を解いたその時、
「まだよ! 伏せて!」
 恭子さんの叫び声で俺と絢香は瞬時にその場に伏せる。すると上を高速で|何か(、、)が通過した。

「あのゾンビで最後のようね…」
 頭上を通過したのは一体のゾンビだった。しかも、いままでのゾンビとは一味違ったゾンビのように見える。
「あいつ、絶対強いですね」
 俺の問に誰も反応しなかった。少し悲しい…

「いくわよ!」
 恭子さんの号令で最後のゾンビとの戦いがスタートした。
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