餅太郎の恐怖箱【一話完結 短編集】

007.帰り道

　学校からの帰り道はいつも静かで、木々が風に揺れる音が心地よい。

　だが、ある日の帰り道はそれまでの平穏とは異なる、不気味な体験が待ち受けていた。

　夕暮れ時、私は友達と別れ、一人で帰路についた。太陽がだんだんと西に沈み、空には橙色の光が広がっていた。

　道路は薄暗くなり、街灯の明かりが点灯し始めた。足音が響き、風が冷たく吹いていたが、それでも私はある種の安心感を持ちながら歩いていた。

　しかし、途中から違和感を覚えるようになった。後ろから誰かがついてくるような気がしたのだ。

　振り返っても誰も見当たらず、足音も聞こえない。ただの錯覚だろうと思いつつも、なぜか心臓が高鳴るのを感じた。

　次第に周りが暗くなり、街灯の光も遠ざかっていくようだった。私の歩みは少しずつ速まり、不安感が募っていった。

　すると、不意に足元に影が現れた。何かが私の後ろにいることを知らせるかのようだった。

　思わず振り返ると、そこには誰もいなかった。ただの闇と影だけが広がっていた。

　恐怖が私の背中を這い上がるような感覚に襲われ、私は急いで歩き始めた。

　しかし、影はどこまでも私についてくるかのようで、振り返るたびに不気味な存在を感じることができた。

　とうとう私は自宅の前に到着したが、影はまだそこにいるようだった。

　私は怯えながらも家に駆け込み、ドアをバタンと閉めた。

　その瞬間、影は消え去ったかのように感じられ、安堵のため息をついた。
　

　翌日、友達にその怖い体験を話すと、彼らも同じような不気味な出来事を経験していた。彼らは帰り道で後ろからついてくる影を感じ、怯えて逃げ帰ったというのだ。

　どうやら私たちだけでなく、他にも同じような恐怖に襲われた人がいたようだ。

　その後、その不気味な影についての噂が広まり、地元の人々はその道を避けるようになった。

　しかし、真相は今でも謎のままだ。何があの影だったのか、どうして私たちを追いかけてきたのか。

　私たちは闇に潜む恐怖を目の当たりにし、それが未だ解明されていないことに対する不安が心をよぎるのだった。