餅太郎の恐怖箱【一話完結 短編集】

009.虐殺事件の呪縛

　かつて、小さな村にひっそりと佇む廃墟があった。

　その廃墟は、かつて虐殺事件が起きたと噂され、村人たちからは恐れられ、忌み嫌われていた。

　廃墟の中では、霊現象が頻繁に発生し、その幽霊たちは未だに過去の出来事に縛られているとされていた。

　ある日、近くの大学に通う学生たちがこの廃墟に興味を持ち、調査をすることに決めた。

　学生たちはカメラをはじめとした様々な物を持参し、廃墟の扉を開けた。

　そこには忌まわしい過去の痕跡がおおよそ当時のまま残っていた。部屋ごとに壁に穴が開いており、鮮血で染まったであろう床は赤黒く変色していた。

　虐殺事件の犠牲者たちの霊が、未だにその場に留まっているかのようだった。

　学生たちは恐怖に震えながらも、霊現象の証拠を収集しようと奮闘した。カメラを使って不気味な現象を記録し、ノートには怪奇な出来事を詳細に記述していった。

　しかし、その過程で学生たちは次第に廃墟の呪縛に巻き込まれていくことになる。

　夜が訪れると、廃墟内で不気味な音が聞こえ、幻影が現れるようになった。学生たちは次第に正気を失い、争い始めた。

　廃墟の中での狂気の夜は長く、恐怖と幻想の中で学生たちは次々と姿を消していった。

　最後に残った一人の学生は、廃墟の奥に辿り着いた。そこにはかつて虐殺事件を引き起こした犯人の霊と名乗るモノがいた。

　人の形こそしているものの、ひと目でそれは人ではないとわかるようなその姿に、彼は戦々恐々としていた。

　霊は学生に対して、過去の事件の真相を告げた。その内容は凄まじいものであり、まるで今起こっていることかのように想像ができてしまった。

　その後、霊は彼に呪いをかけ、彼を二度とこの場所から出られないように閉じ込めた。

　廃墟の外には、学生たちの叫び声と奇怪な音が聞こえたが、誰も助けに入ることはできなかった。

　廃墟は再び静寂に包まれ、その恐ろしい秘密は永遠に闇の中に閉じ込められたままとなった。