小姓残酷物語 〜 冷酷な主君の『おもちゃ』として、もてあそばれた小姓の悲劇 〜【完結】

丸井マロ

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元和九年(1623年) 18歳

7.最後の宴(2)

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実千代の心が完全崩壊を迎えても、息のあるうちは、まだ楽しむつもりらしく、地獄の宴はまだ終わらなかった。

松明の炎が揺れる中、虎長の命令を受けた側近たちが、格子の隙間から高価な蝋燭を次々と投げ入れた。

まるで、それを使って実千代を痛めつけろと暗に命じるかのように。

「かつては我が玩具だったものへの餞だ、派手に有終の美を飾るがよい」

佐々木はごくりと唾を飲み込み、その光景を見つめた。

複数の罪人が蝋燭を手にし、実千代の身体のあちこちに、ゆらゆらと揺れる炎を近づけた。

ぐったりしていた実千代の身体が跳ね上がり、引き裂くような絶叫がした。
太もも、脇腹、両乳首、股間を次々と火で炙られ、肉が焼ける臭いが牢内に充満する。

佐々木はごくりと息をのむが、虎長の存在が彼に沈黙を課している。

格子の向こうでは、複数の炎が同時に実千代の身体を炙り、彼は最後の力を振り絞るように身体を跳ね上げ、激しく身をよじる。

あの滑らかな肌が、白くてぬめるようだった柔肌が、あちこち焼かれ、太ももの皮が剥がれ落ち、性器が黒く焦げていく。

そうしている間に、実千代の泣き叫ぶ声は、たちまちのうちに、弱々しい嗚咽になる。
やがて、なにをされても反応を示さなくなり、ただ無言で横たわるだけになった。


夜明けが近づいた頃、長きにわたる凌辱と火責めが終わり、実千代は牢から引き出された。

佐々木は彼に近づいて、息を呑んだ。

全身のあちこちに大小の重度火傷が、赤黒い火ぶくれや、炭化して黒くなり、まだら模様を描いている。
めくれた後門からは、赤い粘膜がはみ出し、血と精液が滴っている。

冷水をぶっかけても、意識を取り戻そうとはしなかった。
息はしているが、その喉からは痰が絡むような、奇妙なごろごろとする音がした。

虎長が、床に崩れた実千代を見下ろした。

「さすがは我が玩具だっただけはある。最後の宴、見事だったぞ」

その声には、冷たい満足と玩具を失った残念さが混じっていたが、少年への哀れみはなかった。

佐々木は実千代の濡れた身体を敷布で包み、抱き上げた。

同じ棟の中にある独房に連れて帰り、土間に敷かれた筵の上に寝かせる。

懐から自らの手拭いを取り出して、実千代の汚れた顔を拭った。

なにかしてやりたいと思っても、清潔な布も衾もなく、どろどろに汚れた深紅の振袖をかけて、むき出しの素肌を隠してやることしか出来ない。

しばらくすると、御殿医が駆けつけてきた。

傷や火傷、痣だらけの身体に薬を塗り、清潔な布をあてるが、実千代はピクリともしなかった。

医師は、実千代の命が尽きようとしているのを知りながら、傷の手当てを済ませると、そそくさと立ち去った。

やがて、喘鳴も止まった。

「実千代殿、 目を覚ませ!」
咄嗟に叫んだが、無意味だとわかっていた。

──俺は見ているだけだった……この少年が壊れていくのを……。

佐々木は目を閉じ、実千代の最後の言葉を思い出した。

──お許しを……私は玩具です……私の体で遊んで……。

その滑稽な譫言が、この少年が人生最後に口にした言葉だという現実が、彼の心に重く沈んだ。

佐々木は立ち上がると、牢を後にした。
実千代が息絶えたと報告するために、城に向かって馬を走らせた。

彼の胸には拭いきれぬ苦さが残った。
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