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第1章 センター
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翌日から、僕たちは訓練校に通い始めた。
タケルと僕は同じ家政クラスだった。
メイドやハウスボーイと呼ばれる、一般家庭内の家事を行う者を養成するコースだ。
僕たちの居住区域は、センターの中にあるものの、外の世界の町を模して作られていた。
居住棟は鉄筋コンクリートで作られたマンション・タイプのものや、戸建てタイプのものがあり、タケルと僕の二人は木造の平屋の家が割り当てられた。
訓練校のまわりには、スーパーマーケット、コンビニ、文房具やアクセサリーを売っている雑貨屋、美容室、床屋、パン屋、お菓子屋、洋服屋、テラス席のあるカフェがあり、路面バスまで走っていた。
ここでの生活に慣れてくると、僕たちはずいぶん外の世界を知った気になって、皆、センターに登録されて手術が無事に終わり、この日本で奉仕活動できることを幸運だと考えていた。
訓練校のクラスでは、僕とタケル以外の生徒は全員大人だった。
彼らはカップルを作り、おおっぴらにはしないものの、しょっちゅうセックスをしているようだった。
一週間のうちにクライマックスと破綻を迎えるカップルもいれば、センターを出て行くまで続くカップルもいた。
生徒たちは妊娠したりさせたりといった煩わしい心配がないからか、大人たちは男女ともに享楽的にくっついたり別れたり浮気をしたりして、休憩時間に皆の前で痴話喧嘩を始めるカップルもいた。
今になって思うと、「大人たち」といっても、彼らは十六やそこらだった。
皆、新しい環境に適応しようと必死で、かつ、最後の残り少ない猶予期間を、全力で生きようとしていたのだと思う。
そんな彼らの喧騒を尻目に、タケルは彼らと居住棟が別でよかったと言った。
彼は口には出さなかったが、惚れた腫れたに明け暮れる他の生徒たちに、腹を立てていた。
タケルと僕は同じ家政クラスだった。
メイドやハウスボーイと呼ばれる、一般家庭内の家事を行う者を養成するコースだ。
僕たちの居住区域は、センターの中にあるものの、外の世界の町を模して作られていた。
居住棟は鉄筋コンクリートで作られたマンション・タイプのものや、戸建てタイプのものがあり、タケルと僕の二人は木造の平屋の家が割り当てられた。
訓練校のまわりには、スーパーマーケット、コンビニ、文房具やアクセサリーを売っている雑貨屋、美容室、床屋、パン屋、お菓子屋、洋服屋、テラス席のあるカフェがあり、路面バスまで走っていた。
ここでの生活に慣れてくると、僕たちはずいぶん外の世界を知った気になって、皆、センターに登録されて手術が無事に終わり、この日本で奉仕活動できることを幸運だと考えていた。
訓練校のクラスでは、僕とタケル以外の生徒は全員大人だった。
彼らはカップルを作り、おおっぴらにはしないものの、しょっちゅうセックスをしているようだった。
一週間のうちにクライマックスと破綻を迎えるカップルもいれば、センターを出て行くまで続くカップルもいた。
生徒たちは妊娠したりさせたりといった煩わしい心配がないからか、大人たちは男女ともに享楽的にくっついたり別れたり浮気をしたりして、休憩時間に皆の前で痴話喧嘩を始めるカップルもいた。
今になって思うと、「大人たち」といっても、彼らは十六やそこらだった。
皆、新しい環境に適応しようと必死で、かつ、最後の残り少ない猶予期間を、全力で生きようとしていたのだと思う。
そんな彼らの喧騒を尻目に、タケルは彼らと居住棟が別でよかったと言った。
彼は口には出さなかったが、惚れた腫れたに明け暮れる他の生徒たちに、腹を立てていた。
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