性奴隷に堕ちた小姓は『針の檻』に囚われて 〜若君に寵愛される小姓に、藩主の魔の手が迫る〜 【小姓残酷物語 II】完結

丸井マロ

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第4章 散り椿

3.懺悔と決意(1)

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嵐が過ぎたあとのような静寂が、竹丸の部屋を支配していた。

行灯のあかりが壁に影を落とす中、澄長は枕元に座り、眠る竹丸の寝顔を見つめていた。

医師の処方した眠り薬が効いているのだろう。

その呼吸は浅く、時折、何かに怯えるように眉根を寄せ、苦しげな呻きを漏らす。

細い首に散る無残な赤い痕は、衾を顎まで引き上げて隠した。

だが、澄長の目には、赤い花びらのように鮮やかに焼き付いていた。

あれは、父からの嘲笑であり、宣戦布告であった。

お前の愛するものなど、いつでもこのように壊せるのだ──という、歪んだ支配の顕示に他ならなかった。

「……若様」

襖の向こうから、低い声がした。
弥三郎だった。

「お馬廻の佐々木甚介殿が参られ、若様にお目通り願いたいと申しております」

「佐々木が? かような夜分に何事だ?」
澄長は目線を竹丸から外さずに問うた。

「火急の用件にて、何卒、と。その様子、尋常ではござりませぬ」

澄長は一度だけ竹丸の頬に触れようと手を伸ばしかけ、思い留まり立ち上がった。

「会おう。座敷へ通せ」


奥座敷で、佐々木甚介は待っていた。
澄長が、弥三郎と清太郎を従えて上座に着くと、佐々木は額を畳に擦り付けんばかりに平伏した。

その背中からは、何やら凄絶な気迫が立ちのぼるのが目に見えるようだった。

「おもてを上げよ、佐々木」

澄長の静かな声にも、佐々木は動かなかった。

「……若様に合わせる顔がございませぬ」
絞り出すような声だった。

「今日のことであろう。竹丸の身に起きたこと、そなたも知っておるのか?」

「……はい。それがしは、その場におりました」
佐々木は、懺悔の言葉を述べた。

虎長に呼び出され、本丸常御殿の中奥へ赴いたこと。

そこで竹丸が複数の馬廻たちに蹂躙される様を目の当たりにしたこと。

そして、己もまた、その一端を担わざるを得なかったこと。

性病の嘘で竹丸の菊座を犯さなかったことは、佐々木にとっては誇れることではなく、ただ己の無力さを際立たせる恥辱でしかなかった。

「止められませんでした……。馬廻としての務め、武門の道の模範を示す立場にありながら、竹丸殿が虐げられるのを、ただ見ていることしか……」

佐々木の肩が震えた。
澄長は悲痛に目を伏せたが、責めることはしなかった。

虎長に逆らうことが何を意味するか、澄長自身が骨身に染みて知っているからだ。

「佐々木、そなたが今ここへ来たのは、ただ詫びるためだけではあるまい?」

「はっ」

佐々木はようやく顔を上げた。
その目は赤く充血し、悲壮な決意に燃えていた。

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