性奴隷に堕ちた小姓は『針の檻』に囚われて 〜若君に寵愛される小姓に、藩主の魔の手が迫る〜 【小姓残酷物語 II】完結

丸井マロ

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第5章 暗転

1.地下牢(1)

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その書状が二の丸に届いたのは、評定を翌日に控えた夕暮れ時であった。

本丸からの使者がもたらした書状には、虎長の花押と共に、意外な文言が記されていた。

──竹丸の処遇について、話し合いたい。和解の道を探ろう。

明らかに罠である。
虎長が、一度からめとった獲物を易々と手放すはずがない。

しかし、溺れる者は藁をも掴む。
竹丸が連れ去られてからというもの、生きた心地のしない澄長にとって、その書状は漆黒の闇に垂らされた一筋の蜘蛛の糸に見えた。

「行かねばならぬ」
澄長はほとんど反射的に即断した。

「若様、あまりに危険です! 人質に取られるやもしれませぬ!」

弥三郎と清太郎が必死に止めたが、澄長の耳には届かなかった。

「竹丸を見殺しにはできぬ。それに、父上が対話を求めてきたのは、ほんのわずかでも親子の情が残っている証かもしれぬ……」

それは、あまりにも儚い希望だった。
澄長は弥三郎と清太郎の二人だけを従えて、黄昏の本丸御殿へと向かった。

出迎えたのは、藤田重政だった。
藤田は気色悪いほど慇懃な笑みを浮かべ、一礼した。

「殿がお待ちでございます。こちらへ」

案内されたのは、表座敷でも謁見の間でもなかった。

本丸御殿の長い廊下を進み、奥まったところにある、大きな閂で封じられた扉の前だった。

「ここは……」
澄長が足を止める。

そこは、かつて澄長が実千代を諦めた場所──地下牢への入口だった。

──では、竹丸も、また……。

澄長はギリリと両歯を噛んだ。
実千代が拷問にかけられるのを、ただ見ているしかなかった、あの時の記憶と苦い思いが甦る。

「若様にとって、たいへん思い出深い場所でありましょう」

藤田は悪びれもせず言い、重い扉を開けた。

湿ったカビの臭いと重苦しい冷気が、階段の下から這い上がってくる。

澄長は息を呑むが、ここまで来て退くことはできなかった。

階段を降り、狭い通路を進む。

松明で照らされた冷たい空間の最奥。
木の格子で仕切られた牢の前に、虎長はいた。

虎皮の敷物の上に床几を置き、まるでそこが玉座であるかのように傲然と座し、その背後には十名あまりの馬廻を従えている。

そして、彼らの正面にある牢には──

「竹丸!」

澄長は格子を掴んで叫んだ。
竹丸は、手首を縄で繋がれ、立位に拘束されていた。

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