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13.ファンとアイドルの正しい距離
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帝都大学は明治時代に建てられた日本で一番古い大学ということもあり、レンガ造りの校舎もいたるところに残っている。
古い校舎の中には、明らかに令和の時代にそぐわない書生姿の学生も歩いており、そういうのは当たり前のことだが幽霊だ。
目を合わせないように気を付けながら、狗飼は誰もいない朝の研究室へ入ると、購買で買った雑誌を広げた。
不倫だの交際報道だのくだらないゴシップ記事を捲って飛ばしながら、最後の方に1ページだけ載っているページに辿り着くと、狗飼は「やべ……」と思わず声を漏らした。
「~ユニセックスな魅力が止まらない いおりんこと、三笠伊織、25歳の今を語る~」
いわゆる萌え袖のざっくりとしたニットに鎖骨をちらつかせて微笑む伊織のグラビアに、激しい動悸を覚え、狗飼は一度雑誌を閉じ、深呼吸をしてからもう一度そのページを開いた。
「可愛すぎる……こんな25歳の男がいてたまるか」
そのページには、インタビューに加え、大き目のスナップショットが一枚と、それから少し引きで撮られた写真が一枚掲載されていた。
トップ写真に目を奪われ、しばらく惚けた顔でそれを眺めていたが、やがてもう一つ、小さめの遠景写真の方に目を移した。
(これもいいな。デート中に名前を呼んで振り返ったみたいな感じで……)
そんな妄想をしていると、ふと、それに気づいた。
後ろで手を組みながらこちらを振り返っている伊織の写真。だが、その手首の部分がおかしい。
誰が見ても光の加減だと思うだろう。だが、狗飼は小さい頃からこの手の写真に見慣れていた。普通の人間なら気づかない、霊が映り込んだ写真も気づいてしまう。
光に見えるその白っぽい靄は、狗飼の目にははっきりと人の手に見えた。おそらく男の手だ。伊織の手首をきつく掴んでいる。
伊織の写真集やグラビアの切り抜きは大量に所持しているが、これまで心霊写真になっていたことはほとんどなかった。
地方で撮った写真の背景に、その土地の霊らしきものが映り込んでいることがあるが、害のあるようなものではなく、伊織とも何の関係もない霊ばかりだった。
この写真の手も、悪意があるようには見えないが、伊織個人に対してのはっきりとした意思のようなものを感じる。
あの部屋の霊と同じ、強い意思だ。
この手の霊は、若宮正弘だろうか。だが、だとしたらおかしい。若宮は典型的な地縛霊で、伊織の部屋のリビングにしか現れない。
どういうことだと覗き込んでいると、不意に肩を叩かれた。
「早馬~~、お前朝っぱらから暗い部屋で何やってるかと思ったらまたいおりんで抜いてんのかよ」
呆れた顔で声をかけてきたのは、高校からの友人の沢村絢斗だった。
テニスサークルに所属し、爽やかな今時のイケメンという顔をしているが、ディープなオカルトマニアだ。
早馬の霊視能力に興味を持っており、周りでちょっとでも心霊現象らしきことが起きると、何かとうるさく聞いてくる。
当然彼は、伊織の事故物件番組もリアルタイムで見ており、放送直後はあれはヤラセなのか本物なのかと何通もLIMEが来た。
そして彼は、狗飼が今でも重度のいおりんオタであることを知る唯一の友人だった。
「こんなとこで抜くかよ。朝の読書の時間だろ」
すると絢斗は、雑誌をまじまじと覗き込んで、「うわーこの写真やばいね。あざといけど可愛いなあ」と言った。
「事故物件番組以来、俺もいおりんのこと結構チェックしてるけど、この間、早馬のマンションで初めて実物見たけどさぁ、めちゃくちゃイイコで可愛かったなぁ。笑顔で握手してくれたし、俺もちょっと、ファンになっちゃいそうだよ」
「にわかが軽々しくいおりんを語るな」
「はいはい。……つーかそろそろ、加菜のこと許してやれよ。毎晩俺に電話かかってくるんだぞ。早馬がまだ怒っててLIME返してくれないって」
「一日20回LIME送ってくるんだぞあいつ。そのうち1回は、毎日返してる」
正直なところ顔も見たくないのだが、今年成人式も済ませて成人の仲間入りをした身としては、最低限大人の対応をしようと思っていた。
「加菜は早馬が好きなんだよ。他の女子の前で、自分の方が昔から早馬を知ってるってマウント取りたがるの」
「だからって本人の前で黒歴史暴露することないだろ」
「黒歴史って……いおりんのファンだったってこと? 今もファンじゃん。しかも重度の」
「いおりんのファンを〝一度でも辞めた〟っていう黒歴史だよ」
ああそっちかと、絢斗は納得したように頷いた。
「つーか昨日のいおりんの事故物件生配信見たか? 最後に出てきた霊のドアップやばくね? いおりん、殺されてないか心配なんだけど」
「……昨日のは確実にヤラセだ。あれは霊じゃない」
「そうなの?」
伊織はヤラセだけはしたくないと言っていたから、きっと番組スタッフの意向に反対を押し切られる形になったのだろう。
明らかに作り物の幽霊に、迫真の怯え演技をしていたが、どこか後ろめたいようなそんな顔をしていた。
「えっ、あれやっぱヤラセなのか……でも最初の生配信の時のはホンモノなんだよな? 確かに最近、あんまり進展なさそうな配信だったけど……もうあの部屋の幽霊はいなくなっちゃったのか?」
「いや、まだいるよ。俺も何回も見てるし、隣の部屋にいても壁の音が聞こえてくる。それも、かなり強く出てくるようになってて……危険なサインだ」
「大丈夫なのかそれ……」
「ダメに決まってるだろ。でも……今は撮影の時以外はマネージャーの家に泊ってるらしくて、あの部屋にはほとんどいないみたいだから」
最近は朝のゴミ出しの時も顔を合わせないし、日中も夜もほとんど物音がせず、部屋にいる気配がない。
「お祓いしてあげるとか適当なこと言ってお前が一緒に住んであげればいいのに。こんなチャンス滅多にないぞ。推してるアイドルの隣人になるなんて。しかも事故物件なんてお前の得意分野で。これを利用しない手があるのか?」
「そういう、距離感をわきまえないファン、一番ぶっ殺したくなるんだよな」
「過激ファンこええ……」
合い鍵を突き返された時、残念な気持ちと同時に、少しほっとした気持ちもあった。1ファンである自分が、幽霊を口実にアイドルを自分の部屋に住まわせるなど、間違っている。
「でもなあ……まあそういうファン心理は分からなくもないよ。俺も推してるアイドルが、ファンの男と同棲してたらショックだし。男死ねって思うと思うけど……」
でも、と絢斗は言った。
「いおりんにしてみれば、隣人に心霊現象のエキスパートがいるなら、頼れたら心強いんじゃないかな」
「………」
その時、一限の始まるベルが鳴った。
「やべ! こんなことしてる場合じゃねーや」
1、2年とサボっていた絢斗は必修の単位がギリギリらしく、3年になってもまだ1限に授業を入れなければならない程余裕がないらしい。
慌てて走りさっていく絢斗を見送り、狗飼は昨日の伊織の生配信を見た。
『こんばんは~~。今週も、『事故物件住んでみた!』の生配信コーナーやっていきたいと思います』
そう言って笑う伊織の顔は、どことなく生気が薄れているように思えた。メイクで隠しているのかもしれないが、それでも目元にはうっすらと隈が見え、青ざめた顔をしている。
この間、合い鍵の件で部屋に半ば押し入りのような形で入ったときは、ここまで顔色は悪くなかった。
(マネージャーの家に、泊ってるんだよな……?)
映像越しだからよく分からないが、ひどく体調が悪そうに思えた。
「あれ、時計止まってる……」
伊織の背後に映っている時計が配信時間と大きく異なり、止まっていることに気づいた。
嫌な予感がした。何かとてつもなく、嫌な予感だ。
(もう一度、部屋の中全部見せて貰おう)
狗飼は決意して、動画アプリを落とした。
帝都大学は明治時代に建てられた日本で一番古い大学ということもあり、レンガ造りの校舎もいたるところに残っている。
古い校舎の中には、明らかに令和の時代にそぐわない書生姿の学生も歩いており、そういうのは当たり前のことだが幽霊だ。
目を合わせないように気を付けながら、狗飼は誰もいない朝の研究室へ入ると、購買で買った雑誌を広げた。
不倫だの交際報道だのくだらないゴシップ記事を捲って飛ばしながら、最後の方に1ページだけ載っているページに辿り着くと、狗飼は「やべ……」と思わず声を漏らした。
「~ユニセックスな魅力が止まらない いおりんこと、三笠伊織、25歳の今を語る~」
いわゆる萌え袖のざっくりとしたニットに鎖骨をちらつかせて微笑む伊織のグラビアに、激しい動悸を覚え、狗飼は一度雑誌を閉じ、深呼吸をしてからもう一度そのページを開いた。
「可愛すぎる……こんな25歳の男がいてたまるか」
そのページには、インタビューに加え、大き目のスナップショットが一枚と、それから少し引きで撮られた写真が一枚掲載されていた。
トップ写真に目を奪われ、しばらく惚けた顔でそれを眺めていたが、やがてもう一つ、小さめの遠景写真の方に目を移した。
(これもいいな。デート中に名前を呼んで振り返ったみたいな感じで……)
そんな妄想をしていると、ふと、それに気づいた。
後ろで手を組みながらこちらを振り返っている伊織の写真。だが、その手首の部分がおかしい。
誰が見ても光の加減だと思うだろう。だが、狗飼は小さい頃からこの手の写真に見慣れていた。普通の人間なら気づかない、霊が映り込んだ写真も気づいてしまう。
光に見えるその白っぽい靄は、狗飼の目にははっきりと人の手に見えた。おそらく男の手だ。伊織の手首をきつく掴んでいる。
伊織の写真集やグラビアの切り抜きは大量に所持しているが、これまで心霊写真になっていたことはほとんどなかった。
地方で撮った写真の背景に、その土地の霊らしきものが映り込んでいることがあるが、害のあるようなものではなく、伊織とも何の関係もない霊ばかりだった。
この写真の手も、悪意があるようには見えないが、伊織個人に対してのはっきりとした意思のようなものを感じる。
あの部屋の霊と同じ、強い意思だ。
この手の霊は、若宮正弘だろうか。だが、だとしたらおかしい。若宮は典型的な地縛霊で、伊織の部屋のリビングにしか現れない。
どういうことだと覗き込んでいると、不意に肩を叩かれた。
「早馬~~、お前朝っぱらから暗い部屋で何やってるかと思ったらまたいおりんで抜いてんのかよ」
呆れた顔で声をかけてきたのは、高校からの友人の沢村絢斗だった。
テニスサークルに所属し、爽やかな今時のイケメンという顔をしているが、ディープなオカルトマニアだ。
早馬の霊視能力に興味を持っており、周りでちょっとでも心霊現象らしきことが起きると、何かとうるさく聞いてくる。
当然彼は、伊織の事故物件番組もリアルタイムで見ており、放送直後はあれはヤラセなのか本物なのかと何通もLIMEが来た。
そして彼は、狗飼が今でも重度のいおりんオタであることを知る唯一の友人だった。
「こんなとこで抜くかよ。朝の読書の時間だろ」
すると絢斗は、雑誌をまじまじと覗き込んで、「うわーこの写真やばいね。あざといけど可愛いなあ」と言った。
「事故物件番組以来、俺もいおりんのこと結構チェックしてるけど、この間、早馬のマンションで初めて実物見たけどさぁ、めちゃくちゃイイコで可愛かったなぁ。笑顔で握手してくれたし、俺もちょっと、ファンになっちゃいそうだよ」
「にわかが軽々しくいおりんを語るな」
「はいはい。……つーかそろそろ、加菜のこと許してやれよ。毎晩俺に電話かかってくるんだぞ。早馬がまだ怒っててLIME返してくれないって」
「一日20回LIME送ってくるんだぞあいつ。そのうち1回は、毎日返してる」
正直なところ顔も見たくないのだが、今年成人式も済ませて成人の仲間入りをした身としては、最低限大人の対応をしようと思っていた。
「加菜は早馬が好きなんだよ。他の女子の前で、自分の方が昔から早馬を知ってるってマウント取りたがるの」
「だからって本人の前で黒歴史暴露することないだろ」
「黒歴史って……いおりんのファンだったってこと? 今もファンじゃん。しかも重度の」
「いおりんのファンを〝一度でも辞めた〟っていう黒歴史だよ」
ああそっちかと、絢斗は納得したように頷いた。
「つーか昨日のいおりんの事故物件生配信見たか? 最後に出てきた霊のドアップやばくね? いおりん、殺されてないか心配なんだけど」
「……昨日のは確実にヤラセだ。あれは霊じゃない」
「そうなの?」
伊織はヤラセだけはしたくないと言っていたから、きっと番組スタッフの意向に反対を押し切られる形になったのだろう。
明らかに作り物の幽霊に、迫真の怯え演技をしていたが、どこか後ろめたいようなそんな顔をしていた。
「えっ、あれやっぱヤラセなのか……でも最初の生配信の時のはホンモノなんだよな? 確かに最近、あんまり進展なさそうな配信だったけど……もうあの部屋の幽霊はいなくなっちゃったのか?」
「いや、まだいるよ。俺も何回も見てるし、隣の部屋にいても壁の音が聞こえてくる。それも、かなり強く出てくるようになってて……危険なサインだ」
「大丈夫なのかそれ……」
「ダメに決まってるだろ。でも……今は撮影の時以外はマネージャーの家に泊ってるらしくて、あの部屋にはほとんどいないみたいだから」
最近は朝のゴミ出しの時も顔を合わせないし、日中も夜もほとんど物音がせず、部屋にいる気配がない。
「お祓いしてあげるとか適当なこと言ってお前が一緒に住んであげればいいのに。こんなチャンス滅多にないぞ。推してるアイドルの隣人になるなんて。しかも事故物件なんてお前の得意分野で。これを利用しない手があるのか?」
「そういう、距離感をわきまえないファン、一番ぶっ殺したくなるんだよな」
「過激ファンこええ……」
合い鍵を突き返された時、残念な気持ちと同時に、少しほっとした気持ちもあった。1ファンである自分が、幽霊を口実にアイドルを自分の部屋に住まわせるなど、間違っている。
「でもなあ……まあそういうファン心理は分からなくもないよ。俺も推してるアイドルが、ファンの男と同棲してたらショックだし。男死ねって思うと思うけど……」
でも、と絢斗は言った。
「いおりんにしてみれば、隣人に心霊現象のエキスパートがいるなら、頼れたら心強いんじゃないかな」
「………」
その時、一限の始まるベルが鳴った。
「やべ! こんなことしてる場合じゃねーや」
1、2年とサボっていた絢斗は必修の単位がギリギリらしく、3年になってもまだ1限に授業を入れなければならない程余裕がないらしい。
慌てて走りさっていく絢斗を見送り、狗飼は昨日の伊織の生配信を見た。
『こんばんは~~。今週も、『事故物件住んでみた!』の生配信コーナーやっていきたいと思います』
そう言って笑う伊織の顔は、どことなく生気が薄れているように思えた。メイクで隠しているのかもしれないが、それでも目元にはうっすらと隈が見え、青ざめた顔をしている。
この間、合い鍵の件で部屋に半ば押し入りのような形で入ったときは、ここまで顔色は悪くなかった。
(マネージャーの家に、泊ってるんだよな……?)
映像越しだからよく分からないが、ひどく体調が悪そうに思えた。
「あれ、時計止まってる……」
伊織の背後に映っている時計が配信時間と大きく異なり、止まっていることに気づいた。
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