かきまぜないで

ゆなな

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2章

4話

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「も、何なんだよ……一体。付いてけねぇ」
 高弥は洗面台で濯いだあと、深く長いため息を吐く。
 あぁいうちょっとしたじゃれ合いみたいなのが、本当は好きだ。
 でも、きっと沢村にとったら大した意味はないのだと思うと、瞬間感じた淡い想いがあっという間に霧散して、 虚しさだけが残る。
 洗った歯ブラシを沢村の歯ブラシの隣に立てる。幸せな光景なはずなのに、単なる都合だと思うと目を背けたくなった。
 些か乱暴にタオルで濡れた口元を拭って部屋に戻ると、当然のように高弥のベッドで転がる沢村。
「ちょっと……来客用の布団買ったでしょうが。それ敷いて床に寝て下さいよ」
 高弥がベッドサイドに立ち文句を言う。
「めんどくせぇ。詰めれば寝れんだろ」
 沢村はそう言うと、傍らに立つ高弥の腕をぐいっと引いた。
「うわっ」
 沢村の上にどさりと倒れ混む。
「つーかさ、高弥」
「ん……っ」
 ベッドに寝る沢村の上に倒れ込んだ高弥の部屋着のズボンの上から脚の間をするり、と撫でられる。
「ははは。やっぱ口んナカ弄られて感じてたんじゃん」
 片手で緩く勃ち上がりかけたものをからかうように弄られて、もう片手は双丘の狭間で熱をもった体液が滲み始めた孔を薄い部屋着の上からぐにぐにと押される。
「や……」
「歯磨きされて勃起してびしょびしょに濡らすなんて………高弥センセイ、ヘンターイ」
 意地悪な声が耳奥に流されて耳の先まで赤くなった高弥を沢村は低い声で笑った。上に乗せられたまま、長い指先がズボンのウエストも下着のゴムもくぐって孔のふちに触れると、溢れる分泌液でぬるぬるとすべる。
「はつじょーき、もうすぐだもんなぁ」
 耳元で楽しそうにくすくす笑う声がくすぐったくて首を振ると、孔をぬるぬると苛める指とは反対の指先が高弥の顎をすくってくちびるが重なった。
 ぬるり、と濡れた舌が忍び込んでくるのと同時に指先が濡れた胎内にも忍び込む。
「んんっ……」
 あれから何度も何度も沢村の仕事を間近で見てきた。この指先がどんなに的確に動いて多くの諦めざるを得ないような命を救ってきたか。その瞬間、瞬間が高弥の脳裏に焼き付いて離れない。 あの憧れてやまない美しく長い指先が。今自分に情欲を伴って触れているのかと思うとそれだけでおかしくなりそうだった。
 柔らかく舌を吸われながら、長い指を胎内に2本根元まで含まされて、ナカをかきまぜる。高弥の躯のことなんて、もう高弥よりも沢村の方がずっとずっと知っている。熱をもった粘膜の特に感じるポイントを指の腹でゆるゆると辿られて、咥内から上顎を舐められただけでだめだった。
「っ……」
 まだ服を着たままだったけれど、我慢できずに精液を溢してしまった。
「あーあー、パンツすっげーぐちゃぐちゃじゃん。スボンにまで染みてる」
 笑いながら脱がされて、汚れたズボンも下着も床に放られる。
「ほんとクチのナカ弱ぇよな、高弥ぁ。この前なんて俺の咥えてるだけでイっちまったもんなぁ」
「う……うるさい……っぁ……や……っ」
 達してしまい粘膜は敏感になりすぎていたが、興奮しきった沢村の指先は内壁を弄るのを止めてくれない。 
 沢村はスウェットを下げると、腰に跨がるように上に乗った高弥の濡れた下肢に固くなった自身を押し当てる。
「さ……沢村先生だって、た……勃ってんじゃないっすか……っヘンタイっ」
「高弥がやらしーく、クチん中弄ってくるからだろ」
 言いながら、にゅるにゅると音を立てて濡れた孔の入り口から陰茎の裏まで固くなったぺニスを何度も往復させる。
「や……らしくなんてしてな……っ歯磨きしただけ……っ」
 つぷり、と先端のふくれているところが少しだけナカに入っては、また出て、焦らすようにぬるぬると陰部をぺニスでなぞられる。
 ぬぷ、と入り口まで挿れては出すを繰り返されると、奥のところがじゅわじゅわと熱くなってくる。
「沢村先生……っ」
「んー?」
 焦らさないで欲しいと視線を向けてもゆったりと人の悪い笑みを浮かべるだけで。
「あ……っ」
 熱くてたまらない奥の部分が辛くて、 高弥は自分から腰を落として男のものを受け入れた。
「あーあ、自分で挿れちゃった。やらしー」
「言うな……っあぁ……」
 男の羨ましくなるほどに綺麗に付いた腹筋の上に手を付いて、この2年の間に教え込まれたとおりに腰を揺らす。
「……っく…」
 教えられたとおりに、上下に動かしたり、前後に腰をスライドするように動かしてみると、からかうようだった沢村の顔も徐々に射精感をやり過ごすためか歪み始める。
 沢村の艶かしい表情に自分の動きであの沢村を気持ちよくしているのだ思うと何とも言えない満足感が広がった。
 そう、思った次の瞬間。
「うわっ」
 ぐるりと世界が反転したかと思うと上に乗っていたはずの高弥はベッドの上に押し付けられていた。
「高弥のクセに、ヨユーの顔しやがって。いい度胸じゃん」
 低い声でそう言ったかと思うと、脚を大きく開かされて前から一気に奥まで挿入された。
「や……っ深すぎ……っああ……っ」
「お前は俺にヤられて啼いてりゃいいんだよ……っ」
 自分で上になったときの腰の動かし方を教えたくせに、何て言い分だと 高弥は思ったが、意味を成す言葉はもう紡げなくなった。
 抑え付けられて。好き勝手に蹂躙されてかきまぜられる。
「ひ……っぅああ………」
 我慢出来ずに、何度もイってしまう。
 元々高弥の精液は薄く量も少ないことから、数回達した後は、絶頂に達しても孔から愛液がだらだらと流れるだけだ。
 躯の奥から流れてくる体液を止められず、ひくひくと痙攣させながら何度も達する高弥の奥に沢村は満足そうに精液を注ぎ込んだ。
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