45 / 54
番外編SS
BLUE HEAVEN1
しおりを挟む
沢村と高弥の初めての出会いの話です。
沢村大学生、高弥中学生です。
BLUE HEAVEN
「陽介ぇ、今日Safari行く?」
溜まり場である地下にある仄昏い店で声を掛けてきた女は派手だが、すらりとした美人。 その女が美しく長い爪で陽介のピアスを弄りながら問う。
「あー、わり。俺今日ボランティアで行けねーわ」
黒いフードを被った陽介は口に煙草を咥えながら面倒くさそうに言った。
「ボランティアぁ? 陽介がボランティアとかありえねぇんだけど」
隣で同じように煙草を咥え、耳にぐるりと一周大量のピアスが光る男が低く笑った。
続くようにその場に集った者達の笑い声が響いた。
「何か病院でボランティアしねーと海外の病院での実習の推薦状書かねぇってガッコがうるさくてなー」
あぁ、面倒クセェと言った陽介はゆるゆると紫煙を吐き出した。フードから覗く髪はプラチナ色に美しくカラーリングされていて、日焼けした男の肌と絶妙に似合っていた。国籍不明の外国人にも見える容姿は、美しく筋肉の乗った伸びやかな青年らしい肢体と相まって面白いほど女達に騒がれた。
「病気になっても陽介だけには診てもらいたくねぇな。つーか日本の病院じゃだめなわけ?」
「日本の病院だと、決まりがうるさくてなー。決まりもクソもねぇぐらい未開の地の病院だったら、日本で学生にさせてくんなさそうなことまでどんどんやらせてくれるらしいんだよ。オペとかやってみてぇじゃん?」
金髪の前髪から覗く、鋭い肉食獣のような瞳が愉しそうに嗤う。
「うっわ。怖ぇ。今からお前にオペされる患者に同情するわ」
「言ってろ。人体の仕組みなんか完璧に頭んナカ入ってるから何処にどうメスを入れたらいいかも間違いなくわかるっつーの」
そう言って陽介はちらりと時計を見る。
「面倒くせぇけどそろそろ行くわ。じゃな」
陽介は座っていたテーブルの上から降りる。
先ほど声を掛けてきた女に
「わりーな、今度またSafariでヤろうぜ 」
そう低く囁いて、女のピアスを長い指先で揺らすと、陽介は地下の店を後にした。
地下の店から出ると、 午後の日差しは大分傾いて夕方が近いことを陽介に知らせた。
「4時っつてたっけ。やべー、遅れっかな。ま、 ボランティアなんだから別にいっか」
そう言ってギリギリの時間にも関わらず、気にすることなく怠そうに灰色の道を陽介は歩く。
「この辺いつもマジでこんなにクセェんだよ」
若者が集うこの街は華やかだけれど、いつも色んな匂いが入り交じって不快だった。
「それにボランティアも響きからしてつまんなそうな匂いしかしねぇし」
何をやっても人より何でも出来た。特に努力したこともない。
一度耳に入れたら大抵のことは覚えられたし理解できた。
運動も勉強も何だって簡単すぎる。
簡単すぎて何もかもが面白くなかったけど、どうしてか人体にだけは少し興味が持てた。
政治家である一族に逆らいたかったのもあるかもしれない。全く関係ない医学部を目指したが大した努力もしていないのに最高峰と言われる帝大医学部にも合格してしまった。
面白い授業をする講師がいるのでそこそこ満足して通ってはいるが、どうしても、いつも、何か物足りない。何をしてもどんな遊びをしても満足できない。
大通りに出て右手を挙げると一台のタクシーが停まった。
「帝大付属病院まで」
端的に告げると、目的地に向かってするりとタクシーは走り出した。
沢村大学生、高弥中学生です。
BLUE HEAVEN
「陽介ぇ、今日Safari行く?」
溜まり場である地下にある仄昏い店で声を掛けてきた女は派手だが、すらりとした美人。 その女が美しく長い爪で陽介のピアスを弄りながら問う。
「あー、わり。俺今日ボランティアで行けねーわ」
黒いフードを被った陽介は口に煙草を咥えながら面倒くさそうに言った。
「ボランティアぁ? 陽介がボランティアとかありえねぇんだけど」
隣で同じように煙草を咥え、耳にぐるりと一周大量のピアスが光る男が低く笑った。
続くようにその場に集った者達の笑い声が響いた。
「何か病院でボランティアしねーと海外の病院での実習の推薦状書かねぇってガッコがうるさくてなー」
あぁ、面倒クセェと言った陽介はゆるゆると紫煙を吐き出した。フードから覗く髪はプラチナ色に美しくカラーリングされていて、日焼けした男の肌と絶妙に似合っていた。国籍不明の外国人にも見える容姿は、美しく筋肉の乗った伸びやかな青年らしい肢体と相まって面白いほど女達に騒がれた。
「病気になっても陽介だけには診てもらいたくねぇな。つーか日本の病院じゃだめなわけ?」
「日本の病院だと、決まりがうるさくてなー。決まりもクソもねぇぐらい未開の地の病院だったら、日本で学生にさせてくんなさそうなことまでどんどんやらせてくれるらしいんだよ。オペとかやってみてぇじゃん?」
金髪の前髪から覗く、鋭い肉食獣のような瞳が愉しそうに嗤う。
「うっわ。怖ぇ。今からお前にオペされる患者に同情するわ」
「言ってろ。人体の仕組みなんか完璧に頭んナカ入ってるから何処にどうメスを入れたらいいかも間違いなくわかるっつーの」
そう言って陽介はちらりと時計を見る。
「面倒くせぇけどそろそろ行くわ。じゃな」
陽介は座っていたテーブルの上から降りる。
先ほど声を掛けてきた女に
「わりーな、今度またSafariでヤろうぜ 」
そう低く囁いて、女のピアスを長い指先で揺らすと、陽介は地下の店を後にした。
地下の店から出ると、 午後の日差しは大分傾いて夕方が近いことを陽介に知らせた。
「4時っつてたっけ。やべー、遅れっかな。ま、 ボランティアなんだから別にいっか」
そう言ってギリギリの時間にも関わらず、気にすることなく怠そうに灰色の道を陽介は歩く。
「この辺いつもマジでこんなにクセェんだよ」
若者が集うこの街は華やかだけれど、いつも色んな匂いが入り交じって不快だった。
「それにボランティアも響きからしてつまんなそうな匂いしかしねぇし」
何をやっても人より何でも出来た。特に努力したこともない。
一度耳に入れたら大抵のことは覚えられたし理解できた。
運動も勉強も何だって簡単すぎる。
簡単すぎて何もかもが面白くなかったけど、どうしてか人体にだけは少し興味が持てた。
政治家である一族に逆らいたかったのもあるかもしれない。全く関係ない医学部を目指したが大した努力もしていないのに最高峰と言われる帝大医学部にも合格してしまった。
面白い授業をする講師がいるのでそこそこ満足して通ってはいるが、どうしても、いつも、何か物足りない。何をしてもどんな遊びをしても満足できない。
大通りに出て右手を挙げると一台のタクシーが停まった。
「帝大付属病院まで」
端的に告げると、目的地に向かってするりとタクシーは走り出した。
134
あなたにおすすめの小説
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
【完結】王宮勤めの騎士でしたが、オメガになったので退職させていただきます
大河
BL
第三王子直属の近衛騎士団に所属していたセリル・グランツは、とある戦いで毒を受け、その影響で第二性がベータからオメガに変質してしまった。
オメガは騎士団に所属してはならないという法に基づき、騎士団を辞めることを決意するセリル。上司である第三王子・レオンハルトにそのことを告げて騎士団を去るが、特に引き留められるようなことはなかった。
地方貴族である実家に戻ったセリルは、オメガになったことで見合い話を受けざるを得ない立場に。見合いに全く乗り気でないセリルの元に、意外な人物から婚約の申し入れが届く。それはかつての上司、レオンハルトからの婚約の申し入れだった──
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる