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7章 全道大会へ向けて
040話 新目標と、切り替えと ①
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SIDE:YUNO
「ゆのヤバい、赤点取ったかも」
「美夏さん、私も……」
インターハイ予選の週末が明けた月曜日。
札幌山花高校は今日から中間テストが始まっていた。
私たち卓球部のように、大会と試験の日程が被る競技もあるので、よく漫画とかで見る試験前後の部活禁止というのは特に無いらしいが、昨日まで大会だったアンド今日明日が試験ということでさすがに今日は放課後の部活は無しにして各自が帰って勉強の日ということにしている。
「まあ、今日くらい一夜漬けでも明日の勉強した方がいいよ。ミカはともかく、みのりちゃんは全道へ向けて補習なんか受けてられないんだし」
「ゆのー、補習なったら勉強教えて~」
「柚乃さん、私もお願い」
試合中はあんなにかっこいいのに、今は情けないの権化となっている二人の尻に火を付ける。
「はい、二人ともそんなこと考えてる暇があったら一夜漬け。すぐ帰るよ」
***
翌日。
中間テストも終了し、私たちは放課後更衣室で着替えていた。
「一日休んだだけなのにめっちゃ練習してない気がするー!」
「そんなミカはテスト大丈夫だったの?」
「たぶんダメ」
能天気な幼馴染の声に軽くため息を吐く。
「みのりちゃんは?」
「私も駄目だったら柚乃さん教えて」
「うん、まあ私で教えられるところなら」
「わたしとみのりんで態度ちがうー」
「そりゃみのりちゃんはこれから大会が控えているんだから」
インターハイ札幌地区予選、山花高校からは個人戦女子シングルスでベストエイトになった稔里ちゃんと、個人戦女子ダブルスでベストフォーになった絵東・有栖川組が全道大会に進出していた。
それにしても、他の都府県だと県大会とか都大会とか言うのに、北海道だけは何で道大会ではなく全道大会って言うのだろう。北海道が広いから?
閑話休題。
「絵東さんのシングルス惜しかったよね。相手のホクセン伊藤さんベストエイトまでいったもんね」
「伊藤さん、ユキさんの次の年の全道優勝した人」
「二年で一番強い人かぁ。たしかにベストエイトで一人だけ二年だったよね」
絵東先輩は、三回戦で第九シードだった北川高校の伊藤選手にフルセットの末敗退していた。上位十二人が全道へ行けたので、トーナメント運がもう少し良ければと思ってしまう。
「それをいったらみのりんもすごいじゃん! ベストエイトで一年みのりんだけっしょ!」
「でも柚乃さんの敵を取れなかった……」
「敵討ちなんて私のはそんなレベルじゃないよ」
稔里ちゃんは、なんと北川高校レギュラーのシード選手に勝ってベストエイトまで勝ち進んでいた。ベストエイトはホクセンの伊藤さんと稔里ちゃん以外みんな三年だったのでさすがの最強一年生だ。
そして、稔里ちゃんはベストフォーをかけた準々決勝で平川高校の横峯さんに負けていた。さっき敵討ちと言っていたのは、私鈴原柚乃は、二回戦で横峯さんに当たって敗退していたからだ。
「私横峯さんにゲーム取れる気がしなかったもん。一ゲーム取ったみのりちゃん凄いよ」
「横峯っちは普通に強いよ。私と同じで戦術派だから一回試合観られてたら徹底して弱点突かれるし」
いつの間にか更衣室に絵東先輩が入ってきていた。
「パイセンちーっす」
「まあ、全員団体か個人かで一勝はできたし初めての大会にしては良かったんじゃない?」
「ミカは今日から私とツッツキ練習ね」
「なんで一回戦なんかで負けるのって刈屋さん怒ってた」。
「ゆのヤバい、赤点取ったかも」
「美夏さん、私も……」
インターハイ予選の週末が明けた月曜日。
札幌山花高校は今日から中間テストが始まっていた。
私たち卓球部のように、大会と試験の日程が被る競技もあるので、よく漫画とかで見る試験前後の部活禁止というのは特に無いらしいが、昨日まで大会だったアンド今日明日が試験ということでさすがに今日は放課後の部活は無しにして各自が帰って勉強の日ということにしている。
「まあ、今日くらい一夜漬けでも明日の勉強した方がいいよ。ミカはともかく、みのりちゃんは全道へ向けて補習なんか受けてられないんだし」
「ゆのー、補習なったら勉強教えて~」
「柚乃さん、私もお願い」
試合中はあんなにかっこいいのに、今は情けないの権化となっている二人の尻に火を付ける。
「はい、二人ともそんなこと考えてる暇があったら一夜漬け。すぐ帰るよ」
***
翌日。
中間テストも終了し、私たちは放課後更衣室で着替えていた。
「一日休んだだけなのにめっちゃ練習してない気がするー!」
「そんなミカはテスト大丈夫だったの?」
「たぶんダメ」
能天気な幼馴染の声に軽くため息を吐く。
「みのりちゃんは?」
「私も駄目だったら柚乃さん教えて」
「うん、まあ私で教えられるところなら」
「わたしとみのりんで態度ちがうー」
「そりゃみのりちゃんはこれから大会が控えているんだから」
インターハイ札幌地区予選、山花高校からは個人戦女子シングルスでベストエイトになった稔里ちゃんと、個人戦女子ダブルスでベストフォーになった絵東・有栖川組が全道大会に進出していた。
それにしても、他の都府県だと県大会とか都大会とか言うのに、北海道だけは何で道大会ではなく全道大会って言うのだろう。北海道が広いから?
閑話休題。
「絵東さんのシングルス惜しかったよね。相手のホクセン伊藤さんベストエイトまでいったもんね」
「伊藤さん、ユキさんの次の年の全道優勝した人」
「二年で一番強い人かぁ。たしかにベストエイトで一人だけ二年だったよね」
絵東先輩は、三回戦で第九シードだった北川高校の伊藤選手にフルセットの末敗退していた。上位十二人が全道へ行けたので、トーナメント運がもう少し良ければと思ってしまう。
「それをいったらみのりんもすごいじゃん! ベストエイトで一年みのりんだけっしょ!」
「でも柚乃さんの敵を取れなかった……」
「敵討ちなんて私のはそんなレベルじゃないよ」
稔里ちゃんは、なんと北川高校レギュラーのシード選手に勝ってベストエイトまで勝ち進んでいた。ベストエイトはホクセンの伊藤さんと稔里ちゃん以外みんな三年だったのでさすがの最強一年生だ。
そして、稔里ちゃんはベストフォーをかけた準々決勝で平川高校の横峯さんに負けていた。さっき敵討ちと言っていたのは、私鈴原柚乃は、二回戦で横峯さんに当たって敗退していたからだ。
「私横峯さんにゲーム取れる気がしなかったもん。一ゲーム取ったみのりちゃん凄いよ」
「横峯っちは普通に強いよ。私と同じで戦術派だから一回試合観られてたら徹底して弱点突かれるし」
いつの間にか更衣室に絵東先輩が入ってきていた。
「パイセンちーっす」
「まあ、全員団体か個人かで一勝はできたし初めての大会にしては良かったんじゃない?」
「ミカは今日から私とツッツキ練習ね」
「なんで一回戦なんかで負けるのって刈屋さん怒ってた」。
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