セカンドアース

三角 帝

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第2章 カミスナ廃城

6.交叉想

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  結局、部屋へ戻れたのは深夜を回ったあたりだった。3人のいる部屋の扉を気づかれないように慎重に開く。無造作に床に転がって寝息を立てるのはブームだった。緑のパーカーを握りしめ、まるで、幼い赤子のようだ。今では、犯罪に手を染め、見なくてもいい世間に飛び込んでしまったブーム。かつては、強がりで泣き虫で、手のかかる少年だったのだが、今では気を使うような素振りもなく、気を使って笑っている…ヤドクだって同じだ。みんな変わった。……そして、一番変わったのは、アダムかもしれない。

「大切なものを失った……からかな」

  ブームに掛け布団をかけ、ソファの上で眠るアダムの顔を覗き込む。優しい表情だ。昔と何も変わらない。黒くて、少し長めの髪も。大好きなこの匂いも。あの声も……全部、全部欲しかった。全部、あの子の隣にあったけど…それでも……

「……アタシじゃ駄目なの?」

  眠る彼には、そんな声。聞こえるはずもない。第一、この前アタシの気持ちは彼に拒絶されたばかりなのだ。

「今まで何処行ってたの?長官の部屋?寝室…じゃないよね?」

  ヤドクの勘がいいのは相変わらずのこと。

「なんでもないわよ。女性団員の志願者はすごく珍しいらしくてね、長官と話し込んじゃっただけよ」
「行儀よくお茶するぐらいじゃ、服を脱がされる心配もしないんだけどね」

  ヤドクの目には、いつもの光はなかった。ミアナは、そんな彼の目に自己嫌悪する。

「……いつから知ってたの…そんなこと」
「いつからかな。ずっと前から…あの男。常連なんだろ?」
「……」
「こういうの…やめたほうがいい。今すぐ、ここを出て、まともな仕事についたほうがいい」
「まともな仕事って何よ……今更、自分のこと…大切になんて出来ないわよ!」
「大切にしてる人はいる」
「……誰がいるっていうのよ…」

  ミアナには分かった。ヤドクが息を飲む意味が…

「アタシは…いつも後ろ姿ばかり見てたの……諦めてたよ。最初から。イヴがいるってわきまえてた。なのに…どうして……」
「ボクもだよ……後ろ姿しか…見せてくれないからね」

  ミアナはヤドクの見せた、今までは無かった表情に困惑する。
  だが、彼が…この先を口にしないことを、ミアナは知っていた。
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