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第3章 SEARED
5.消えた団員達
しおりを挟む「よくここまで試験をクリアしてきたな諸君!それでは、階級発表にうつる!」
最終試験。実戦が終わり、クリアした隊員が城の最上階に集った。試験監督として配置されたミアナは、数時間前に起こった出来事を振り帰る。
アダムは………アダムはどうなったの?
こんなことをしている場合ではなかった。双子が側についているからといって安心はできない。彼が、何者かによって命を狙われたのは事実だ。
「では、階級発表を行う!」
試験が始まる前の団員人数は、たぶん100以上はいたはずだ。それが、今ではざっと見、20もいない。
「……人数が…足りません」
ミアナの声は震えていた。そんなミアナの様子に、ミアナ以外の唯一の女性団員。確か、名前はパラ・ポネラ。は冷たい視線を送る。
「あなただって、分かってるはずよ」
彼女のその一言は、ミアナの中の何かを突き落とすかのような響きをもっていた。
暗黙の了解だった。この試験の本当の意味。
「この組織には、弱い者はいらない」
今回の試験を受けたのは、ミアナやアダム達と同年の17歳だ。彼らはいったい…どうなってしまったのか、ミアナは想像もしたくなかった。
「ワタシ達、シーレッドっていうのは、話の通る相手を敵にしてるわけではない。殺して、生きる世界なの。弱い奴は人質に取られたり、あるいは、裏切ったりする…そんな奴らは死んでもらうしかない」
パラの放つ言葉は、一言一句正当で、そして、冷たかった。
「アタシは……そんなの嫌です。そんなんで、戦って、たとえ勝利できたとしても…嬉しくない」
「勘違いしないことね。長官のお気に入りってだけで、試験なしにS級を取得したあなたには、死んだ奴の同情なんてする資格もないんだから」
そうだ……アタシは。アタシは……
「どうしたんだい?パラ、またカッカしちゃって」
「ちょ、長官!」
気づけばそこには、何事もなかったかのような笑顔を浮かべる長官レパートの姿があった。パラの声音も表情も一瞬で変化し、ミアナは2人の間柄を一目で認識した。
「君には紹介してなかったね、ミアナ。彼女はパラ・ポネラ。知ってるだろうが、とても優秀な子でね。実戦の際は幾度となく助けられたんだよ。君の先輩ってことで、こちらからもよろしくするよ」
「何言ってるんですか長官!よろしくされるのはこっちですよ?」
「あー悪い悪い」
気持ちが悪かった。目の前で笑う、この2人は、どうして笑っていられるのだろうか…。人が死んだ。死んだ。たくさん。たくさん死んだのだ。確かに、アタシは試験なしの入団だった。だけど……
「どうかしたのか?ミアナ?顔色が……」
いつものように伸びてくるレパートの腕を振り払い、ミアナは湧き上がってくる怒りを必死に堪える。
「……部屋で休んでます」
驚いたような表情を作るレパートも……レパートに媚びを売るパラも……ミアナは全てを否定した。
頭の中を何度も何度も回るのは、アダムの笑顔だけだった。自分に向けられたことのない笑顔だったけど、それでも……
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