32 / 185
第4章 サロキダ戦
1.REBELBLUE
しおりを挟む「REBELBLUE(レブルブルー)は、アクチノイド最高組織のことだ。四年前、アリダン国を撃襲し、壊滅状態へ陥れた極悪組織。我々の敵軍にあたる!我々はそれぞれが所持するルーラーシステムを駆使し、共鳴させることで、ルーラーを武器として操り、奴らに対抗する!」
アクチノイド人。その正体は不明。
「残念なことにカミスナ国王は、奴らの手によって亡くなれた。このままでは我がセカンドアース人は、アクチノイド人によって征服されてしまう!」
セカンドアースに存在する8つの国。そして、王。
「我々は、王の安全確保と、レブルブルーの殲滅を主とし、ここに自らの心臓を捧げよ!」
次々と殺されていく国王たち。壊滅していく国々。
「ねぇねぇ鬼教官!」
「お、なんだねブーム?」
「レブルブルーって強いの?」
突飛な質問か。それとも、あまりにも当たり前すぎる質問か。鬼教官は呆れたように笑い、ブームの頭をぐしゃぐしゃと掻き撫でる。
「味わってみろよ、雑魚も多いが…ヤバい奴らがいる」
「ヤバい奴ら?」
「あぁ、レブルブルーん中でも、トップ中のトップ。見たことはないが、死んだ戦友が最後に残した言葉は、あいつらを見たら逃げろ。だったよ」
「……やべぇなそりゃ」
*
「邪魔だ」
アダムは行くてを塞ぐ奴の姿を見下ろした。
赤毛を短くカットした、キリッとした表情の少女。小さく華奢そうな体格の中にも、風格というのだろうか、謎の貫禄を感じさせた。
「お前はアダム・アイーダだな?ワタシは、お前の監視役に任命されたパラ・ポネラだ」
「…は?監視役?」
「そうだ。あくまで、お前のルーラーはクロウ。どんな優秀な適合者であろうとも、その力に犯され自身を失った、危険なルーラーだ。暴走せぬようにな、監視は必要だろう。というレパート長官の意図だ」
「あーあいつのね」
あいつの考えていることは、なんとなく分かっていた。
*
「今回のサロキダ戦は、お前たち、初めての実戦だろ?」
パラは、シーレッド専用軍戦車の荷台に乗ったヤドク、ブーム、ミアナを振り返った。
「あぁ!ルーラーの特訓もしたし!楽しみだなぁ~」
「戦争だよ?全然楽しくなんかないよ」
戦闘前の空気とは思えないほどの、彼らの余裕は、やはり過去の犯罪歴からくるものだろうか。とパラは感じ、助手席の黒髪少年を横目に睨みつける。後ろの奴ら。女を除いては、それぞれに頭脳犯、行動犯とかなりの実力を持っている。だが、あそこまで強力な力を持つルーラーの適合者。この男はいったい、何者なのだろうか。まぁ、この男も、ルーラーの力に耐えられるかどうかも危ういのだが。
しばらく車を進めると、今はもう閉鎖区内となったサロキダ国東市街区が見えてきた。黄色い建物が立ち並び、他の国同様に、独特の特徴を持つ。観光スポットとして有名なカミスナ国とは異なり、ここ、サロキダ国は名産物が多く、国特有文化の食が人気の国だ。普段は、家族連れや、若い少女たちの遊び場だが、今では険しい顔つきの男たちが、統一された黒の団服に身を包み、無骨な武器を片手に歩き回っている。
「……戦争なんだ…」
今頃か。とも思える台詞を放ち、ブームは地上に降り立った。続けてヤドク、ミアナが降りる。アダムも続いて降りようとした。
その瞬間ー
轟音と地鳴りが轟き、目の前にそびえていたサロキダ国城の門が開かれた。今にも飛び降りようとするアダムをパラが再び引きずり込み、扉を閉める。
「何すんだよ!」
「危険よ!」
「当たり前だろ!?逃げんのかよ!」
「違う……アレは…………」
アダムとパラを乗せた車が、自分たちから遠ざかっていくのを振り返り、ヤドクは今の事態を一通り把握する。
『あいつらを見たら逃げろ』鬼教官の声が耳の奥で響く。
「……さっそく、お出ましってことか」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる