セカンドアース

三角 帝

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第6章 ナジプト国

5.襲撃の合図

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  あたり一面、濃い霧に包まれたかのように濁って見えた。四年前のあの火事と、所々の情景が重なり、重苦しい感情に押しつぶされそうになった。
  足に巻き付いたスネークを解き、少しだけ地面から浮いていた体が、地上に底をつけた。

「酷いね」

  後から追いついてきたヤドクの声がし、ブームは振り返ることなく、濃い霧の中に入っていく。民家の屋根がただれていた。元は、きっと美しい紫色をしていたのだろう。突き出した割れた木の柱や、粉々に粉砕した鋭いガラスが、ブームが地面を踏みしめるごとに、ブーツの底にジャリジャリと食い込んだ。

「……一体何があったっていうんだよ」

  ふと足を止め、ぐるりと360度を見渡す、目に映る限り、全ての色が赤色で、その向こうに細く白い子供の腕が屋根と地面に挟まれているのが見えた。

「大丈夫か!!」

  意思と比例して、素早くスネークが足に絡まりつく、スムーズな動きで、なんの抵抗もなしに体が数センチほど地面から剥がされ、地を滑る。その動作を一瞬で終え、気づけばその白い腕の前に立っていた。自分でも驚くほどの速さだ。

「ヤドク!脈は!?」

  ヤドクの青蛙の口から、透明な円盤が飛び出し、白い腕に張り付く。

「大丈夫。安定はしてないけどまだ生きてる!右肩に大きな傷があるから、引っ張るのはよした方がいい。屋根ごと持ち上げて!」
「了解」

  足を締め付けるスネークの力が強くなる。ブームは大きく助速を後方につけ、足を屋根と地面の隙間めがけて蹴り上げる。屋根が大きく湾曲し、その一瞬を狙って子供を救出する。
  焦げ茶色の綺麗なロングヘアの少女だった。

「ヤドク、生きてる……のか?」
「うん、生きてる。だけど、どこか安全な場所を探して移動しなきゃ…」
「なんかあるの?」
「……うん、敵がこっちにきてる。レブルブルーだ」

  ヤドクは、そう言って指先でブームに巨大パネルを向ける。赤い点が点滅を繰り返しながら、黄色い点。つまり、自分たちがいる方向へと移動してきていた。

「や、やばいって、やばいって!ど、どーする!?」
「助けたのはブームだろ!?自分でなんとかしろよ!」
「いやいや。普通に助けるだろ!?」
「そりゃそうだけ……」

  突然、言葉を飲み込むヤドク。ブームはその視線の先をおい、大きく首を回す。
  赤い煙に包まれた、ただれた屋根の上に、赤髪の男が立っていた。手には銀の小銃が装備され、銃口がこちらを向く。その一歩手前、ブームは大きく飛び退き、ヤドクごと地面を蹴る。

「お、おい!ちょっとブーム!」
「あいつだ……」
「は?」
「あいつが………あいつが」

  四年前の火事。
  あれは、レブルブルーの襲撃の合図だ。
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