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第6章 ナジプト国
7.ナジプト戦2
しおりを挟むヤドクは、パラにそう軽く微笑むと、ミアナに向かっても同等の笑顔を向けた。一瞬、その冷めた笑顔にミアナは、ゾクリと寒気を感じるが、それはすぐにほころんだ。
「ミアナ、もし、もしもだけどね。別にどーだっていいんだけど、上のやつ落としてもらってもいいかな?」
そう言って上を指した指に従って、ミアナは顔をあげる。半透明なシールドのドーム中央に、外側から張り付いた緑色のパーカーの少年がいた。
「ブ、ブーム!!」
「別にどーだっていいんだけどね。目障りだしさ」
ミアナは、そのブームの姿にふと思うことがあり、ヤドクを見る。視線に気づいたヤドクと目が合うが、声をかけることはできなかった。
「どうしてボクは、君のシールドを掻い潜ることが出来たか…ってこと?」
何故分かったのか、と聞き返したいところだったが、ここは、さすがヤドク。で片付ける。
「うん、どうして?」
「これを使って、シールドの電子同士の結合を数平方メートル解いただけだよ」
フラッグの口から、光の線を引き飛び出した巨大パネル。ヤドクはそれを指で小突き、ミアナに見せる。城外の様子が映像化されているところだった。それの横には、ミアナが一生をかけても解読出来ないであろう文字数字たちが、ギッシリと行儀よく整列していた。どんどん書き換えられていくその文字を、ミアナはただ呆然と視界から流した。
「……す、すごい…」
「…早く解放してあげなよ」
「あ、忘れてた」
パラの言葉に、ミアナは慌ててブームの周囲にかかったシールドを解く。ブームが細く長い絶叫をあげながら落下してくるのが見えた。間一髪でスネークに助けられ、地面から数センチほど浮かんで浮遊してきたブームと対面する。
ボーっと意識を朦朧とさせたブームは、ミアナを。次にヤドクを見る。パラは、そんなブームから視線を逸らすが、そんなの御構い無しにブームがパラに飛びつく。
「パラー!お前生きてたのかー!心配したんだからなぁ~!」
「き、キモッ!離れてよ馬鹿!」
「一人でどっか行くから、オレ心配してたんだぞ?いい加減にしろよな~?」
「いい加減にしろはお前の方だ!ワタシはあくまでお前の上司だぞ!」
「たった一つしか変わらないのに~」
「た、たった一つでも…」
「…はいはい、感動の再会はそこまで」
ヤドクは、打ち鳴らした手を下ろし、レブルブルーの連中を見据える。
「時間がない。ブームとパラ上官は、ナジプト国王の救出に向かってください。この場は、守護戦闘のボクとミアナで食い止めます、国王の救出が成功したら、ミアナのシールド範囲を広げながら隙を見て本部へ国王を送り届けます」
「分かった、この場は頼む。ほら行くぞパラ」
「ちょ、なによ!アンタ!」
ブームは、パラを引きずりながらヤドクにウインクを食らわせた。そんなブームに、ヤドクは半ばイラつき、そのイラつきを沈黙に変えた。
「…ヤドク?」
「……戦闘だ、気を引き締めよう、ミアナ」
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