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第8章 マキダム牢獄
9.失踪の国王
しおりを挟む「そうして、アクチノイド第一王国リンザルガス国、ランタ国王陛下は自らの実の息子に命を奪われた」
「どうなったんだよ」
老人は、長い話の終わりを告げるように、静かに言葉を貯めた。
「国王陛下暗殺後、レブルブルーの主権は全てその息子、アク・アルテミスのものとなり…アリダン大火災。あれを機に、アクチノイドのセカンドアース襲撃が始まった」
「……アク……アルテミス…………レブルブルーの長官とかいう奴か…」
「あぁ…わたしの息子だ」
あぁ…わたしの……
「息子だぁぁぁあああ!?」
「あぁ、息子だ」
「も、も、もう一回!」
「わたしの息子だ」
「……………なら、お、お、お前…ゆ、幽霊!?」
老人は、ふぅと深く溜息を吐き、自分の体をバシバシと叩く。そのついでに、アダムの頬を摘みあげ、ぐりぐりと捻った。
「わかったわかったわかったわかった!わかったから!あんたは生きてる!」
「なら良い」
「……で?なんで、あんたが生きてここにいるわけ?暗殺されたんじゃねぇの?」
「なめてもらっちゃ困るな。リンザルガス国王たる者、そのぐらいで殺されては堪らん!」
「で?」
「命懸けで逃げてきたのだ!」
「ふーん、で、辿り着いたのがココってわけか」
「そうだ!」
「で、ヒソヒソとココで暮らしてたわけか」
「そうだ!」
まぁ、これからの牢獄生活、退屈にはならないようだ。
アダムはランタにしばらく複雑な眼差しを向け、ぷいとそっぽを向くと、冷たい床に寝っころがる。
「お前さんはココから出る気はあるのか?」
「ココを何処だか知ってて言ってる言葉だったら、そのリンザルガス王国の国王陛下っていうのは随分と世間知らずのようだな。マキダムの牢獄に入った者は、二度と出ることはできない。そういう噂聞いたことねぇのか?」
「あーあれ?あれはわたしがばら撒いた嘘じゃよ」
「あぁ?」
「だから、あれはわたしがばら撒いた嘘じゃ。事実、ココへの出入りは確かに犯罪者が多いが、自由だ。言わば、もう犯罪者のマンション的な感覚で使われているな」
「な、なんでンな嘘ついた!?」
「だって、これ以上入ってこられると、わたしの領地が減ってしまうしな」
「……はぁ」
老人はふと真剣な表情に戻ると、小さく息をつく。
「そうと分かれば、お前さんは自由の身だ。やりたいことがあるのではないか?シーレッドさんよぉ」
「……助けたい人がいる…」
「助けたい者?いったいそれは何だ?」
「…本当かどうかは分からない。だけど、クリスタ…クリスタに彼女がいると聞いた。レブルブルーの占領下に置かれていると…だけど、彼女に会いたいと願うと、身体中が痺れるように痛いんだ」
「……そういうことか…………」
了解した、とばかりに首を大きく縦に振り、老人は皺の濃い瞼を閉じた。小さく喉の奥で唸り、そして目を開ける、凛々しい光を放つその銀色の瞳が、アダムの視線と重なり合う。
「お前さんに、この物語の全てを語ろう…始まりから…終わりまでをな……」
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