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第8章 マキダム牢獄
8.動復讐心
しおりを挟む立て掛けられた、眩しい写真に、感情の無い冷たい二つの色が映っていた。白髪の少年の隣で、満面の作り笑いを浮かべる少年に、アクは荒んだ視線を向けていた。
「なんでそんな顔するんだい?」
「お前が嫌いだからだ」
「なんでだい?」
「お前は…」
「…利用して何が悪いの?本物の友情なんて、あると思ってたの?」
作り笑いの少年は、なんの気もなしにそんなことを吐き捨てる。
『殺すんだ。殺せ』
誰かがそんなことを囁く、心を貪るような、そんな音と目の前の作り笑い。
気づけば、作り笑いの少年は、全身を刻まれ地面にこびりついていた。
しばらく、どのぐらいだろうか。その残骸を見下ろしながら、アクは考えていた。込み上げてくる感情は、悲しみとか喜びとか怒りとか憎しみとか快感とか、そんなものとはかけ離れていて…無。ただそれだけだった。
少年は笑っていた。作り笑いだ。だけど、人を騙せる作り笑いだった。本物だと思って、信用して、裏切られて、全て金の力で成り立った、作られた笑顔だった。
なら……
「ハハ……ハハハ……ハハハハハハ」
僕も、彼のように笑おうではないか。
舐めろと言われ、跪いた男。そいつはこう言っていた。
『人には口がある、なんであるか分かるか?思いを伝え合うためだ』
白くて、善者で、愛される。それがその男の後ろ姿だった。
だが、僕はあいつを「父さん」と呼んだことはない。
「フェル、分かってるよな?」
金髪の少年は、小さく頷くと幼いその手に装着した、銀のナックルを握りしめる。それがある種の拘束具のように目に移り、自身がこれから握ることになるであろう、あの男の銀の剣を思い描く。
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