セカンドアース

第9章 ヤカロザ決戦

8.決戦

  爆発だ。
  ヤドクは、索敵サークル内で転々と沸き起こるその爆発たちを数える。

「レブルブルーの総攻撃か……」

  このヤカロザ戦は、両組織が全てを賭けての戦いになる……決戦だ。
  ふと、腕の中のミアナに視線を落とす。
  彼女もこの戦いに呑み込まれ、自身を捨てようとした。ルーラーの開放は、精神を一度共鳴させた関係にあるルーラーを自爆させるという恐ろしいものだ。彼女はそれを行い、精神を失った恐れがある。
  
「ミアナ……君は…母親になるんじゃないのか？」

  傷で黒ずんだ頬をなぞり、華奢な腹部にそっと手を置く。どくんどくんと一定のテンポでミアナの振動が伝わる。先ほどの爆発でお腹の子供が無事かどうかが心配だった。

「…彼女……妊娠してるのかい？」

  落ち着いたその声に、ヤドクは振り返ることなく応答する。

「あぁ、してるよ。望まない妊娠をね」
「誰とのだい？」
「……お前とのだよ……」

  レパートは嘲笑うようにおどけてみせ、くるりと半回転してみせる。それが何を意味するのかは分からないが、腕の中の彼女を思い、レパートを強く睨みつける。

「君は彼女がとても好きなようだねぇ、告白しないのかい？」
「ミアナを傷つけるようなことはしない。お前みたいにな」
「え～？酷いじゃないか、僕は彼女に頼まれてたんだ、料金だってちゃんと払ってたよ？彼女は貧しさのあまり自分を売ったんだ」
「…………クソッ」

  そうだ。その通りだ。この道を選んだのは彼女自身だ。だけど…

「ボクはお前を許さない」
「それは面白いなぁ、んじゃ、楽しみにしとくよ。ところで、君たち早くここから出たほうがいいよ～」
「なんでだ？逃げろってのか？」
「違う違う」

  レパートの榛色の瞳が、鈍く光る。

「臆病者は、この先死ぬからだよ」