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最終章 セカンドアース
6.青の反逆者 REBELBLUE
しおりを挟む遅くなった…などと余裕な発言をしてしまったのは心外だった。
アインは後手にいる金髪の少年を振り返る。少年の頼り切った、安心したような表情に、自分に何ができるかと考えるが、何ができるかではなく、何かをしなければと場面を切り替える。
優雅に着地した黒髪の男と真正面から一度、目配せし、心中、などという臭いセリフがよく似合う会話を交わす。
「で…お前はどっちなんだ?」
先ほど頭部を粉砕したかと思われたプロトが、平然とした様子で立っていた。距離を確認するが、やはり銃撃範囲に入っている。男の意図を探るため、しばらく沈黙を続けるが、どうも昔からこいつについては詳しくない。
「……俺はアクチノイド人じゃない…それは昔から変わらない」
「あぁ、それがどうした?お前は同族を殺しただろ?今頃そんな言葉は通じないんじゃないか?」
「……」
プロトの勝ち誇ったような顔に、もう一度銃口を構える。トリガーにかかる指の、先端が震え何故かその先の行動を妨げる。
「アイン先輩!あいつの言葉に耳にかさないほうがいいっすよ!最初から、最初からこれは仕掛けられた罠だったんすよ!おれらが…レブルブルーを裏切るってことまで……全部…」
視界の端に見える、金髪の少年の片手は血にまみれ、そこにあったはずの銀の鋼鉄は消えていた。
フェルの攻撃威力は、レブルブルーでも最強のものだと聞かされていた。きっとフェルもそう言われてきたのだ…だが、あいつらは……
「……だから、ボスは俺たちとの干渉を避けていた…レブルブルーの中でも、バレるとまずい何かがあったから……」
何か……赤い瞳……そうか。
「アダム、クロウが何か言ってないか?」
「…言ってる……近くにいるって…」
そう言うアダムの目は、赤泥に塗られ、元の漆黒を真っ赤に染め上げていた。全神経を飲み込まれる寸前の自分の意思に集中させることで、かろうじてクロウからの支配を逃れている。
その時だったー
向き直ったアインの目の前に、冷酷なまでの銀色が青い尾を引きながら降り裂かれた。目と鼻の先でそれらが混じり合い火花を散らす、アインは状態を倒し、その勢いで何度か回転すると壁を盾に加速を下げる。
その頃には既にフェルが動き出しており、金髪と黄色いマントが描く、美しいコントラストがプロト目掛けて炸裂していた。
人数差からしても、こちらが圧倒的に有利だ。全員でかかればこの眼鏡男も圧倒することができるかもしれない。
「フェル!起動を右にずらんだ!」
そう言ったのは青蛙の男だった。真剣な表情を浮かべ、フェルの援護に回っている。それが何故か不思議でアインはその光景を呆然と眺めた。
もしかすると彼らは、自分たちがここに来るまでの間、共にこうしていたのでは。と考えると、あの残虐なフェルとな…と笑えてくる。
どこか想い深いその光景に、銃口を構えて参戦する。銀銃の冷たさが、指先を伝って全神経を研ぎ澄ましてくれる。
フェルの攻撃と攻撃の間をついて、身動きがとりにくくなるように銃声だけを発射する。もちろん音だけなので当たることはないが、フェルの攻撃が一度当たる程度だった。
「……どうなってる…?」
フェルの攻撃は何度も当たっている。あの速度であの威力で繰り出される攻撃を受けて立っていられるはずがない。戸惑うアインの様子を楽しむように、プロトの遠距離攻撃がこちら目掛けて飛んできた。それを避けることなく銃弾で砕き、青と黄の縁の中に飛び込んだ。上空を一度飛び、銃を素早く構える。ちょうど青髪の男の頭上を通り過ぎる頃、その脳天に向かって銃口をセットした。
外れるはずがない…この銃を使って、外したことなど一度もない。
そんな思考は一瞬にして上書きされ、放たれた赤い銃弾は、プロトの頭部を擦り、そのまま大理石の床に穴を開ける。
「アイン先輩!こいつは、こいつらは…!」
フェルの体が振り飛ばされ、数メートル先の壁で一度跳ね、二度目の体当たりで鈍い音をたて凹みを作った。粉々にまき散った破片の中にフェルの体が力なく倒れる。
「フェル!!」
金髪に駆け寄りその体を揺さぶるが、力尽きたというように息を切らし、その眼光は僅かな明かりさえ無かった。
アインは辺りを見回し、今にもプロトにとびつこうとする黒髪と黒い影に声を張り上げる。
「アダム!!お前はアクのところへ行け!後は俺が食い止める!!そこにイヴも居るはずだ!!」
黒髪の体が、数秒遅れて止まり、プロトの背後にある壁を蹴りつけ向きを変えた。今回ばかりは止めることが出来なかったのか、それともそれさえもわざとなのか、プロトは身じろぎもせずに、その奥の間へ進むアダムの後ろ姿を眺めていた。
フェルから体を起こし、銀銃の重みと、身体中の疲労を噛み締めながら、最後の決着へと足を進める。青髪はそんなアインを冷めた顔で眺め、数回呼吸を荒く吐く。
青髪にアインの銃口が押し当てられた。銀の鎌がプロトの指先からすり落ち、地面に音を残す。
「なんのつもりだ?」
「……どういうつもりない…ただ、お前と戦うつもりのない……」
「は?なんでだよ…」
プロトは小さく笑い、いつものごとく鼻で笑う。その青い瞳が、眼鏡の反射を無くし、その色をまじまじと見せた。
「俺はな…アイン…………」
「…黙れ……」
クリスタ殿上層部、大理石の冷たさを…
一発の銃声が貫いた…
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