セカンドアース

三角 帝

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最終章 セカンドアース

9.白叫声

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  アダムの叫び声と同時に、肩から伸びた鋭利な翼達が、アダムの肩の付け根を軸にし、ぐるぐると激しく回転を始める。それに従って、アダムの全神経に、痺れるような痛みと、それさえも感じられなくなる感覚が襲った。
  翼の一つが大剣のように尖り、それが本来の姿であったかのように対象に刃を向けた。

「これが……第一ルーラー実験体…烏と…孤独な少年……おおっと!」

  アクは振りかざされた大剣を、ギリギリのところでかわし、滑るように天井へと登った。それを追ってアダムも壁を駆け上る。

「君~それさ~適合者自身を破壊して使うってこと分かってる?クロウってのはそういう奴なんだからさぁ~このままじゃ、愛しのイヴちゃんに会う前に死んじゃうよ?」
「なら…なら会わせろ!イヴを…イヴを返せ!」

  クロウの大剣が肩で回転する、それによって体を襲う激痛に堪え、体制を崩さぬように足に軸をはる。
  黒の大剣が、白の長剣と混じり合い、ギシギシと鬩ぎ合う。

「アダム・アリーダ…お前は、お前はそのルーラー…いや、ルーラーシステムの本性を知らずにいる……愚かなセカンドアースの奴らが作り出した…人類を裏切る研究をな!」

  アクの額を伝う汗が、白い銀剣と共に辺りに散り、アダムの左の皮を濡らす。アダムは引き攣る口先を抑えようと力むが、歯茎の震えは収まらず、邪気を放つ。
  少しずつアクの銀剣を押していき、力の限りをその翼に込める。翼をアクの体をじわじわと押しやり、その額を汚そうと翼を伸ばす。
  黒の大剣が、アクの色白い頬に紅い筋を植え付ける。

「…死ね!!アク・アルテミス!!」


  アクの口から、音無き笑いが零れ落ちたー

  次の瞬間、アダムの体は白い波に飲み込まれ、後方の壁にぶち当たる。
  体内から抉り、吐き出された空気がアダムの口から溢れ出し、身体中の気体を奪う。体を縛る白波の圧が、アダムの全てを硬く拘束する。

「ぁああああぁああああ!!」

  全身を縛り、息を吸うことを禁じられたアダムは、そう叫び、背中の大剣を振り回す。大剣はビリリと一度動き、その圧力に耐えきれずに儚く消え去った。

「………アダム………お前は知らない…このセカンドアースの真実を…」

  アクの嘲笑が、空気を奪う波と波の間から、掠れて見えた。その手に握られた銀の剣が、アダムの奥底を睨めつけるように響き、クロウが引く黒く細長い煙を、純白の刃で引き裂き、こちらへこちらへとその色を伸ばす。


「僕が教えてあげるよ……アダム・アリーダ……」
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