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過去編 近い日に
9.白髪の悟人
しおりを挟むアクチノイドに存在する4つの国、その中でも第一王国と定められたリンザルガス王国。国王ランタの付き人、ノーベ・ユピエル。
その名に、おれは誇りをもっていたー
何百年も昔のこと。
この惑星アクチノイドは、過去に地球と呼ばれていた。
その地球に住む人類は、科学というものの発展により、その欲望と感情で地球の自然環境を狂わせた。もはや、人間にとって住み良かった地球の姿はなくなり、荒れた大地と枯れた海がただ広がるのみだった。
そんなある年ー
当時、宇宙状況を研究していた者が、地球より一回りほど小さな惑星を見つけた。そこの環境はまさに地球と同等であった。その名も第二の地球『セカンドアース』。
ただ、考えられたのは、小さな惑星に現在の人口は入らないということだった。
そこで政府の出した案は、低地位の者を地球に残し、優秀で権力のある者だけをそこに移り住ませるということだった。
そして、我々の祖先は枯れ果てた地球に残され、復讐を誓うー
「それは昔の考えだノーベ」
「ですが…ランタ国王陛下のおっしゃることは、国民の反感をかうことになります!」
「そんなことは承知で言っておる」
眩いばかりの白髪に、優しい銀眼の国王は、夕方の色に横顔を照らし、その目は驕り高ぶるどの国王の目より、素直で凛として見えた。
欲のない、素晴らしい人だと、ノーベはそう彼を尊敬していた。
「セカンドアース側との和平を結ぶなど…」
「ノーベ……お前はどう思う?もし、お前の友人がお前との約束を破ったとする…お前はそやつにも仕返しをしようと考える…だが、その後に生まれるものは何だと思う?」
「……仕返し…」
「そうだ…復讐は復讐を呼ぶ。こんなことはもう終わりにしようではないか……やっとセカンドアースの位置を確認できたのだぞ、復讐をするために戦争など…、馬鹿らしくて笑えるぞ」
現在、セカンドアースに住む者は、地球の存在…いや、アクチノイドという惑星の存在すらすっかり忘れていると聞く。
突然、和平だの何だのといったところで、奴らがそんなに簡単に了承するとは考えにくい。だが、きっと…国王はそれさえ承知の上なのだろう。
「…ご出発はいつのご予定でしょう?」
「明日だ」
「……はい、承知しまし…はい!?明日!?」
「そうだ、何か問題でもあるのか?」
「で、ですが!まだ兵の用意すら整っておりません!」
「兵など要らぬ。わたしの口があれば十分だ」
「……そんな……もしものことがあったら…」
「アクも連れて行こうと思う……近頃、妙な病に侵され、随分と元気がなかったからな……」
国王はそう言って、ふと腰をあげる。
一度伸びをして、空を仰ぐ。
「……なぁノーベ……」
「はい、何でしょう……」
「もしものことがあったら……何があろうと…アクの味方になってやってくれ…アクはわたしの…実の息子だ」
「………承知しております。お任せください」
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