セカンドアース

三角 帝

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ブーム君とヤドク君の秘密

10.双子の自由

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  ベランダの窓がカランカランと小さな音を立てて開いた。
  布団の温もりから顔を出し、ブームは眠たい目をゴシゴシと擦り、大きく一つあくびする。
  
「もう帰ったのかヤドク」
「うん、ちょっと外は寒いからね」

  ヤドクはベランダの窓から室内に這い上がると、なんの拘束もされていないブームの姿に驚いたように目を剥いた。

「だ、大丈夫みたいで良かったよ、心配したんだよブーム」
「………心配ねぇ…心配されてんのは…」
「ん?」
「なんでもねぇ…母さん、夜勤だから今日帰ってこないって」
「そっか」

  ヤドクは恐る恐る立ち上がると、ブームのいるベッドへと近づいた。ブームはそんなヤドクに一瞬首をすくめるが、俯いたきり押し黙った。

「……今日一日…ボクをして……どうだった?」
「それはオレが先に聞きたい」
「…ボクも先に聞きたい」
「オレも」
「提案したのはブームだから、ブームが先だよ」

  負けたとでも言うようにブームは一つ大きなため息をつくと、ベッドから体を起こし、ヤドクを隣に座らせた。

「昔の…母さんといるみたいだった……優しくて…面倒見が良くて……」
「それは違う」
「……なんでそんなこと分かるんだよ」
「だって母さんは、ボクのこと…」
「愛されてんのに…気づけねぇのかよ」

  ブームはヤドクの腕を掴むと無理矢理に引きづり、戸棚の前に連れてくる。

「え、ちょっとブーム!」

  その棚の一番下の引き出しを開け、中のものを床に撒き散らす。
  大量の紙くずが床を白く埋め尽くし、その紙くず達一つ一つに丁寧な字で何かが書かれてあることに気づく。

「母さんがずっと書いてた……っぽい」
「…………読んだの?」
「……読めねぇよ……オレ、馬鹿だし…読めるのお前だけだろ?」
「あ、そっか…」

  ヤドクはそのうちの一つを手にし、声をあげて読もうと息を吸い込み、息を止める。

「……どうした?読んでくれよ、オレ読めねぇから」
「いや…読めないよ……」
「ん?お前も読めねぇのかよ!絶対日記だと思ったんだけどなぁ」
「……ブーム……なんでブームは、これが昔の母さんの優しさとか、面倒見がいいとかに繋がると思ったの?」
「…………母さん、それ大事そうにしてて…なんか、優しい顔して書いてたから……」
「要するに勘でしょ?」
「そ、それじゃ悪いかよ」

  ヤドクはもう一度手元の紙に視線を落とした。

「なーんだ、結局それがなんなのかわかんねぇじゃんか~で?ヤドクはどうだった?一日オレってのは」
「……楽しかったよ、友達も出来たしね!」
「友達か~はぁ!?友達!?なんでンなもん出来んだよ!」
「昨日、ブームがブランコ押してあげた女の子がボクに謝ってきたんだ、で、友達になった」
「あ~…あいつか……そっか!なら、お前、明日もオレやれよ!楽しかったんだろ!?」
「……あはは、ブームその必要はもうないよ。交換なんてね」
「え?」
「明日は2人で公園に行こう?一日中遊んで、そしたら家に帰って来るんだ」
「で、でも……母さんが…」
「……帰ってこないよ…」

  ブームはヤドクの手から紙を取り上げ、読めない文面をくしゃりと握りつぶした。

「これからはボクら自由なんだよ」
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