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死
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深夜1時。寝静まった公団住宅の8階で涼介は自宅の鍵穴にそっと鍵を差し込んだ。
秋の夜空は澄み切っていて、遠くで火星が赤く輝いていた。
「カチッ」とロックの解除される音がした。
涼介はひんやりとした金属製のドアノブを回して、できるだけゆっくりと手前に引いた。しかし、「ガチャッ」と音がして、ドアはすぐに動かなくなった。視線を上に向けるとドアチェーンがピーンと張っていた。
やっぱり鍵がかかってる。
涼介は落胆しながらドアの隙間から中を覗き込んだ。暗くてよく見えない。
「頼む。開けてくれ。佳子」
無駄だと分かっているが、中にいるはずの妻に向かって小さな声でお願いした。
しーんと静まり返っていてなんの反応もない。
理由は分かっている。
借金が原因だ。
涼介は、自宅に入れない今の状況を情けなく感じていた。
どこで道を踏み外したんだろう。
思い返せば、子供の頃から勉強はそこそこ出来ていた。一流大学を卒業して大企業に就職した頃までは順調だった。結婚して娘も産まれて順風満帆で幸せな家庭を築くはずだった。それがいつの間にか闇金融に手を出してしまい、借金取りから逃げ回る日々だ。家族には相当苦労をかけてしまっている。
涼介は情けなくてやりきれなかった。
ガンガンガン
涼介は扉を叩きながら叫んだ。
「佳子! 開けてくれ。頼むから」
再び沈黙が訪れた。
中からはなにも反応がない。
どうせ死ぬつもりだ。やけくそだ。なにも遠慮することは無い。
涼介は覚悟を決めてドアを叩きまくった。鉄の扉がガンガンと音を立てて鳴り響く。手が痛くなってきた。時折、足で思いっきりドアを蹴りつけた。今度は足の親指の付け根が痛くなった。そうしてあがけばあがくほど怒りがどんどん増してきた。
外へ締め出している妻に対する怒りなのか、情けない自分に対する怒りなのか、世間への逆恨みなのか、もはや涼介には何が何だかわからなくなっていた。
「やめろ!バカ男!」中から佳子の声が聞こえてきた。
涼介はドアを叩くのをやめ、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をドアの隙間に近づけて懇願した。
「頼むから開けてくれ」
「うるさい!」
「リカに会わせてくれ」
「もう私達には関わるな。迷惑だから!」
「死ぬ前に一度だけ……」涼介はドアの隙間から暗闇の中に懇願するが、
「死ね!」
そう言って佳子はドアを閉めて鍵をかけた。
「ぅぅううううう」涼介はドアの前にしゃがみ込んで泣きじゃくった。妻には家に入れてもらえず、娘に会うことも出来ない。惨めで仕方ない。
「うるせー。何時だと思ってんだ。警察呼ぶぞ」と隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてきた。
このままここで泣き続ける訳にも行かない。涼介がふらふらと立ち上がってエレベーターの方に向かいかけた時、ヤクザ風の男が2人、ニヤニヤしながらこちらに向かって来ているのが目に入った。
借金取りだ。
涼介は反射的に通路を反対方向に向かって走り出した。
それを見た男達は
「待ちやがれ」と叫びながら追いかけてきた。
涼介は非常階段を猛スピードで降りていった。
一気に2階まで駆け下りたが、下にも男が1人待ち伏せている。挟み撃ちにされた。
このままでは捕まる。
とっさに涼介は階段の壁をよじ登った。
下は暗くてよく見えないが、地面までは高い。考えている暇はない。追っ手が迫ってくる。
借金取りの手が涼介の足首を掴みかけた時、構わず飛び降りた。
なかなか着地しない。その分、予想していたよりも高い所から飛び降りたという事だ。足の裏がゾワゾワする感触が続く。
ガクッと足に地面の重みが伝わってきた時には右足首に激痛が走っていた。尻もちをついて臀部も強打した。
「イツツツツ」
痛がっている暇はない。直ぐに追っ手が来る。涼介は這いずるようにして側溝の中に逃げ込んだ。
側溝には足首の高さ位で水が流れていた。できるだけ音を立てないように足を引きずりながら鉄板の下に潜り込んで隠れた。
借金取りの足音がバタバタと近づいてきた。
「あのやろーどこに逃げやがった」
「早く探せ!」
「ようやく見つけたんだ絶対逃がすなよ」
幸いにも借金取り達は涼介に気づかずに走り去った。
冷たい水の流れで涼介の服は直ぐにビチョビチョになった。痛めた足首は赤く腫れ上がっている。
ぐぅーとお腹が鳴った。
「腹減ったー」
1週間以上まともなものを食べていない。現在の手持ちはたった75円だ。
いや、正確には1000万円以上の借金がある。
涼介はどうでもよくなっていた。
思えば今まで真面目にコツコツと働いてきた。何も悪い事をした覚えはない。ただ幸せな家庭を守りたいだけだった。それがいつの間にか借金まみれの生活だ。確かにお金の事を軽く考えていた自分が甘かったかもしれない。それでもそんなに贅沢なことをした訳では無い。普通の幸せな生活をする事がこんなに大変だなんて思わなかった。
今更悔いたってしょうがない。
俺はどうせもうすぐ死ぬんだ。
できるだけ佳子とリカに沢山保険金が入る方法で死にたい。妻と娘がこの先幸せに暮らしていけるならそれでいい。それこそ、借金取りに殺されたって構わないじゃないか。
涼介は覚悟を決めると側溝の中から這い出して、痛めた足を引きずりながら近くの公園のトイレに向かった。
死ぬ前に自分の顔を洗っておこうと思った。
トイレの鏡には哀れな男が映っていた。
ボサボサの髪にヨレヨレのシャツ。
目は生気を失っていた。
もし、生まれ変われるとしたらこんな人生二度としたくない。そう思いながら、涼介は死に場所を探してさまよった。道路に飛び出して車に轢かれて死ねば家族に保険金が入るかもしれない。そう思って車通りの多い道まで出てきたが、運転手に迷惑がかかってしまうとためらった。
そうして迷っていると先程のチンピラ共に見つかった。
「おいおいおい。こんな所にいたよ」
「汚ねえなあ。びしょびしょじゃねえかよ」
「もう逃がさねえぞ」
涼介は死ぬ覚悟が出来ていたので、もう怖くはなかった。
「借りた金は返してくれよ」
「……」涼介は何も言わずににらんだ。借りた金は僅かなのに法外な利息で膨らんだ借金だ。とっくに元金以上は返している。なんだかんだと言いがかりを付けては金をむしり取りにくるクソバエのような奴らだ。
ガッ!
いきなり溝落ちを蹴られた。
「グ、グ、グ、ガハッ」
涼介はお腹を抱えて地面に転げ回って苦しんだ。息が出来なくて苦しい。
「何とか言えよ」
「息がくせえんだよ」
涼介はわざと煽った。
「何だとー!」3人のチンピラ共は怒って涼介を蹴りまくった。普段大人しい涼介に煽られて余計に逆上している。
涼介は顔面に3発、溝落ちに2発、尻を3発蹴られた。気を失いそうな痛みを感じながら頭の中で蹴られる回数を数えていた。
「ギャー」
痛めた足を踏みつけられた時は叫び声が漏れた。思わず身を縮めた時に鼻血がドバドバと出ていることに気づいた。
「殺しちゃまずいですよ。親分に叱られます」
チンピラの1人がリーダー格の男に言った。
「うるせえ」リーダー格の男はそう言ってポケットからライターを取り出して亮介の耳に近づけた。
ジュッと音がして「アチッ」と涼介が反射的に動いて無防備になった所で男は腹を思いっきり蹴りあげた。尖った革靴の先が内臓にめり込み、ドスッと鈍い音がした。流石にこれは堪えた。胃のあたりに生ぬるい感触が広がっていく。口から生ぬるい血が流れ出てきた。
薄れていく意識の中で「こいつには死んでもらった方がいいんだよ」とリーダー格の男が言っているのが聞こえてきた。
涼介が次に意識を戻したのは硬いアスファルトの上に放り出された時だった。眩しい車のライトが時速70キロで迫ってきた。つぎの瞬間涼介はバンパーにぶつかって弾き飛ばされた。
涼介の体は宙を舞い、歩道に乗り上げて電信柱に激突して止まった。
即死であった。
秋の夜空は澄み切っていて、遠くで火星が赤く輝いていた。
「カチッ」とロックの解除される音がした。
涼介はひんやりとした金属製のドアノブを回して、できるだけゆっくりと手前に引いた。しかし、「ガチャッ」と音がして、ドアはすぐに動かなくなった。視線を上に向けるとドアチェーンがピーンと張っていた。
やっぱり鍵がかかってる。
涼介は落胆しながらドアの隙間から中を覗き込んだ。暗くてよく見えない。
「頼む。開けてくれ。佳子」
無駄だと分かっているが、中にいるはずの妻に向かって小さな声でお願いした。
しーんと静まり返っていてなんの反応もない。
理由は分かっている。
借金が原因だ。
涼介は、自宅に入れない今の状況を情けなく感じていた。
どこで道を踏み外したんだろう。
思い返せば、子供の頃から勉強はそこそこ出来ていた。一流大学を卒業して大企業に就職した頃までは順調だった。結婚して娘も産まれて順風満帆で幸せな家庭を築くはずだった。それがいつの間にか闇金融に手を出してしまい、借金取りから逃げ回る日々だ。家族には相当苦労をかけてしまっている。
涼介は情けなくてやりきれなかった。
ガンガンガン
涼介は扉を叩きながら叫んだ。
「佳子! 開けてくれ。頼むから」
再び沈黙が訪れた。
中からはなにも反応がない。
どうせ死ぬつもりだ。やけくそだ。なにも遠慮することは無い。
涼介は覚悟を決めてドアを叩きまくった。鉄の扉がガンガンと音を立てて鳴り響く。手が痛くなってきた。時折、足で思いっきりドアを蹴りつけた。今度は足の親指の付け根が痛くなった。そうしてあがけばあがくほど怒りがどんどん増してきた。
外へ締め出している妻に対する怒りなのか、情けない自分に対する怒りなのか、世間への逆恨みなのか、もはや涼介には何が何だかわからなくなっていた。
「やめろ!バカ男!」中から佳子の声が聞こえてきた。
涼介はドアを叩くのをやめ、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をドアの隙間に近づけて懇願した。
「頼むから開けてくれ」
「うるさい!」
「リカに会わせてくれ」
「もう私達には関わるな。迷惑だから!」
「死ぬ前に一度だけ……」涼介はドアの隙間から暗闇の中に懇願するが、
「死ね!」
そう言って佳子はドアを閉めて鍵をかけた。
「ぅぅううううう」涼介はドアの前にしゃがみ込んで泣きじゃくった。妻には家に入れてもらえず、娘に会うことも出来ない。惨めで仕方ない。
「うるせー。何時だと思ってんだ。警察呼ぶぞ」と隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてきた。
このままここで泣き続ける訳にも行かない。涼介がふらふらと立ち上がってエレベーターの方に向かいかけた時、ヤクザ風の男が2人、ニヤニヤしながらこちらに向かって来ているのが目に入った。
借金取りだ。
涼介は反射的に通路を反対方向に向かって走り出した。
それを見た男達は
「待ちやがれ」と叫びながら追いかけてきた。
涼介は非常階段を猛スピードで降りていった。
一気に2階まで駆け下りたが、下にも男が1人待ち伏せている。挟み撃ちにされた。
このままでは捕まる。
とっさに涼介は階段の壁をよじ登った。
下は暗くてよく見えないが、地面までは高い。考えている暇はない。追っ手が迫ってくる。
借金取りの手が涼介の足首を掴みかけた時、構わず飛び降りた。
なかなか着地しない。その分、予想していたよりも高い所から飛び降りたという事だ。足の裏がゾワゾワする感触が続く。
ガクッと足に地面の重みが伝わってきた時には右足首に激痛が走っていた。尻もちをついて臀部も強打した。
「イツツツツ」
痛がっている暇はない。直ぐに追っ手が来る。涼介は這いずるようにして側溝の中に逃げ込んだ。
側溝には足首の高さ位で水が流れていた。できるだけ音を立てないように足を引きずりながら鉄板の下に潜り込んで隠れた。
借金取りの足音がバタバタと近づいてきた。
「あのやろーどこに逃げやがった」
「早く探せ!」
「ようやく見つけたんだ絶対逃がすなよ」
幸いにも借金取り達は涼介に気づかずに走り去った。
冷たい水の流れで涼介の服は直ぐにビチョビチョになった。痛めた足首は赤く腫れ上がっている。
ぐぅーとお腹が鳴った。
「腹減ったー」
1週間以上まともなものを食べていない。現在の手持ちはたった75円だ。
いや、正確には1000万円以上の借金がある。
涼介はどうでもよくなっていた。
思えば今まで真面目にコツコツと働いてきた。何も悪い事をした覚えはない。ただ幸せな家庭を守りたいだけだった。それがいつの間にか借金まみれの生活だ。確かにお金の事を軽く考えていた自分が甘かったかもしれない。それでもそんなに贅沢なことをした訳では無い。普通の幸せな生活をする事がこんなに大変だなんて思わなかった。
今更悔いたってしょうがない。
俺はどうせもうすぐ死ぬんだ。
できるだけ佳子とリカに沢山保険金が入る方法で死にたい。妻と娘がこの先幸せに暮らしていけるならそれでいい。それこそ、借金取りに殺されたって構わないじゃないか。
涼介は覚悟を決めると側溝の中から這い出して、痛めた足を引きずりながら近くの公園のトイレに向かった。
死ぬ前に自分の顔を洗っておこうと思った。
トイレの鏡には哀れな男が映っていた。
ボサボサの髪にヨレヨレのシャツ。
目は生気を失っていた。
もし、生まれ変われるとしたらこんな人生二度としたくない。そう思いながら、涼介は死に場所を探してさまよった。道路に飛び出して車に轢かれて死ねば家族に保険金が入るかもしれない。そう思って車通りの多い道まで出てきたが、運転手に迷惑がかかってしまうとためらった。
そうして迷っていると先程のチンピラ共に見つかった。
「おいおいおい。こんな所にいたよ」
「汚ねえなあ。びしょびしょじゃねえかよ」
「もう逃がさねえぞ」
涼介は死ぬ覚悟が出来ていたので、もう怖くはなかった。
「借りた金は返してくれよ」
「……」涼介は何も言わずににらんだ。借りた金は僅かなのに法外な利息で膨らんだ借金だ。とっくに元金以上は返している。なんだかんだと言いがかりを付けては金をむしり取りにくるクソバエのような奴らだ。
ガッ!
いきなり溝落ちを蹴られた。
「グ、グ、グ、ガハッ」
涼介はお腹を抱えて地面に転げ回って苦しんだ。息が出来なくて苦しい。
「何とか言えよ」
「息がくせえんだよ」
涼介はわざと煽った。
「何だとー!」3人のチンピラ共は怒って涼介を蹴りまくった。普段大人しい涼介に煽られて余計に逆上している。
涼介は顔面に3発、溝落ちに2発、尻を3発蹴られた。気を失いそうな痛みを感じながら頭の中で蹴られる回数を数えていた。
「ギャー」
痛めた足を踏みつけられた時は叫び声が漏れた。思わず身を縮めた時に鼻血がドバドバと出ていることに気づいた。
「殺しちゃまずいですよ。親分に叱られます」
チンピラの1人がリーダー格の男に言った。
「うるせえ」リーダー格の男はそう言ってポケットからライターを取り出して亮介の耳に近づけた。
ジュッと音がして「アチッ」と涼介が反射的に動いて無防備になった所で男は腹を思いっきり蹴りあげた。尖った革靴の先が内臓にめり込み、ドスッと鈍い音がした。流石にこれは堪えた。胃のあたりに生ぬるい感触が広がっていく。口から生ぬるい血が流れ出てきた。
薄れていく意識の中で「こいつには死んでもらった方がいいんだよ」とリーダー格の男が言っているのが聞こえてきた。
涼介が次に意識を戻したのは硬いアスファルトの上に放り出された時だった。眩しい車のライトが時速70キロで迫ってきた。つぎの瞬間涼介はバンパーにぶつかって弾き飛ばされた。
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