魂伝子 ~ 情けはモンスターの為にあらず~

MJ

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転生

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 一千年もの間、涼介は宇宙空間を光の速さの1000倍のスピードで移動していたので、地球から100万光年ほど離れた場所へ到達していた。生きているものからすると一千年はとてつもなく長い時間に感じられるが、死んでしまっているものにとってはそうではなかった。腹も減らないし、食べなくても良い。なので何も考える必要は無い。まるで無機物のような存在である。無機物にとっては時間なんてまるで意味の無いものであった。

 涼介はある地点に到達すると急に強い重力に吸い込まれて意識を失った。それから明るい日差しを感じて目が覚めた時には、傾斜のある草原の上にいた。斜面の下の方には湖があり、その周辺には集落が見えた。つまり、地球から遠く離れたこの星には生命体がいて、文明が発達しているのだった。学者なら飛び起きて調べまくったかもしれない。しかし、涼介は何もする気力がわかずにただただ寝転がっていた。

 ところが、しばらくすると腹が減ってきた。死んでしまってからというもの、涼介は空腹を感じた事はなかった。それなのに、この星にたどり着いてからはまるで生命のスイッチが入ったかのように喉が乾き、腹が減り、考えるようになった。つまり、涼介の時間が進み始めたのだ。
涼介はもしかしたら生き返ったのかもしれないと思った。これが輪廻転生というものだろうか。しかし、特に体に変わったところもないし、過去の記憶も残ったままだ。

 涼介はぐうぐうなるお腹を無視して空を見上げていた。だるいし、面倒だし、何をやるのも億劫だ。また死んだっていいや。そう思っていると空から何かが落ちてきて顔に近づいた。

反射的に避けたが、顔のすぐ横でストンと音がした。

小さな石だ。もう一度空を見上げると一羽のカラスが飛んでいる。

「まさかな」と思い、涼介はもう一度寝転がった。すると、今度はお尻にコンと何かが当たる感触がした。

上を見上げるとまたカラスが旋回していた。

「おい!」と思ったが無視をした。

しかし、カラスは明らかに涼介目掛けて次から次へと石やら小枝やらを落としてくる。

たまらず

「やめろー」と大きな声で叫んだが、カラスはカアカア言いながらどんどん物を落としてきた。

たまらず涼介も小石を掴んでカラス目がけて投げつけた。

カラスは難なく避けた。そして、あろう事か、少し近づいて涼介を挑発してきた。

カラスがひょいひょいとかわすので、涼介は頭にきて小石や小枝をどんどんカラスに投げつけた。

手応えはなかったが、小石が当たったのか、カラスは揚力を失って地面に急速に落下した。

しまった!

涼介は当てて怪我をさせるつもりはなかったので、心配になってカラスのところに駆け寄った。

ところがカラスはニヤリとして、「アホー」と叫びながら飛び立った。

「馬鹿にするな!」
怒った涼介は頭を沸騰させてカラスを追いかけた。

しばらく追いかけていると、民家のある地域に迷い込んでしまった。

「キャー」という叫び声があがり、そちらを振り向くと女性が涼介を見て怯えている。

「変態よ。変態!助けてー」
女性がそう叫ぶと、村の人達がざわつき始めた。

しまった。全裸だった。
涼介は股間を隠しながら、ゴミ箱の陰に隠れた。

直ぐにサイレンの音がしてPOLICEと書かれたパトカーが現れた。

がっしりとした体つきの警察が現れて警棒をパシパシさせながら「裸で村中をウロウロされては困るなあ。変態くん。猥褻物陳列罪だ」と言われて涼介は連行された。
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