12 / 15
半透明なスライムの心臓
しおりを挟む
涼介とスライムは草むらに潜んでいた。背丈程の草が生い茂っているので、周辺から目立つこともないので少し安心できた。それに、周りの草を踏み固めると寝床のようになって、地べたに直接寝転がるよりは寝心地が良かった。
スライムは大男に蹴飛ばされたせいでまだ朦朧として意識がはっきりせず、寝転がったままだった。涼介がうたた寝から目を覚ました時にはスライムがあまりにも動かないので死んでしまったのかと思って焦った。しかし、よく観察してみるとスライムの半透明な体の中に心臓のような器官があり、小さく鼓動を打っていた。それを見て涼介はスライムがまだ生きている事を確信して安堵した。それと共に、大男に蹴られた腹筋の辺りに痛みを感じ始めた。
ズキズキとした痛みがお腹全体に感じられる。恐らく広い範囲で内出血しているのだろう。動くと体中が痛いのでしばらく体を休めることにした。
涼介はこれから出来ることを考えてみた。とりあえず回復するのが第一だ。町で売っている薬草を手に入れれば簡単に治るのだろうが、薬草は高くて買うことが出来ない。しかし、これだけ体を痛めつけられていてはお金を稼ぐどころではない。下手をするとこのまま野垂れ死にをする事になるかもしれない。何とか栄養のある食料を手に入れて体力を回復しなければならない。
この辺りに食べられるものがあればいいのだが…
そんな事を思惑していると、少し離れた場所の草むらがガサゴソと動いた。明らかに風が吹いて揺れたのとは違う動きである。涼介は危険を感じて身構えた。
しばらくそちらに注意を向けていると、フゴフゴフゴという動物の鳴き声と泥だか土だかを掘り返すようなペタペタとした音が聞こえてきた。そして、時々風向きが変わった時に獣臭が漂ってきた。獣の類がそこで何か探しているのだろう。
30分程たった頃、その草むらから大きなイノシシのような生き物が出てきた。2メートル以上はある巨体に涼介は驚いたが、幸いこちらには気づいていないのか見向きもせずに遠ざかっていった。その後をウリ坊のような子供が4匹一生懸命追いかけていった。
涼介はイノシシがあさっていた辺りを調べようと思った。もしかしたら何か食べ物があるかもしれない。あいつらはきっと食べ物を探していたはず。そのおこぼれをがあるかもしれないと期待した。
痛みが走る体をひこずるようにして草むらをかき分けてイノシシがいた場所にたどりつくと、そこは広範囲に地面が掘り起こされていた。柔らかくなった土を丹念に調べてみたが食べられそうな穀物などはなかった。ケラのような小さな昆虫やミミズがうごめいているだけである。
イノシシ達の食料はこういったミミズや小さな昆虫だったのかもしれない。涼介もさすがにミミズやケラを食べる気にはならなかった。もし、ミミズやケラを食べるとしても最終手段だ。
涼介はガッカリして寝転がった。ただの空腹ならまだなんとかなる。今は怪我をしていて、その回復のために何とかして栄養のあるものを手に入れなければ死んでしまう。もしかしたら、あの小さな心臓でかろうじて生きているスライムは涼介よりも早く死んでしまうかもしれない。それだけはどうしても避けたい。死んだスライムの死臭を嗅ぎながら死ぬのはまっぴらだ。涼介は早く食料を見つけなければならないと焦り始めた。もうスライムを助けるために残された時間はわずかしかないのかもしれない。
スライムは大男に蹴飛ばされたせいでまだ朦朧として意識がはっきりせず、寝転がったままだった。涼介がうたた寝から目を覚ました時にはスライムがあまりにも動かないので死んでしまったのかと思って焦った。しかし、よく観察してみるとスライムの半透明な体の中に心臓のような器官があり、小さく鼓動を打っていた。それを見て涼介はスライムがまだ生きている事を確信して安堵した。それと共に、大男に蹴られた腹筋の辺りに痛みを感じ始めた。
ズキズキとした痛みがお腹全体に感じられる。恐らく広い範囲で内出血しているのだろう。動くと体中が痛いのでしばらく体を休めることにした。
涼介はこれから出来ることを考えてみた。とりあえず回復するのが第一だ。町で売っている薬草を手に入れれば簡単に治るのだろうが、薬草は高くて買うことが出来ない。しかし、これだけ体を痛めつけられていてはお金を稼ぐどころではない。下手をするとこのまま野垂れ死にをする事になるかもしれない。何とか栄養のある食料を手に入れて体力を回復しなければならない。
この辺りに食べられるものがあればいいのだが…
そんな事を思惑していると、少し離れた場所の草むらがガサゴソと動いた。明らかに風が吹いて揺れたのとは違う動きである。涼介は危険を感じて身構えた。
しばらくそちらに注意を向けていると、フゴフゴフゴという動物の鳴き声と泥だか土だかを掘り返すようなペタペタとした音が聞こえてきた。そして、時々風向きが変わった時に獣臭が漂ってきた。獣の類がそこで何か探しているのだろう。
30分程たった頃、その草むらから大きなイノシシのような生き物が出てきた。2メートル以上はある巨体に涼介は驚いたが、幸いこちらには気づいていないのか見向きもせずに遠ざかっていった。その後をウリ坊のような子供が4匹一生懸命追いかけていった。
涼介はイノシシがあさっていた辺りを調べようと思った。もしかしたら何か食べ物があるかもしれない。あいつらはきっと食べ物を探していたはず。そのおこぼれをがあるかもしれないと期待した。
痛みが走る体をひこずるようにして草むらをかき分けてイノシシがいた場所にたどりつくと、そこは広範囲に地面が掘り起こされていた。柔らかくなった土を丹念に調べてみたが食べられそうな穀物などはなかった。ケラのような小さな昆虫やミミズがうごめいているだけである。
イノシシ達の食料はこういったミミズや小さな昆虫だったのかもしれない。涼介もさすがにミミズやケラを食べる気にはならなかった。もし、ミミズやケラを食べるとしても最終手段だ。
涼介はガッカリして寝転がった。ただの空腹ならまだなんとかなる。今は怪我をしていて、その回復のために何とかして栄養のあるものを手に入れなければ死んでしまう。もしかしたら、あの小さな心臓でかろうじて生きているスライムは涼介よりも早く死んでしまうかもしれない。それだけはどうしても避けたい。死んだスライムの死臭を嗅ぎながら死ぬのはまっぴらだ。涼介は早く食料を見つけなければならないと焦り始めた。もうスライムを助けるために残された時間はわずかしかないのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
最弱弓術士、全距離支配で最強へ
Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」
剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。
若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。
リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。
風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。
弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。
そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。
「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」
孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。
しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。
最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!
レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった
あめとおと
ファンタジー
異世界に転移した主人公が得たスキルは【地図作成】。
戦闘能力ゼロ、初期レベル1。
冒険者ギルドでは「外れスキル」と笑われ、
新人向けの雑用クエストしか回ってこない。
しかしそのスキルは、
ダンジョンの隠し通路、未踏破エリア、消えた古代文明の痕跡まで“地図に表示する”
という、とんでもない能力だった。
生き残るために始めた地味な探索が、
やがて世界の秘密と、国家すら動かす大冒険へ――。
これは、
戦えない主人公が“冒険そのもの”で成り上がる物語。
同作品を「小説家になろう」で先行配信してます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる