魂伝子 ~ 情けはモンスターの為にあらず~

MJ

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半透明なスライムの心臓

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 涼介とスライムは草むらに潜んでいた。背丈程の草が生い茂っているので、周辺から目立つこともないので少し安心できた。それに、周りの草を踏み固めると寝床のようになって、地べたに直接寝転がるよりは寝心地が良かった。
 スライムは大男に蹴飛ばされたせいでまだ朦朧として意識がはっきりせず、寝転がったままだった。涼介がうたた寝から目を覚ました時にはスライムがあまりにも動かないので死んでしまったのかと思って焦った。しかし、よく観察してみるとスライムの半透明な体の中に心臓のような器官があり、小さく鼓動を打っていた。それを見て涼介はスライムがまだ生きている事を確信して安堵した。それと共に、大男に蹴られた腹筋の辺りに痛みを感じ始めた。

ズキズキとした痛みがお腹全体に感じられる。恐らく広い範囲で内出血しているのだろう。動くと体中が痛いのでしばらく体を休めることにした。

涼介はこれから出来ることを考えてみた。とりあえず回復するのが第一だ。町で売っている薬草を手に入れれば簡単に治るのだろうが、薬草は高くて買うことが出来ない。しかし、これだけ体を痛めつけられていてはお金を稼ぐどころではない。下手をするとこのまま野垂れ死にをする事になるかもしれない。何とか栄養のある食料を手に入れて体力を回復しなければならない。

この辺りに食べられるものがあればいいのだが…

そんな事を思惑していると、少し離れた場所の草むらがガサゴソと動いた。明らかに風が吹いて揺れたのとは違う動きである。涼介は危険を感じて身構えた。

しばらくそちらに注意を向けていると、フゴフゴフゴという動物の鳴き声と泥だか土だかを掘り返すようなペタペタとした音が聞こえてきた。そして、時々風向きが変わった時に獣臭が漂ってきた。獣の類がそこで何か探しているのだろう。

30分程たった頃、その草むらから大きなイノシシのような生き物が出てきた。2メートル以上はある巨体に涼介は驚いたが、幸いこちらには気づいていないのか見向きもせずに遠ざかっていった。その後をウリ坊のような子供が4匹一生懸命追いかけていった。

涼介はイノシシがあさっていた辺りを調べようと思った。もしかしたら何か食べ物があるかもしれない。あいつらはきっと食べ物を探していたはず。そのおこぼれをがあるかもしれないと期待した。

痛みが走る体をひこずるようにして草むらをかき分けてイノシシがいた場所にたどりつくと、そこは広範囲に地面が掘り起こされていた。柔らかくなった土を丹念に調べてみたが食べられそうな穀物などはなかった。ケラのような小さな昆虫やミミズがうごめいているだけである。

イノシシ達の食料はこういったミミズや小さな昆虫だったのかもしれない。涼介もさすがにミミズやケラを食べる気にはならなかった。もし、ミミズやケラを食べるとしても最終手段だ。

涼介はガッカリして寝転がった。ただの空腹ならまだなんとかなる。今は怪我をしていて、その回復のために何とかして栄養のあるものを手に入れなければ死んでしまう。もしかしたら、あの小さな心臓でかろうじて生きているスライムは涼介よりも早く死んでしまうかもしれない。それだけはどうしても避けたい。死んだスライムの死臭を嗅ぎながら死ぬのはまっぴらだ。涼介は早く食料を見つけなければならないと焦り始めた。もうスライムを助けるために残された時間はわずかしかないのかもしれない。
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