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十
胸の痛み
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日が暮れて未沙が帰って行った。未沙はみんなと会える時間を増やすために、休日のバイトを夕方以降のシフトに変更したのだと言う。
「せっかくナオちゃんともっと遊べるって思ってたのに。辞めちゃヤだよ」
「じゃ、中間考査をサボタージュしたナオには、追試対策の勉強を明日からだね」
相変わらずの鬼先生っぷりを発揮して、竜平も帰った。
静まりかえった二人きりの部屋に、アスファルトの臭いが窓の外から流れ込んできた。雨が降り出したようだ。
ゲーム機の電源を落とし、次郎長にも別れを告げた後、龍也が尚に声を掛けた。
「じゃあ、俺たちも帰るか」
「僕、帰りたくない」
「え?」
「なんでもない」
聞き返されたから誤魔化した。梨花のヘルメットを抱いたまま、尚はじっと立っていた。
「ナオ、そろそろ帰らないと雨が本降りになっちまう」
「僕が帰った後、タツヤさんはどうするの」
「俺か……」
少し考えている。
「少しだけ町中を流して、で、帰ったら姉貴の所で食わしてもらおうかな」
「雨なのに走るの?」
「土砂降りじゃなきゃ、問題ないよ」
夜の街を走るグラディウスを想像する。その想像の光景に、尚の胸がキュッと締め付けられた。
「胸がね、痛いんだ」
「あ、もしかして、骨! ああ、気付かなかったよ、悪い! まだ完治してなかったのに、バイクの後ろとかきつかっただろ」
勘違いした龍也がオロオロし始めた。
「あ、兄貴に頼んで車を出してもらおうか? それとも」
――「ナオは、素直じゃないんだな」
竜平の言葉が尚の頭の中でリフレインした。
――素直になったら……。
「ねえ、タツヤさん。僕ね、家に電話して今日はタツヤさんとこに泊まるって言ってもいい?」
「は?」
「胸が痛いんだ、だから。迷惑?」
「いや、もちろんいいけど、大丈夫か?」
龍也が尚の提案に戸惑っている間にも、尚は家に連絡を取っていた。
「あ、父さん、あのね……」
**
「何の電話だったの?」
夕食の支度をしていた妻に代わって電話に出たものの、さて、この情報をどう伝えたら良いものか。
「いや、ナオがね」
「ナオだったの。もしかして遅くなるとか?」
――ほらこれだ。これで夕飯はいらないなんて伝えた日には……。
気が重くなったが、尚の父親は勇気を出して伝えた。
「ナオが赤星君の所に泊まりたいってさ。いいだろう?」
「ちょっと! それ、許可したの? あなたってば」
「いや、ほら胸の傷が痛いみたいなことも言っていたから、好意に甘えさせてもらったら」
「なら、迎えに行くわよ」
ため息が出そうになった。
傷が痛むなんて、口実に決まっているじゃないか――言いたいのを我慢して、妻をなだめる。
「あいつももう中三なんだよ。あまり過干渉なのは、反抗期の男子に逆効果だと思うがね。それに男同士の話もあるだろう。相手が赤星君だったら信用できるよ」
「……あなたがそう言うのならいいけど。でもせめて、夕飯を作る前に言って欲しかったわ! ほんとにもう!」
彼女は物わかりの良すぎる夫に精一杯の苛立ちをぶつけ、台所に引き返した。
***
「いいって」
笑顔でスマホを返した。
「そっか。じゃあ、ここでもう少しゲームでもするか?」
ちゃんと親の許可が取れたってことで安心したのか、龍也の表情が和らいだ。
「うん、でもお腹空いたよ」
「それじゃ、そこのファミレスにでも行くか」
――あ、胸の痛いの治っちゃった。ま、いっか。
けれど食事の後、龍也の部屋に帰ると再び胸に「キュン」と小さな痛みが戻って来た。右手の拳を胸の真ん中に押し付ける。
――ここじゃないよなあ。
少しずらして、みぞおち辺りを探った。
「どした? やっぱ痛むのか? 兄貴んとこへ鎮痛剤貰いに行こうか」
尚の隣に座り、心配そうに覗き込んだ。
「ううん、そんな我慢できないって痛さじゃないんだよ。こうね『キュッ』て、なるんだ」
「まるで初恋みたいな感じだな」
「キュッ」という表現が龍也の想像力を逞しくしたようだ。〈初恋〉という陳腐な言葉に尚が真っ赤になった。
なんとなく元気のない尚の肩を、龍也が左腕で引き寄せた。その腕は筋肉が硬く盛り上がって逞しい。
――僕に無いものばっか、持ってるんだ。
龍也に近付くと、鈍く光る耳のピアスに一つずつ触れた。
「ずるいな、タツヤさんば」
「なんでだよ」
「こんなにかっこいいのに、僕に無いものばっか持ってる」
「見た目なんて、あんま意味ないぜ」
「それって、自分がイケメンって自覚してるんだ」
「そう言うけどさ、ナオだってすごく魅力的だよ。気付いてないみたいだけどさ」
――僕のどこが? 僕なんかさ……
再び胸がキュッとなる。キュンキュンして苦しくてどうしようもないのに、こんなに近くにいる〈お友達〉に、それを伝えることができないなんて。
頭を龍也の肩に押し付けた。
――「ナオは、素直じゃないんだな」
目を閉じる。
「僕は」
「え?」
「僕がお友達倶楽部を辞めなきゃならなかったとしても、タツヤさんには僕を追いかけて欲しかったんだ」
目を閉じたまま言った。言ってはいけないと思いつつも、吐き出したい誘惑には勝てなかった。
「それって、大いなる迷惑ってやつでしょ」
「迷惑なんかじゃ」龍也のセリフは中途半端に止まった。
「僕ばっか、こんなに胸が痛いのに、ずるいよ」
わがままで自分勝手な思いなのだ。それでも分かって欲しいのだと、その言葉を口にできない代わりに、尚は顔を龍也の胸にうずめた。
泣くもんか。絶対泣いちゃだめだよ。
泣けば龍也は慰めてくれるだろう。欲しいのは慰めの言葉なんかじゃないのだ。
「ナオ、どうしたんだよ。この間から変だ」
「変だよ、変だもん」
顔をぐりぐりと龍也の胸にこすりつける。涙をうまく止められないから、龍也のシャツで拭った。
「言いたいことがあるんだったら、はっきり言えよ。俺さ、鈍感だからよ、心を読むとかできないんだよ。だから、ちゃんと言ってくれ」
尚の頬を掴んで、自分の方に向けさせた。
やっぱり尚は泣いていた。真っ赤になった目はシャツに擦られたせいで腫れていた。
「ゴメン。俺、ナオを泣かせてばっかだな。でも」
「そんなの……わけないじゃん」
聞き取れなかった。
「え?」
「そばにいて欲しいなんて……お金が無くっても、それでもずっとそばにいて欲しいなんて、言えるわけないじゃん!」
思い切り龍也に体当たりした。不意打ちを食らった龍也が、尚を抱いたまま仰向けに倒れた。
「なんだよ、タツヤさんのバカ! バカあぁぁぁ」
「せっかくナオちゃんともっと遊べるって思ってたのに。辞めちゃヤだよ」
「じゃ、中間考査をサボタージュしたナオには、追試対策の勉強を明日からだね」
相変わらずの鬼先生っぷりを発揮して、竜平も帰った。
静まりかえった二人きりの部屋に、アスファルトの臭いが窓の外から流れ込んできた。雨が降り出したようだ。
ゲーム機の電源を落とし、次郎長にも別れを告げた後、龍也が尚に声を掛けた。
「じゃあ、俺たちも帰るか」
「僕、帰りたくない」
「え?」
「なんでもない」
聞き返されたから誤魔化した。梨花のヘルメットを抱いたまま、尚はじっと立っていた。
「ナオ、そろそろ帰らないと雨が本降りになっちまう」
「僕が帰った後、タツヤさんはどうするの」
「俺か……」
少し考えている。
「少しだけ町中を流して、で、帰ったら姉貴の所で食わしてもらおうかな」
「雨なのに走るの?」
「土砂降りじゃなきゃ、問題ないよ」
夜の街を走るグラディウスを想像する。その想像の光景に、尚の胸がキュッと締め付けられた。
「胸がね、痛いんだ」
「あ、もしかして、骨! ああ、気付かなかったよ、悪い! まだ完治してなかったのに、バイクの後ろとかきつかっただろ」
勘違いした龍也がオロオロし始めた。
「あ、兄貴に頼んで車を出してもらおうか? それとも」
――「ナオは、素直じゃないんだな」
竜平の言葉が尚の頭の中でリフレインした。
――素直になったら……。
「ねえ、タツヤさん。僕ね、家に電話して今日はタツヤさんとこに泊まるって言ってもいい?」
「は?」
「胸が痛いんだ、だから。迷惑?」
「いや、もちろんいいけど、大丈夫か?」
龍也が尚の提案に戸惑っている間にも、尚は家に連絡を取っていた。
「あ、父さん、あのね……」
**
「何の電話だったの?」
夕食の支度をしていた妻に代わって電話に出たものの、さて、この情報をどう伝えたら良いものか。
「いや、ナオがね」
「ナオだったの。もしかして遅くなるとか?」
――ほらこれだ。これで夕飯はいらないなんて伝えた日には……。
気が重くなったが、尚の父親は勇気を出して伝えた。
「ナオが赤星君の所に泊まりたいってさ。いいだろう?」
「ちょっと! それ、許可したの? あなたってば」
「いや、ほら胸の傷が痛いみたいなことも言っていたから、好意に甘えさせてもらったら」
「なら、迎えに行くわよ」
ため息が出そうになった。
傷が痛むなんて、口実に決まっているじゃないか――言いたいのを我慢して、妻をなだめる。
「あいつももう中三なんだよ。あまり過干渉なのは、反抗期の男子に逆効果だと思うがね。それに男同士の話もあるだろう。相手が赤星君だったら信用できるよ」
「……あなたがそう言うのならいいけど。でもせめて、夕飯を作る前に言って欲しかったわ! ほんとにもう!」
彼女は物わかりの良すぎる夫に精一杯の苛立ちをぶつけ、台所に引き返した。
***
「いいって」
笑顔でスマホを返した。
「そっか。じゃあ、ここでもう少しゲームでもするか?」
ちゃんと親の許可が取れたってことで安心したのか、龍也の表情が和らいだ。
「うん、でもお腹空いたよ」
「それじゃ、そこのファミレスにでも行くか」
――あ、胸の痛いの治っちゃった。ま、いっか。
けれど食事の後、龍也の部屋に帰ると再び胸に「キュン」と小さな痛みが戻って来た。右手の拳を胸の真ん中に押し付ける。
――ここじゃないよなあ。
少しずらして、みぞおち辺りを探った。
「どした? やっぱ痛むのか? 兄貴んとこへ鎮痛剤貰いに行こうか」
尚の隣に座り、心配そうに覗き込んだ。
「ううん、そんな我慢できないって痛さじゃないんだよ。こうね『キュッ』て、なるんだ」
「まるで初恋みたいな感じだな」
「キュッ」という表現が龍也の想像力を逞しくしたようだ。〈初恋〉という陳腐な言葉に尚が真っ赤になった。
なんとなく元気のない尚の肩を、龍也が左腕で引き寄せた。その腕は筋肉が硬く盛り上がって逞しい。
――僕に無いものばっか、持ってるんだ。
龍也に近付くと、鈍く光る耳のピアスに一つずつ触れた。
「ずるいな、タツヤさんば」
「なんでだよ」
「こんなにかっこいいのに、僕に無いものばっか持ってる」
「見た目なんて、あんま意味ないぜ」
「それって、自分がイケメンって自覚してるんだ」
「そう言うけどさ、ナオだってすごく魅力的だよ。気付いてないみたいだけどさ」
――僕のどこが? 僕なんかさ……
再び胸がキュッとなる。キュンキュンして苦しくてどうしようもないのに、こんなに近くにいる〈お友達〉に、それを伝えることができないなんて。
頭を龍也の肩に押し付けた。
――「ナオは、素直じゃないんだな」
目を閉じる。
「僕は」
「え?」
「僕がお友達倶楽部を辞めなきゃならなかったとしても、タツヤさんには僕を追いかけて欲しかったんだ」
目を閉じたまま言った。言ってはいけないと思いつつも、吐き出したい誘惑には勝てなかった。
「それって、大いなる迷惑ってやつでしょ」
「迷惑なんかじゃ」龍也のセリフは中途半端に止まった。
「僕ばっか、こんなに胸が痛いのに、ずるいよ」
わがままで自分勝手な思いなのだ。それでも分かって欲しいのだと、その言葉を口にできない代わりに、尚は顔を龍也の胸にうずめた。
泣くもんか。絶対泣いちゃだめだよ。
泣けば龍也は慰めてくれるだろう。欲しいのは慰めの言葉なんかじゃないのだ。
「ナオ、どうしたんだよ。この間から変だ」
「変だよ、変だもん」
顔をぐりぐりと龍也の胸にこすりつける。涙をうまく止められないから、龍也のシャツで拭った。
「言いたいことがあるんだったら、はっきり言えよ。俺さ、鈍感だからよ、心を読むとかできないんだよ。だから、ちゃんと言ってくれ」
尚の頬を掴んで、自分の方に向けさせた。
やっぱり尚は泣いていた。真っ赤になった目はシャツに擦られたせいで腫れていた。
「ゴメン。俺、ナオを泣かせてばっかだな。でも」
「そんなの……わけないじゃん」
聞き取れなかった。
「え?」
「そばにいて欲しいなんて……お金が無くっても、それでもずっとそばにいて欲しいなんて、言えるわけないじゃん!」
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◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
初回公開日時 2019.01.25 22:29
初回完結日時 2019.08.16 21:21
再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結
❦イラストは有償画像になります。
2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載
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