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第二話 因縁
お美津の足跡
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雲雀からの依頼で伊賀者の手下である小者たちがお美津について探りを入れたのは、それからすぐ後だった。元々、お美津については、雲雀たちくノ一らが監視していた過去もあり、彼女の身辺については、すぐに明らかになった。
お美津の実家である浅井家は番町に立派な屋敷を構えていた。
浅井半兵衛は詰めている城の中でも実直で評判の良い男だった。それ程高い家柄でもないお美津が十四で大奥に上がり小姓という御目見えに選ばれたのも、ひとえに浅井の人望が大きいと言われている。
その噂だけでも、お美津がいかに箱入り娘だったのか、よくわかる。
数えの十四と言えば、宗次郎などまだ和歌山で雀を追いかけていた年頃で、自分の役割など何も考えず、夢中で修業をしていた頃だ。そのような子どもが大奥という女だけの閉鎖された社会に放り込まれたのだ。
雲雀の声が聞こえた気がした。
――「言ったでございましょう。大奥に上がる女というのは、下々の女よりも初心でございます……と」
確かにそうだろうなあ……
屋敷を見上げ、心の中で大きく肯いていた。辿り着いた浅井家の門には〈忌中〉の紙が貼られていた。
浅井家には世継ぎがいない。お美津は一人娘だった。だからお美津を大奥に上がらせ、箔を付けた後、それなりの家柄から婿養子をとる算段であったらしい。
しかし、それもこれも全て御堀の水に流されてしまった。
その浅井家の屋敷から、死の間際にお美津が歩いたであろう道をたどって、宗次郎自ら歩いてみた。この道を歩くお美津の心中を想いながら……
武家屋敷の街並みを抜け牛込御門の橋を渡ると、神楽坂前の広い通りに出る。ここはいつも賑やかだ。供を連れた武士や旅姿の行商、荷を背負った軽子に、八幡参りの町人や、急ぎ足の商人らが、次々とすれ違う。老若男女が行きかうこの中を、お美津さんは本当に死に場所を探して歩いたのか――と。
◇
この日、外堀通りは人で溢れていた。
雲雀から教わったのは、お美津が月光院の遣いで通っていたという料理茶屋(料亭のような店)と船宿だった。船宿は日本橋堀江町の笹舟屋で、料理茶屋は神楽坂にある行元寺門前町の立花楼。
宗次郎と雲雀は今一度、お美津の足跡を探ることにした。
やはり、大奥を辞める前に何かあったのでは――という懸念が晴れなかったからだ。もしや、お美津は大奥を出た後も、尾張家の誰かと会っていたのではないかと疑った。
宗次郎は浅井家から歩いてきたその足で、立花楼を探した。神楽坂の大通りに面した立花楼は難なく見つかった。
だが煮売り屋の角吉などとは違い、いかにも武家や豪商を相手にしていそうな門構えは、宗次郎にとって敷居の高い店だった。
「こういう時こそ、求馬様なんやけどなあ」
揚場町まで戻り、角吉を覗いてみたが求馬はいなかった。他に求馬が現れそうな場所は知らない。こうしてさっきからウロウロと、牛込御門の辺りから門前町までの道のりを行ったり来たりしていた。
神楽坂の途中でどんよりとした空を見上げて呟く。
「ま、ええか。降りそうやし」
角吉で腹ごしらえでもしようと、坂の途中で引き返した。
神楽坂の両脇には立派な武家屋敷が続いている。
求馬はいつもこの界隈で遊んでいるとのことだから、この辺りの大名屋敷、あるいは外堀より内側……番町、麹町辺りの屋敷に住んでいるのだろう、と想像しながら歩いていた。
大通りから一歩、横道を入ると、御徒組の大繩地をはじめとする同心らの拝領屋敷がひしめいている。さすがに、このような所にはいないだろうと、横道には入らず、そのまま神楽坂を下りきった時、突然呼び止められた。
「宗次郎どの!」
振り返ると、市ヶ谷御門の方角から、まるで主を見つけた飼い犬のように嬉しそうな顔で駆け寄る求馬がいた。
「求さん!」
なんと都合の良い! これは以心伝心だと、宗次郎も喜び勇んで手を振った。ついでに背後をうかがう。
「ん?」
「あ、いや、九鬼丸さんは」
珍しくきちんとした羽織に袴姿の求馬は一人であった。
「ああ、奴は捕まらなかった。で……」
振り返り、顎で指した先には、息を切らせながら駆け付ける侍が二人。二人ともきちんとした羽織に袴姿の供侍である。
「今日の供はこいつらじゃ。面白くもない」
そっと耳打ちされた。
「で、宗次郎はどこへ行くつもりであった」
「いえ、雨が降りそうなので、角吉で腹ごしらえでもしようかと」
馴れ馴れしく口をきいてよいのか、背後に控えたご立派な供侍たちをちらりと見る。むっつりと口を結んだ彼らは、宗次郎のことなど眼中にないようだ。
しかし、空気など読む気のなさそうな求馬は、まるで同僚と話をするような気軽さで、宗次郎の肩を組んだ。
「そうか! ちょうど良かった。連れて行きたいところがある」
「ちょっ、求馬様、屋敷にお戻りになるのでは」
供侍が焦り顔で引き留めるが、一瞥しただけで取り合わない。
「腹ごしらえをしてから帰ると申したであろう」
「しかし」
「うるさいぞ。これも大事な仕事じゃ。ゆえに夕刻までに……そうだな、中根の門から帰ると門番に伝えておけ」
供侍を追い払うと、半ば強引に宗次郎の手を引いた。
そして、訳も分からず求馬の後をついて行って感嘆した。
「ここは!」
「なんだ、お主の馴染みの店か」
「まさか!」
そこは高級料理茶屋〈立花楼〉であった。
門の外には店の名が入った辻行灯が、客人を見定めるように立っている。
求馬の後に続いて、白抜きで〈橘〉と描かれたえんじ色の大暖簾をくぐると、石畳が現れた。
奥の建物は玄関を挟んで表の棟と奥棟に分かち、庭に面した側には外廊下が巡らされている。二連の連なる切妻屋根を見上げると、空一面に広がった灰色の雲から、ぽつ、ぽつ、と雨が落ちて来た。
「本降りになる前で良かったのう」
亭主に案内されながら、求馬が宗次郎に話しかけた。
「ええ、降り出す前に求さんに出会えるとは、今日はついております」
これはある意味、本音である。しかし求馬は素直に喜んだ。
「よう言うた」
からからと笑う。そして、さっそく案内された二階座敷の窓を自ら開け放った。
「中々、よい眺めじゃねえか。下には池もあるぞ」
部屋の窓は、中庭に面しているようだ。
求馬は窓の桟に腰を掛けて、大きく伸びをした。
「本日は登城の日であったのでな。ようやく解放されて一息つけた」
(だから人が多かったんや)
月に三日。月次御礼には、上様に謁見する大名の大名行列がある。その行列を見物する人々や休憩する小者たちで、城門界隈はごった返す。行列が終えても、この日一日、お城の周りは物売りや屋台などで賑わう。
「御前様の御供にすぎぬが、あの行列は堅苦しゅうて肩がこる。とりあえず裃は脱いで出てきたが、あの御供どもじゃ。着流しは許してくれなんだ」
「はあ」
なるほど。つまり求馬の身分は、大身旗本や大名家に仕える藩士などではなく、れっきとした大名ということである。
「それからだ。謁見も済んで、やれやれ屋敷に帰ろうという時に、上様直々にお声がかかったのじゃ」
胡乱な目を向ける宗次郎に向かって、求馬がずいっと前に体をかがませると、声を低くした。
「公方様はよほど優秀な鼠を飼うておるようだ」
ぴくりと宗次郎の右の眉が反応した。
「わざわざ、俺なんぞを呼んで何をのたまうかと思いきや、『浅井の娘の件だが』と来たもんだ。如何にすばしこい鼠かと、目を剥いたぞ」
(どういうことだ)
宗次郎は心底驚いていた。
村垣らとお美津についてのことを話したのは、つい一昨日のことだ。何の進捗もない、まだ事件かどうかすら不確かな現状で、なぜ求馬に。それも直々に……
「あ、いや、あの時、求さんが浅井殿に名を名乗ったから、それで上様の御耳に」
「そんなわけあるか」
ばっさりと否定された。
「ごめんください」
その時、給仕の女が現れ、茶と味噌を溶いた吸い物を運んできた。
お美津の実家である浅井家は番町に立派な屋敷を構えていた。
浅井半兵衛は詰めている城の中でも実直で評判の良い男だった。それ程高い家柄でもないお美津が十四で大奥に上がり小姓という御目見えに選ばれたのも、ひとえに浅井の人望が大きいと言われている。
その噂だけでも、お美津がいかに箱入り娘だったのか、よくわかる。
数えの十四と言えば、宗次郎などまだ和歌山で雀を追いかけていた年頃で、自分の役割など何も考えず、夢中で修業をしていた頃だ。そのような子どもが大奥という女だけの閉鎖された社会に放り込まれたのだ。
雲雀の声が聞こえた気がした。
――「言ったでございましょう。大奥に上がる女というのは、下々の女よりも初心でございます……と」
確かにそうだろうなあ……
屋敷を見上げ、心の中で大きく肯いていた。辿り着いた浅井家の門には〈忌中〉の紙が貼られていた。
浅井家には世継ぎがいない。お美津は一人娘だった。だからお美津を大奥に上がらせ、箔を付けた後、それなりの家柄から婿養子をとる算段であったらしい。
しかし、それもこれも全て御堀の水に流されてしまった。
その浅井家の屋敷から、死の間際にお美津が歩いたであろう道をたどって、宗次郎自ら歩いてみた。この道を歩くお美津の心中を想いながら……
武家屋敷の街並みを抜け牛込御門の橋を渡ると、神楽坂前の広い通りに出る。ここはいつも賑やかだ。供を連れた武士や旅姿の行商、荷を背負った軽子に、八幡参りの町人や、急ぎ足の商人らが、次々とすれ違う。老若男女が行きかうこの中を、お美津さんは本当に死に場所を探して歩いたのか――と。
◇
この日、外堀通りは人で溢れていた。
雲雀から教わったのは、お美津が月光院の遣いで通っていたという料理茶屋(料亭のような店)と船宿だった。船宿は日本橋堀江町の笹舟屋で、料理茶屋は神楽坂にある行元寺門前町の立花楼。
宗次郎と雲雀は今一度、お美津の足跡を探ることにした。
やはり、大奥を辞める前に何かあったのでは――という懸念が晴れなかったからだ。もしや、お美津は大奥を出た後も、尾張家の誰かと会っていたのではないかと疑った。
宗次郎は浅井家から歩いてきたその足で、立花楼を探した。神楽坂の大通りに面した立花楼は難なく見つかった。
だが煮売り屋の角吉などとは違い、いかにも武家や豪商を相手にしていそうな門構えは、宗次郎にとって敷居の高い店だった。
「こういう時こそ、求馬様なんやけどなあ」
揚場町まで戻り、角吉を覗いてみたが求馬はいなかった。他に求馬が現れそうな場所は知らない。こうしてさっきからウロウロと、牛込御門の辺りから門前町までの道のりを行ったり来たりしていた。
神楽坂の途中でどんよりとした空を見上げて呟く。
「ま、ええか。降りそうやし」
角吉で腹ごしらえでもしようと、坂の途中で引き返した。
神楽坂の両脇には立派な武家屋敷が続いている。
求馬はいつもこの界隈で遊んでいるとのことだから、この辺りの大名屋敷、あるいは外堀より内側……番町、麹町辺りの屋敷に住んでいるのだろう、と想像しながら歩いていた。
大通りから一歩、横道を入ると、御徒組の大繩地をはじめとする同心らの拝領屋敷がひしめいている。さすがに、このような所にはいないだろうと、横道には入らず、そのまま神楽坂を下りきった時、突然呼び止められた。
「宗次郎どの!」
振り返ると、市ヶ谷御門の方角から、まるで主を見つけた飼い犬のように嬉しそうな顔で駆け寄る求馬がいた。
「求さん!」
なんと都合の良い! これは以心伝心だと、宗次郎も喜び勇んで手を振った。ついでに背後をうかがう。
「ん?」
「あ、いや、九鬼丸さんは」
珍しくきちんとした羽織に袴姿の求馬は一人であった。
「ああ、奴は捕まらなかった。で……」
振り返り、顎で指した先には、息を切らせながら駆け付ける侍が二人。二人ともきちんとした羽織に袴姿の供侍である。
「今日の供はこいつらじゃ。面白くもない」
そっと耳打ちされた。
「で、宗次郎はどこへ行くつもりであった」
「いえ、雨が降りそうなので、角吉で腹ごしらえでもしようかと」
馴れ馴れしく口をきいてよいのか、背後に控えたご立派な供侍たちをちらりと見る。むっつりと口を結んだ彼らは、宗次郎のことなど眼中にないようだ。
しかし、空気など読む気のなさそうな求馬は、まるで同僚と話をするような気軽さで、宗次郎の肩を組んだ。
「そうか! ちょうど良かった。連れて行きたいところがある」
「ちょっ、求馬様、屋敷にお戻りになるのでは」
供侍が焦り顔で引き留めるが、一瞥しただけで取り合わない。
「腹ごしらえをしてから帰ると申したであろう」
「しかし」
「うるさいぞ。これも大事な仕事じゃ。ゆえに夕刻までに……そうだな、中根の門から帰ると門番に伝えておけ」
供侍を追い払うと、半ば強引に宗次郎の手を引いた。
そして、訳も分からず求馬の後をついて行って感嘆した。
「ここは!」
「なんだ、お主の馴染みの店か」
「まさか!」
そこは高級料理茶屋〈立花楼〉であった。
門の外には店の名が入った辻行灯が、客人を見定めるように立っている。
求馬の後に続いて、白抜きで〈橘〉と描かれたえんじ色の大暖簾をくぐると、石畳が現れた。
奥の建物は玄関を挟んで表の棟と奥棟に分かち、庭に面した側には外廊下が巡らされている。二連の連なる切妻屋根を見上げると、空一面に広がった灰色の雲から、ぽつ、ぽつ、と雨が落ちて来た。
「本降りになる前で良かったのう」
亭主に案内されながら、求馬が宗次郎に話しかけた。
「ええ、降り出す前に求さんに出会えるとは、今日はついております」
これはある意味、本音である。しかし求馬は素直に喜んだ。
「よう言うた」
からからと笑う。そして、さっそく案内された二階座敷の窓を自ら開け放った。
「中々、よい眺めじゃねえか。下には池もあるぞ」
部屋の窓は、中庭に面しているようだ。
求馬は窓の桟に腰を掛けて、大きく伸びをした。
「本日は登城の日であったのでな。ようやく解放されて一息つけた」
(だから人が多かったんや)
月に三日。月次御礼には、上様に謁見する大名の大名行列がある。その行列を見物する人々や休憩する小者たちで、城門界隈はごった返す。行列が終えても、この日一日、お城の周りは物売りや屋台などで賑わう。
「御前様の御供にすぎぬが、あの行列は堅苦しゅうて肩がこる。とりあえず裃は脱いで出てきたが、あの御供どもじゃ。着流しは許してくれなんだ」
「はあ」
なるほど。つまり求馬の身分は、大身旗本や大名家に仕える藩士などではなく、れっきとした大名ということである。
「それからだ。謁見も済んで、やれやれ屋敷に帰ろうという時に、上様直々にお声がかかったのじゃ」
胡乱な目を向ける宗次郎に向かって、求馬がずいっと前に体をかがませると、声を低くした。
「公方様はよほど優秀な鼠を飼うておるようだ」
ぴくりと宗次郎の右の眉が反応した。
「わざわざ、俺なんぞを呼んで何をのたまうかと思いきや、『浅井の娘の件だが』と来たもんだ。如何にすばしこい鼠かと、目を剥いたぞ」
(どういうことだ)
宗次郎は心底驚いていた。
村垣らとお美津についてのことを話したのは、つい一昨日のことだ。何の進捗もない、まだ事件かどうかすら不確かな現状で、なぜ求馬に。それも直々に……
「あ、いや、あの時、求さんが浅井殿に名を名乗ったから、それで上様の御耳に」
「そんなわけあるか」
ばっさりと否定された。
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