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第三話 復讐の形
上総屋の用心棒
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壊れた菅笠を手に、すごすごと肩を落として橋を渡る半平太の後ろ姿を見送った。腹の底から情けなさというかやるせなさのようなものが込み上げてくる。
今回は半平太を水際で引き止めたとはいえ、彼らがこのまま引き下がるとは思えない。半平太に仕事をさせたのが餌差頭だとしたら、餌差頭に仕事を焚きつけたのは九鬼丸に違いないからだ。
しかし、どれほど考えたところで、宗次郎には納得することが出来なかった。
――なぜ、よりによって半平太なのか……
確かに仕事のできない部下は、ある意味使い勝手が良いだろう。一方、下級の幕臣らは、役を取り上げられないよう上司にへいこらとうまく使われるのが出世のコツなんだと聞いたことがある。季節ごとの付け届け、誰もやりたがらない汚い仕事。全てひっくるめ、自分たちの務めなのだと、半平太も言っていた。
小普請として無役が長かった半平太の中で、此度の仕事は、巡ってきた好機のひとつに過ぎない。
誤算は、その小さな不正に尾張徳川家が絡んでいること。それを遣われた半平太が知る由もない。
(悔しい……)
ギリりと奥歯を食いしばる。気持ちを切り替えるよう、勢いよく踵を返し上総屋のへと向かった。
店先を掃除する小者がじろりと宗次郎を睨む。小物風情の割に、鋭い目付きは、多分最近雇ったばかりの用心棒の一人だと認識した。
「ごめん」
見知らぬ人間から聞き込みをするのにも、もう慣れたものだ。
現れた男は多分店の番頭か何かだろう。
「へい、何が入り用でしょう。水鳥は季節外れでして、小さめの鴨ならございますが。今朝は魚の仕入れもございますよ」
年季の入った前掛けで手を拭う仕草をしながら、宗次郎を迎えた。
「いや、買うのではなく、仕事を紹介してもらいたいのだが」
そして、カワセミのことを正面からぶつけてみたのだが……
「ちょいとお待ちを」
にこやかだった男の顔の目が細められ、そのまま奥へと入ってしまった。
代わりに現れたのが、やや体格の良い男で、見たところ、さっき奥へと引っ込んだ男よりも幾分か若く見えた。この男が、上総屋の亭主だった。
腕には引っかき傷のような傷痕がいくつか見える。鳥刺し……それも餌刺を生業にしてきたというよりも、狩りとして鳥を捕まえるため山や水辺に入っていた証だ。今のように問屋をする前は、自ら鳥刺しとして活躍していた口だと思われた。
村垣曰く、「その目付きというか顔つきは、問屋業よりも口入れ屋の方が似合っちょる」
「ああ、カワセミねえ。ええ、確か、とある大名屋敷の池に放ちたいのだと伺っておりますが。もう、別の請負に頼んだ後でして」
そういうことだ。なるほど、村垣の目利きは正しい。問屋業よりも、鳥刺し達に仕事の仲介をすることがここの仕事の主軸であるらしい。しかし、ここの亭主は余程、面の皮の厚い人物なのか、何を問われても飄々と答え、悪びれずにカワセミの注文を肯定した。
「別の請負……あの鳥は水辺の鳥。禁猟地を避けて狙うは難しいでしょう。それに飼い鳥となると、岡鳥屋の利権にもかかわるのでは……」
「あんな鳥、畑地の水辺であればどこにでもおりますよ。江戸の外で捕まえてくれれば、鳥見役人に睨まれる事もないですし、飼い鳥屋に卸すわけではありませんからね。ご心配ならば、それよりも安心な仕事もございますよ」
にこにことしゃべり続ける。
「実は、知り合いの役人から、このカワセミ仕事を紹介されましてね」
「ほう。御役人、ですか」
「ええ、餌差役人です。でもね、御公儀がこういった仕事をするのは、禁じられているそうで。なので、俺に振ってきたようでさ」
『餌差役人』と聞くや、少し笑顔がうさん臭くなってきた。
「そうですか。しかし、そういうことなら、あたしからは仕事を依頼できませんねえ。既に取引は成立しておりますゆえ、仕事のやり取りは、そのお役人さんとして下さいませ」
「しかし、こちらの紹介だと」
「それに此度のカワセミの件に関しては、別の請負人に任せていましてね、私どもの手は離れておりますゆえ」
「……美濃屋さんところの五郎蔵や佐助のように?」
美濃屋の名を出すと、憎らしいほどにこやかだった亭主の頬がわずかに引きつった。
「一緒にされると商売の迷惑ですな。美濃屋さんが要らぬ不正をしたせいで、あたしら鳥問屋は町奉行にも鳥見役所にも睨まれておるんですよ。余計な勘繰りは勘弁してください。あ、これ、松さん、お客様がお帰りだよ」
その後はまるで追い出されるように帰りを促されてしまった。つつかれては困ることをしている証拠に他ならない。
おまけに最後は、外で掃除をしていた小者に水を掛けられそうになった。
「なんや、あいつ!」
腹を立てたところで、相手にしている暇はない。
宗次郎はその足で、雑司ヶ谷に向かって走った。少し走ったところで、唐辛子のぼてふり(天秤を担いだ行商人)に声を掛けられた。
「急いでどこに行きなさる」
「……」
不可解な問に、男の顔をまじまじと見た。男は宗次郎の腹の中の問に答えるように、その名を呼んだ。
「殺生人の宗次郎はん。次の目的は」
宗次郎の正体を知る者は決まっている。御広敷伊賀者……
「次は餌刺の半平太の身辺を見張る」
「ふむ」
「すでに金を貰ったと言っていた。俺が止めたところで、諦めていないに違いないと思っている」
「あいわかった」
短いやり取りのあと、男は再び行商を続けた。
「とおぉ~がらし~、辛いとおがらしぃ~、からい、からい~とおぉ~がらし~」
自分の思惑は、多分伊賀者頭のそれと反することだろう。それは分かっていた。むしろ隠密たちは、内部の不正を現行でとっ捕まえたいと思っているに違いない。
だが宗次郎の思いは違う。
なんとしても、半平太に罪を犯させたくない。一連の謀反の小細工に、半平太を巻き込みたくはなかった。
宗次郎は江戸川沿いをさかのぼり、音羽町へと出た。さらにぐるりと回り道をして、畑地の中を進む。
半平太とは進む道が違ったのか、追いつくことはなかった。途中、関口で水売りとすれ違い、冷水売りの甘い水を買って喉を潤す。
そこからは急ぐどころか、その歩みを落とすと、照り付ける陽を避けるように武家屋敷の間を抜け、蒼々と稲の植わった水田脇の道へ入った。
ここから姿見橋の方角へ道を進めば、三九郎が襲われた氷川神社の杜が見える。
しかしそこまで戻る必要はなかった。
八ツを過ぎたばかりのこの時間が一番暑い。百姓らはひと仕事終え家に帰ったのか、畑にも水田にも人影はなく、畑地外れの荒地には、木々の葉音だけが聞こえていた。
「もう、出てきたらどうですか。ずっと俺を襲うつもりで尾けて来たんだろ」
宗次郎は前を見たまま、背後の気配に向かって話しかけた。それに答えるかの如く、蝉がジジッと鳴いて飛んだ。
「笑止!」
木立の影から一人の男が飛び出してきた。浪人風の身なりで、おそらく上総屋の雇った用心棒だと思われた。
抜きがけの一振りは宗次郎の腹の前を真横に払われた。それをわずかな距離で避けると、さらに奥の雑木林から仲間が二人出てきた。
囲まれたが、あいにく今日は餌差の格好ではない。唾を飲み込むと、鯉口を切った。
宗次郎は自ら向かっていくと、左手にいた男を斬り上げた。
「ぎゃっ」
返す刃で右手の男の手首を斬る。鮮血と共に音もなく手首が宙を舞った。もう一人は峰打ちで落とした。
まるで舞でも舞っているかのような軽い動きで、三人の刺客の動きは封じられた。
命を奪ってはいないが、気を失っていないのは、手首を落とされた男だけ。
呆気ないほど相手にならなかった。明らかに戸山荘の忍びではない。
しかし浅手にしたつもりだが、返り血は思った以上に派手に飛び散っていた。
「うえっ」
込み上げる吐き気に耐えながら、手首を押さえて唸っている男に切っ先を突き付ける。
「この辺りで鷹匠を襲ったのはお前たちか」
宗次郎の問いかけを聞いて反応したのは襲ってきた男たちではではなかった。木陰で立ち回りを見守っていた町人風の男がいた。男が踵を返して逃げ出す。
瞬時に振り返り、宗次郎の投げた小刀が男の尻に刺さる。
「いでぇ!」
「逃げられると思うな」
宗次郎は逃げようとした男に近寄る。見覚えのある顔だ。
「お前、さっき上総屋に居たな」
店先で掃除をしていた小者であった。帰り際の宗次郎に水を掛けようとした男だ。
「全て上総屋の指図なのか」
「あっしは知らねえ! 此度は上総屋さんだが、あれは」
そこまで喋ったところで、男が「ひっ」と息を呑みこむような声を上げ、口から泡のようなよだれを吹きながら突っ伏した。
吹き矢だった。乙八の首に刺さっていた物と同じ毒矢が、男の首の後ろに刺さっている。
宗次郎が素早くその場を離れ、気配を探るが、しかし、新たに察した気配は、すでに遠ざかっていた。
あるのは呻いている三人の刺客のみ。
いつの間にか蝉が次々と鳴き始めていた。
今回は半平太を水際で引き止めたとはいえ、彼らがこのまま引き下がるとは思えない。半平太に仕事をさせたのが餌差頭だとしたら、餌差頭に仕事を焚きつけたのは九鬼丸に違いないからだ。
しかし、どれほど考えたところで、宗次郎には納得することが出来なかった。
――なぜ、よりによって半平太なのか……
確かに仕事のできない部下は、ある意味使い勝手が良いだろう。一方、下級の幕臣らは、役を取り上げられないよう上司にへいこらとうまく使われるのが出世のコツなんだと聞いたことがある。季節ごとの付け届け、誰もやりたがらない汚い仕事。全てひっくるめ、自分たちの務めなのだと、半平太も言っていた。
小普請として無役が長かった半平太の中で、此度の仕事は、巡ってきた好機のひとつに過ぎない。
誤算は、その小さな不正に尾張徳川家が絡んでいること。それを遣われた半平太が知る由もない。
(悔しい……)
ギリりと奥歯を食いしばる。気持ちを切り替えるよう、勢いよく踵を返し上総屋のへと向かった。
店先を掃除する小者がじろりと宗次郎を睨む。小物風情の割に、鋭い目付きは、多分最近雇ったばかりの用心棒の一人だと認識した。
「ごめん」
見知らぬ人間から聞き込みをするのにも、もう慣れたものだ。
現れた男は多分店の番頭か何かだろう。
「へい、何が入り用でしょう。水鳥は季節外れでして、小さめの鴨ならございますが。今朝は魚の仕入れもございますよ」
年季の入った前掛けで手を拭う仕草をしながら、宗次郎を迎えた。
「いや、買うのではなく、仕事を紹介してもらいたいのだが」
そして、カワセミのことを正面からぶつけてみたのだが……
「ちょいとお待ちを」
にこやかだった男の顔の目が細められ、そのまま奥へと入ってしまった。
代わりに現れたのが、やや体格の良い男で、見たところ、さっき奥へと引っ込んだ男よりも幾分か若く見えた。この男が、上総屋の亭主だった。
腕には引っかき傷のような傷痕がいくつか見える。鳥刺し……それも餌刺を生業にしてきたというよりも、狩りとして鳥を捕まえるため山や水辺に入っていた証だ。今のように問屋をする前は、自ら鳥刺しとして活躍していた口だと思われた。
村垣曰く、「その目付きというか顔つきは、問屋業よりも口入れ屋の方が似合っちょる」
「ああ、カワセミねえ。ええ、確か、とある大名屋敷の池に放ちたいのだと伺っておりますが。もう、別の請負に頼んだ後でして」
そういうことだ。なるほど、村垣の目利きは正しい。問屋業よりも、鳥刺し達に仕事の仲介をすることがここの仕事の主軸であるらしい。しかし、ここの亭主は余程、面の皮の厚い人物なのか、何を問われても飄々と答え、悪びれずにカワセミの注文を肯定した。
「別の請負……あの鳥は水辺の鳥。禁猟地を避けて狙うは難しいでしょう。それに飼い鳥となると、岡鳥屋の利権にもかかわるのでは……」
「あんな鳥、畑地の水辺であればどこにでもおりますよ。江戸の外で捕まえてくれれば、鳥見役人に睨まれる事もないですし、飼い鳥屋に卸すわけではありませんからね。ご心配ならば、それよりも安心な仕事もございますよ」
にこにことしゃべり続ける。
「実は、知り合いの役人から、このカワセミ仕事を紹介されましてね」
「ほう。御役人、ですか」
「ええ、餌差役人です。でもね、御公儀がこういった仕事をするのは、禁じられているそうで。なので、俺に振ってきたようでさ」
『餌差役人』と聞くや、少し笑顔がうさん臭くなってきた。
「そうですか。しかし、そういうことなら、あたしからは仕事を依頼できませんねえ。既に取引は成立しておりますゆえ、仕事のやり取りは、そのお役人さんとして下さいませ」
「しかし、こちらの紹介だと」
「それに此度のカワセミの件に関しては、別の請負人に任せていましてね、私どもの手は離れておりますゆえ」
「……美濃屋さんところの五郎蔵や佐助のように?」
美濃屋の名を出すと、憎らしいほどにこやかだった亭主の頬がわずかに引きつった。
「一緒にされると商売の迷惑ですな。美濃屋さんが要らぬ不正をしたせいで、あたしら鳥問屋は町奉行にも鳥見役所にも睨まれておるんですよ。余計な勘繰りは勘弁してください。あ、これ、松さん、お客様がお帰りだよ」
その後はまるで追い出されるように帰りを促されてしまった。つつかれては困ることをしている証拠に他ならない。
おまけに最後は、外で掃除をしていた小者に水を掛けられそうになった。
「なんや、あいつ!」
腹を立てたところで、相手にしている暇はない。
宗次郎はその足で、雑司ヶ谷に向かって走った。少し走ったところで、唐辛子のぼてふり(天秤を担いだ行商人)に声を掛けられた。
「急いでどこに行きなさる」
「……」
不可解な問に、男の顔をまじまじと見た。男は宗次郎の腹の中の問に答えるように、その名を呼んだ。
「殺生人の宗次郎はん。次の目的は」
宗次郎の正体を知る者は決まっている。御広敷伊賀者……
「次は餌刺の半平太の身辺を見張る」
「ふむ」
「すでに金を貰ったと言っていた。俺が止めたところで、諦めていないに違いないと思っている」
「あいわかった」
短いやり取りのあと、男は再び行商を続けた。
「とおぉ~がらし~、辛いとおがらしぃ~、からい、からい~とおぉ~がらし~」
自分の思惑は、多分伊賀者頭のそれと反することだろう。それは分かっていた。むしろ隠密たちは、内部の不正を現行でとっ捕まえたいと思っているに違いない。
だが宗次郎の思いは違う。
なんとしても、半平太に罪を犯させたくない。一連の謀反の小細工に、半平太を巻き込みたくはなかった。
宗次郎は江戸川沿いをさかのぼり、音羽町へと出た。さらにぐるりと回り道をして、畑地の中を進む。
半平太とは進む道が違ったのか、追いつくことはなかった。途中、関口で水売りとすれ違い、冷水売りの甘い水を買って喉を潤す。
そこからは急ぐどころか、その歩みを落とすと、照り付ける陽を避けるように武家屋敷の間を抜け、蒼々と稲の植わった水田脇の道へ入った。
ここから姿見橋の方角へ道を進めば、三九郎が襲われた氷川神社の杜が見える。
しかしそこまで戻る必要はなかった。
八ツを過ぎたばかりのこの時間が一番暑い。百姓らはひと仕事終え家に帰ったのか、畑にも水田にも人影はなく、畑地外れの荒地には、木々の葉音だけが聞こえていた。
「もう、出てきたらどうですか。ずっと俺を襲うつもりで尾けて来たんだろ」
宗次郎は前を見たまま、背後の気配に向かって話しかけた。それに答えるかの如く、蝉がジジッと鳴いて飛んだ。
「笑止!」
木立の影から一人の男が飛び出してきた。浪人風の身なりで、おそらく上総屋の雇った用心棒だと思われた。
抜きがけの一振りは宗次郎の腹の前を真横に払われた。それをわずかな距離で避けると、さらに奥の雑木林から仲間が二人出てきた。
囲まれたが、あいにく今日は餌差の格好ではない。唾を飲み込むと、鯉口を切った。
宗次郎は自ら向かっていくと、左手にいた男を斬り上げた。
「ぎゃっ」
返す刃で右手の男の手首を斬る。鮮血と共に音もなく手首が宙を舞った。もう一人は峰打ちで落とした。
まるで舞でも舞っているかのような軽い動きで、三人の刺客の動きは封じられた。
命を奪ってはいないが、気を失っていないのは、手首を落とされた男だけ。
呆気ないほど相手にならなかった。明らかに戸山荘の忍びではない。
しかし浅手にしたつもりだが、返り血は思った以上に派手に飛び散っていた。
「うえっ」
込み上げる吐き気に耐えながら、手首を押さえて唸っている男に切っ先を突き付ける。
「この辺りで鷹匠を襲ったのはお前たちか」
宗次郎の問いかけを聞いて反応したのは襲ってきた男たちではではなかった。木陰で立ち回りを見守っていた町人風の男がいた。男が踵を返して逃げ出す。
瞬時に振り返り、宗次郎の投げた小刀が男の尻に刺さる。
「いでぇ!」
「逃げられると思うな」
宗次郎は逃げようとした男に近寄る。見覚えのある顔だ。
「お前、さっき上総屋に居たな」
店先で掃除をしていた小者であった。帰り際の宗次郎に水を掛けようとした男だ。
「全て上総屋の指図なのか」
「あっしは知らねえ! 此度は上総屋さんだが、あれは」
そこまで喋ったところで、男が「ひっ」と息を呑みこむような声を上げ、口から泡のようなよだれを吹きながら突っ伏した。
吹き矢だった。乙八の首に刺さっていた物と同じ毒矢が、男の首の後ろに刺さっている。
宗次郎が素早くその場を離れ、気配を探るが、しかし、新たに察した気配は、すでに遠ざかっていた。
あるのは呻いている三人の刺客のみ。
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