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病室
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私が次に目を覚ましたのは病室でした。
辺りを見渡してみると、どうやら神社から一番近い病院にいるようです。
私は少し考えて、自分が今おかれている状況を理解しようとしました。
私は今、病院らしき場所のベッドで寝ています。ということは、病院の厄介になる何かしらの怪我を負ったということになります。
そこまで考えて、その怪我が木から落ちたときに出来たものだということがわかりました。
では、私はどこに怪我を負ったのでしょう。
体を動かしたり、怪我を負っていないかを目で探したりしました。すると全身に痛みが走ります。どうやら体全体を打撲したようですね。
「いたた……」
体は痛みますが、想像していたよりは大したことがない痛みでした。結構高い木から落ちたのに、これほどの怪我で済んだのは奇跡かもしれないですね。
「あっ、そうだ……」
私と一緒に木から落ちたお兄ちゃんはどうしたんだろう。
安否を知りたかったのですが、私の病室には誰もいません。
仕方がないので、ナースコールを押して人を呼ぶことにしました。しばらくすると看護師さんが部屋に尋ねてきます。
「目が覚めたのですね!」
「はい。あの、私と一緒に兄も運ばれているかと思うんですけど、兄はどちらにいるんでしょうか」
看護師さんに尋ねると、彼女は何故か暗い表情になりました。
「ごめんなさい。あなたのお兄さんはまだ目を覚ましていないんです。かなりひどい怪我で、命にかかわるほど重症らしくて。仮に目を覚ましたとしても、絶対安静の状態だと先生も言っていました」
「そんな……」
お兄ちゃんの怪我がそんなに酷いなんて、思わなかった。
そういえば、最後にある記憶では、お兄ちゃんが下になってくれたような気がする。ということは、私の怪我がこの程度で済んだのはお兄ちゃんのおかげなんだ。
「ところで、あなたの怪我は大丈夫ですか?」
「あ、はい。私は全身が少し痛むくらいで、大したことはないようです」
私は軽く体を動かして見せます。その様子を見ると、看護師さんは安心したような表情を浮かべました。
「ならよかった。念のため、先生に状態を見てもらいましょう」
「はい」
「では、少し待っててくださいね。今すぐ呼んできますから」
そういって看護師さんは部屋から出ていきました。
誰もいなくなった病室で、私はただ一人祈ります。
「お願いします、神様。どうかお兄ちゃんを助けてあげてください」
神様に愛されている私たちの願いなら、きっと叶えてくれる。
私は根拠のない自信で祈り続けました。
しばらくすると、私の病室にお母さんが入ってきました。どうやら先ほど出て行った看護師さんが呼んでくれたようです。
「大丈夫だった!?」
お母さんが必死の形相で私を優しく抱きしめてくれます。その温かさに、私は思わずうるっと涙をこぼしてしまいました。
「うん、大丈夫だよ。ちょっと全身が痛むけど、多分大したことないと思うし」
「先生がもうすぐ来てくれるから、しっかり見てもらいましょう」
お母さんがそういった後、今度はお医者さんが病室に入ってきました。やはり先ほど出て行った看護師さんが呼んでくれたみたいです。
私は検査を受けて、体に異常がないかを調べてもらいました。その結果、全身を打撲しているが、しばらく安静にしていれば回復する程度の怪我であることが判明しました。
検査を終えた後、私はお医者さんに話しかけます。
「あの、兄は大丈夫でしょうか……」
「……正直、わからない。ただ、最善を尽くすとだけは誓います」
お医者さんは答えにならない答えを返してくれました。
「……よろしくお願いします」
私は頭を下げます。今の私は、こうやって頼むことしかできません。何て無力なんでしょう。
お医者さんは頭を下げた私を見た後、部屋から出ていきました。部屋には私とお母さんが残っています。
辺りを見渡してみると、どうやら神社から一番近い病院にいるようです。
私は少し考えて、自分が今おかれている状況を理解しようとしました。
私は今、病院らしき場所のベッドで寝ています。ということは、病院の厄介になる何かしらの怪我を負ったということになります。
そこまで考えて、その怪我が木から落ちたときに出来たものだということがわかりました。
では、私はどこに怪我を負ったのでしょう。
体を動かしたり、怪我を負っていないかを目で探したりしました。すると全身に痛みが走ります。どうやら体全体を打撲したようですね。
「いたた……」
体は痛みますが、想像していたよりは大したことがない痛みでした。結構高い木から落ちたのに、これほどの怪我で済んだのは奇跡かもしれないですね。
「あっ、そうだ……」
私と一緒に木から落ちたお兄ちゃんはどうしたんだろう。
安否を知りたかったのですが、私の病室には誰もいません。
仕方がないので、ナースコールを押して人を呼ぶことにしました。しばらくすると看護師さんが部屋に尋ねてきます。
「目が覚めたのですね!」
「はい。あの、私と一緒に兄も運ばれているかと思うんですけど、兄はどちらにいるんでしょうか」
看護師さんに尋ねると、彼女は何故か暗い表情になりました。
「ごめんなさい。あなたのお兄さんはまだ目を覚ましていないんです。かなりひどい怪我で、命にかかわるほど重症らしくて。仮に目を覚ましたとしても、絶対安静の状態だと先生も言っていました」
「そんな……」
お兄ちゃんの怪我がそんなに酷いなんて、思わなかった。
そういえば、最後にある記憶では、お兄ちゃんが下になってくれたような気がする。ということは、私の怪我がこの程度で済んだのはお兄ちゃんのおかげなんだ。
「ところで、あなたの怪我は大丈夫ですか?」
「あ、はい。私は全身が少し痛むくらいで、大したことはないようです」
私は軽く体を動かして見せます。その様子を見ると、看護師さんは安心したような表情を浮かべました。
「ならよかった。念のため、先生に状態を見てもらいましょう」
「はい」
「では、少し待っててくださいね。今すぐ呼んできますから」
そういって看護師さんは部屋から出ていきました。
誰もいなくなった病室で、私はただ一人祈ります。
「お願いします、神様。どうかお兄ちゃんを助けてあげてください」
神様に愛されている私たちの願いなら、きっと叶えてくれる。
私は根拠のない自信で祈り続けました。
しばらくすると、私の病室にお母さんが入ってきました。どうやら先ほど出て行った看護師さんが呼んでくれたようです。
「大丈夫だった!?」
お母さんが必死の形相で私を優しく抱きしめてくれます。その温かさに、私は思わずうるっと涙をこぼしてしまいました。
「うん、大丈夫だよ。ちょっと全身が痛むけど、多分大したことないと思うし」
「先生がもうすぐ来てくれるから、しっかり見てもらいましょう」
お母さんがそういった後、今度はお医者さんが病室に入ってきました。やはり先ほど出て行った看護師さんが呼んでくれたみたいです。
私は検査を受けて、体に異常がないかを調べてもらいました。その結果、全身を打撲しているが、しばらく安静にしていれば回復する程度の怪我であることが判明しました。
検査を終えた後、私はお医者さんに話しかけます。
「あの、兄は大丈夫でしょうか……」
「……正直、わからない。ただ、最善を尽くすとだけは誓います」
お医者さんは答えにならない答えを返してくれました。
「……よろしくお願いします」
私は頭を下げます。今の私は、こうやって頼むことしかできません。何て無力なんでしょう。
お医者さんは頭を下げた私を見た後、部屋から出ていきました。部屋には私とお母さんが残っています。
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